管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

ついにAED機械が設置された

2020/7







しかし、コロナの影響で


 まずは過去記事をお読み下さい。「7609号室 AEDを設置したい」

あれから、私、いろいろと頑張りまして、ついに、2020年の総会議案で「AED設置」が正式可決され、すぐに、機械が玄関ホールの中に置かれました。(2020年5月)




うちのマンションの場合、オートロックではないため、誰でも、マンションの玄関ホールの中に入れます。私としては、この近辺にはAEDはどこにも置かれていないため、「近所の皆さんにも使ってもらいたい」という考えで、そのことを理事会にも提案したのですが、「俺たちが金払って置いてるのを、外部の他人に使わせるのは嫌だ」という意見がやっぱりあって、そこで、私と理事会とのしのぎ合いがありまして、表立って、このマンションにAEDがあるということを宣伝したりはしないが、外部の人が、このマンションの入口までくれば、「あ、あそこにAEDがある!」とわかるような場所に設置する、ということにはなんとか成功しました。(これだけでもけっこう苦労をしております)

これで「万々歳」と言いたいのですが、この手の機械は「操作方法を覚える」ということが大事でして、「設置したからそれでおしまい」というわけにはいきません。

まあ、当然、AED業者さん(リース契約)もそれをわかっていて、「契約していただいたマンション様には、無料講習会を2回ほど開催させていただきます」というサービスがあります。
それを利用して、設置前の4月に「講習会」をやる予定を組んでいたのですが・・・・・・



そう、「コロナ」です。この影響で講習会ができなくなりました。   ギター侍をしのぐ「残念!」です。

そして、自粛期間に悲しいことが起きました。

もともと、この地域は「119通報してもすぐに救急車が来ない」ところでして、5月下旬に、「救急車が来るのが遅れて、要救助者が亡くなった。同居の家族はAEDを使用せず、ただ、ぼーっと救急車を待っているだけだった」という悲劇があったのです。「すぐにAEDを使っていれば助かったかもしれない」という後悔があります。

こういう悲劇を繰り返さないよう、緊急事態宣言解除を受けて、すぐにAEDの業者と連絡をとり、「7/5の日曜日に1回」「7/7の平日に一回」の計2回の講習会を開催しました。なるべく多くの人が参加できるように、「休日」と「平日」の2種類の設定にしました。(自営業者など、土日に働いている人も多いため)

そして、事前告知活動もがんばり(今期役員は当然何もしないので、私一人でやりました)、私としては、「集会室にたくさん来ちゃったらどうしよう、三密は困るなあ。そうしたら屋外でやるか?」なんて予想もして、屋外開催用に「ブルーシート」とか「拡声器」の準備もしていたのですが・・・・・・

いざ、蓋を開けてみると・・・・・


初日 参加人数 3世帯
2回目 参加人数 2世帯



という惨憺たる結果でした。集会室の中もすっかすかです。予想は完全に外れました。

ここまで、このマンションの住民が「人命救助」に関して無関心だとは思いませんでした。
ひどい、ひどすぎる。(埼玉銘菓「十万石まんじゅう」のCMのセリフのイントネーションでお読み下さい)

私としては、「病弱な親を抱えている子供」などがたくさんいるため、そういう人が積極的に参加してくれると思っていたのですが、そういう人にあとで「なんで講習会に出なかったんですか? あなたの親の命を救う機械になるかもしれないのに」と、話を聞いたら、「え? AEDって、誰かがやってくれるもんでしょ? 家族がやるもんじゃないでしょ?」と答えたので腰が抜けました。

AEDって、私、過去に2度ほど講習を受けたことがあります。そして、昨年、ある商業施設で倒れている人を見つけ、実際に操作したこともあります。この時、最初は、「講習を受けているのだからできる」と自分では思っていたのですが、いざ、要救助者の服を破って胸を露出させた時、「あれ、どうするんだっけ?」と頭が真っ白になりました。まあ、今のAEDは優秀で、機械が、声で指導をしてくれるんですが、それでも、なかなか上手にはいきません。それに電気ショックをしながら、心肺蘇生のマッサージもしないといけないのですが、これもねえ、人形と生身の人間は違います。実際の肉体に無理な力をかけるのはなかなかできんもんです。
ほんと、こういうのは「じっくりと講習を受けて、さらに実戦を一回以上経験しないとうまくいかない」というのをその時に実感しました。
(幸い、このときはうまく助けられました)

というわけで、本当に、訓練というのは大切なので、「うちのマンションはAEDの機械があるから大丈夫」などとは思わないで、設置したマンションでも、「住民全員が講習を受けている」というのを目指して、日頃の啓蒙活動が大事だと思います。

皆さん、ご理解下さいませ。

※今回の講習会を実際に受講して思ったのですが、講師の人が「実際に救命行動をしたことはない」という人でした。メーカーの技術屋さんのようで、機械には詳しいが、救命に詳しいわけじゃないのです。そのため、実際にそういう現場に遭遇した場合の心理状態とかをわかっていない人で、「これじゃあ、あんまり勉強にならないなあ」と思い、でしゃばって悪いのですが、「現実の救命現場では、そんなふうにはいきませんから、こうしましょう」とか、私の方で口出ししてしまいました。まあ、一回だけですが、実際に救命処置をしたことのある人間なので、そのほうがいいと思ったのです。