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マンション管理最前線

「理事会決議」の有効期間って??? いつまで





2018/11


理事会の役員。
「1年毎に全員が入れ替わる輪番制」というマンションがいまだに多いですが、この制度による弊害はいっぱいあります。当HPや付帯ブログでもたくさん書いているのでぜひ探して御覧ください。

輪番制の弊害
などなど


さて、今回は、その「弊害」の中のひとつである、「理事会決議事項の有効期限」という問題を取り上げます。これも、頭の痛い問題です。
「習慣」とか「不文律」というのがからんでるややこしい問題です。

たとえば、当マンションでは、住民の誰かが死んだ場合に、賃貸入居者も含めて、「香典」を出すということになっています。
これも、実際のところ、マンション竣工時から決まっていたことではありません。香典のことなんか、規約にも使用細則にも決まっていません。おそらく、ある年の理事会の席上決まったことだと思います。(※当マンションは、理事会の議事録をちゃんと残していないので、その決定の記録すらありません)

こういのって、一回決まってしまうと、「決めたことは変えない」って思想もあって、永遠と続いてしまうものです。実際、この香典の習慣も、ずっと続いているのですが、「金額が上下」した年もありますし、「出さない」になった年もわずかながらあります。つまり、ゼロ円の年もあれば、1万円の年もあれば、5千円の年もあれば、3千円の年もあるのです。

これ、甚だ不平等だと思います。でも、1年任期の理事会ですと、理事会で決めた事項は、その1年間はきちんと守られるものの、役員全員が入れ替わってしまう翌年には「葬式に縁のない若い人が多い理事会」だと、「香典なんか不要じゃない? 管理組合でやること?」と言われてゼロになったりします。そして、また別の年には、「うちの母が死んだ時は1万円もらったよ。それなのに、ゼロはまずいんじゃない?」という意見が出て、1万円が復活します。
また、「賃貸入居者も含めて、とにかく、住民であれば全員対象」(区分所有者であっても、外部居住の場合は対象外)というルールは平等でいいと私は思いますが、ある年に突然、「賃貸入居に出すのはおかしい」「外部であっても区分所有者であれば出すべきだ」と決めた理事会が有り、その時も、「管理人がわざわざ隣市に住む所有者のところまで行って香典を手渡しした」なんていう面倒なことを押し付けられたこともあります。

このように、お金がからむことでも、毎年、基準が変わってしまうものなのです。定期総会の議案になって、それが可決されたのであれば、その議案はその後ずっと総会での変更決議がない限りは有効ですが、1年輪番制の理事会というものは、理事会で決まったことというのは、どれだけの有効期間があるのか? 明記されたものはなく、曖昧なのです。


また、「来訪者の臨時駐車」に関することなども、けっこう、その年によって変わってしまいます。その年の役員の構成によって気持ちが変わるからです。

契約駐車場を借りている住民が役員になっている人数が多い場合、「自分はきちんとお金を払って借りている」と思っていますから、「無料で臨時駐車なんかさせるか!」と考え、「外来者の臨時駐車は一切認めない」と決めてしまう年もあります。一方で、「隣の市に住む息子夫婦が孫を連れてよく遊びに来る」という人(祖父母ってことね)が理事長になると、「外来者が親族の場合は置いていい」とか、自分勝手に基準を変えてしまいます。管理人としては、「そういう大事なことは、総会議案にして下さい」とお願いしてますが、「理事会で決めればいいだろ! グダグダ言うな!」とか怒られます。

集合ポストに配布されるチラシの規制についても、「一切だめだ」という年もあれば、「ピンク関係だけだめ」という年もあり、「食品の宅配関係だけOK」という年もあり・・・・・ 最前線で対応させられるこっちとしても、困ります。

とにかく、総会議案で決めたものではないため、役員全員が入れ替わって、新しい人だけになると、「前年度に決めたことはその1年間しか有効ではない。うちらはうちらで今期、勝手に決めさせてもらう」ってことが多いのです。もちろん、「昨年ちゃんと決めたことを勝手に変えていいんですか?」という反対意見が出てポシャることもあります。いずれにしろ、「決めたことの有効期限」というのを決めずに理事会で議決してしまうため、毎年、こういう弊害が出続けるのです。

前年と変わると、今度は前年の役員が「今年の役員はなんで俺たちになんの断りもなく勝手に制度を変えるんだ!」と怒り出すこともあります。これも怒る相手が今期役員に対してならいいですが、たいていは管理人相手に怒りますから、こっちはとんだトバッチリです。

こういうのも、「2年任期 毎年半数改選」という理事会だと、「変更なしに続く」ことが多いと思われます。

これから年末になりますが、毎年、正月飾りのことでももめます。「去年と同じくらいの飾りをしよう」という役員が多いですが、「管理組合でやることはないんじゃねえ?」っていい出す人もいますし、「そんなもん、管理会社でやるもんだろ?」って言う人もいます。「飾り物を実際に買いに行って飾り付ける人は誰がやるのか?」というのも、明文化されていないため、そんな些細なことでも、理事会の席上で議論になり、無駄な時間が費やされます。「揉める暇があるのなら自分で買ってこいよ! そのほうが早いだろ」と思います。

だいたい、うちのマンションの理事会は、「役職内容」に関しても、きちんと明文化されていないため、「それは会計役員がやることだろ!」「いや、それはおかしいんじゃないですか? なんでもかんでも会計担当に押し付けないで下さい」とか議論になりますし、「それは各ブロック担当役員が対応することだろ?」「いや、理事長がやるべきだ」とか、そういう議論も多いです。ほんと無駄です。

「大事な案件はちゃんと総会で議案として可決する」
「理事会で決めたことは、きちんと明確に記録に残し、明文化し、有効期限も決める」

もしくは、「その年の理事会で決めたことの有効期限はその年の任期までに限る」という決まりを制定してもらっても構いません。その時代背景でものごとは変わりますから、それもアリです。

とにかく、管理組合としてちゃんとやってくれないと、それに振り回されるこっちはたまったもんじゃないです。