管理人は超つらいよ
マンション管理最前線
大阪万博の工事費不払い問題に心が痛む |
2025/8 今、こんなニュースが問題になっています。
大阪・関西万博の海外パビリオン建設工事で、下請け業者の工事費未払い問題が多発しています。訴えは38社に及び、被害総額は数十億円に上ると推測されています。
未払いが確認されているパビリオンは、主にフランス資本のイベント会社であるGL events社が元請けしているケースが多く、この企業が大きな金額の未払いに関与していると報じられています。
被害者の中には「経済的に困窮し、息子に大学をやめてもらった」なんていう例もあるそうです。
これ、ほんとひどい話です。もともと、万博の工事って、吉村知事が「開催までに間にあわせるために民間企業の皆さん、協力をお願いします!」と頭を下げて工事をしてもらったものです。主催者がお願いした工事なのに、その工事費を踏み倒して、それに対しての援助をしないっていう万博運営者、最低だと思います。私もほんと怒ってます。
実は私も同じような経験をしています。
昔、マンションで2000万円くらいかかった大きな工事がありました。これ、その時の理事長が連れてきた業者Aに任せた工事で、管理会社は無関係だったのですが、巻き込まれました。
業者Aは元請け業者となり、実際の工事は、その下請けの「B社」と「C社」に任せました。
これ、実際に工事をしている時も、「なんか変だなあ~」と思いながら見ていたのですが、とにかく、なんとか工事は完了しました。
さて、こういう「高額な費用」の工事の場合、お金の支払は「2回」になることが多いです。契約完了時に前金で半分、工事終了時に後金で半分、という感じです。
前金はすでに元請けに払ってあります。工事が完了したので、後金(約1000万円)を振込予定でした が・・・・・
その時、管理会社のほうに、B社さんとC社さんの社長が突然訪問し、「後金は元請けA社に払わず、私達に直接払って下さい」とお願いしてきたそうです。
事情は、
「A社は経営があぶなく、おそらく、もうすぐ倒産する」
「A社からの下請けに対する支払いが一切なく、前金の1000万円も消えてしまって、B社C社に支払われていない」
「だから、材料の仕入れで使ったお金さえもらっていない」
「A社が倒産したら、うちらにはお金が来ないだろう。だから、先にこっちにお金を回して欲しい」
ということだそうで。
当然、会社の方では、契約書どおりに、A社に振り込むしかないわけで、門前払いしたのですが、あきらめられないB社C社の社長さんがマンションに乗り込んできて、
「理事長さんに直接交渉したいから、理事長さんと合わせてくれ」
と管理人に頼んできまして。。。。。
こんなの当然、相手にできないわけでして。
でも、「会社」であれば、何十人も社員がいて、その人達が「帰って下さい!」と断ることは可能ですが、マンション管理人は一人だけで、相手が数人がかりで「お願いします!」と言ってきたら、追い返すことも不可能で・・・・・
ほんと大変でした。
私個人の気持ちとしたら、「下請けさんに直接払ってあげたい」という気持ちもありますが、そんなこと管理人ができるわけはなくて。
結果的には、契約書どおりに元請けA社に残金を振り込みました。
そして、数週間後、下請けのB社の社長さんがマンションを訪れ、管理人に向かって「あんたのせいで、うちの会社がつぶれた」
と言ってきました。
こっちとしたら、とんでとばっちりでして。。。。。
でも、この社長、誰かに恨み節を言いたかったんでしょうね。気持ちはわかるけど、こっちの気持ちも考えてほしかった。
そして、その後すぐに元請けA社もつぶれて、社長は雲隠れ。
その工事って、アフターサービスの契約条項もあったんですが、当然、そんなもの反故にされていまい、あとから見つかった不具合にもなにも対応はなし。
管理会社としても、「理事長紹介の業者」の工事であり、管理会社は関わっていないので、何もできません。
ほんと、後味の悪い思い出です。
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同じような話をもう一件
今度は管理組合は関係ない、「ある住民の個人的案件」です。
小さな工事会社を経営する住民がいました。(Fさん)
その会社で雇っている外国人労働者に対して「給与未払い」があったそうで、なんと、その外国人労働者が、夜間に、会社ではなく、社長の自宅(=つまり、当マンション)に大勢で「給料払え!」とやってきたのです。(Fさん、管理費等も長期滞納してたんで、さもありなん、という感じですが)
Fさんは居留守を使います。
しかし、労働者は引き下がらず、マンション内で大騒ぎしたそうです。夜間ですが、やかんではなく、フライパンを叩いたりしてすごかったそうです。
その時は警察に通報する人がいて、警官が来て追い払ったそうですが。
その後、昼間にやってきて、管理人に対して「あいつはひどい社長だ! 管理人さん、助けてくれ!」とか言ってくるんです。そんなもん、どうしようもないのに。
そして、高利貸しの取り立てみたいに、Fさんの部屋の玄関ドアに「F 金払え!」という意味の外国語のなぐり書きの貼り紙をしていきました。
でも、Fはお金を払いません。
すると取り立てがエスカレートして、今度はマンションの玄関ホールに、「Fが給料を払わない! 最低の日本人だ!」とか、今度は日本語で書いたものをベタベタはりまして。すごいことになりました。バンクシーの落書きなら歓迎ですが、こういうのはマンション管理上は困ります。
すぐに理事長に説明し「どうしましょう?」と対応を伺いますが、理事長は完全無視。完全無視ということは管理会社に対しての指示もないってことなので、それを利用して、貼り紙も放置したままにしました。(普通の管理人なら、すぐに剥がすでしょうが、このFさん、長期滞納以外にも、日常生活でいろいろと悪いことをしてたので、こらしめてやろうと、あえて、そのままにして晒し者にしました)
そこらじゅう貼り紙だらけだし、夜中に「デモ行進」みたいなこともあったり、一時期、ほんと大変だったみたいです。
結局、その社長Fさん、夜逃げして消えちゃいましたけど。
いろんなことに巻き込まれる管理人稼業です。