管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

24時間ゴミ出しできるゴミ置き場があるのはすごく便利だけど







2015/10

 ある「マンション関係のサイト」を見ておりました。その中に「自分のマンションの共用設備の中で便利なものは?」というアンケートがあり、その回答のダントツ1位が「24時間、何曜日でも出せるゴミ置き場」でした。

 これ、気持ちはよくわかります。私も、自宅マンションに欲しいです。

 勤務先マンションでは、こういうシステムではなく、昔ながらの「曜日ごとに決められている」「その該当曜日の朝8時までに出す」「前夜に出してはいけない」というものですから、いろいろとトラブルが発生しています。特に、分別が複雑になってくると、きっちりとルールを守ってもらわないと混乱が生じますので、住民としては「生活しづらいなあ」と思っていることでしょう。管理人も大変です。

 この前も、別の土地から新しく引っ越してきた住民が、ゴミ出しのルールを守らないので注意をしたら、「(以前住んでいた)うちの市は、分別がこんなにややこしくない」とか「うちのマンションはいつでも出せた」と言って、「なんなの、ここは! 不便なマンションね!」と逆ギレされました。そう、今の若い人の中には、「いつでもゴミを出せる」というのが「当然」だと思っている人もいますから、そういう人が、うちのマンションに来ると、カルチャーショックになるようです。(部屋を購入する際に調べないのがすごい)

 さて、「いつでもゴミが出せるマンション」はたしかに便利ですが、困った面もあります。マンションの設計時の問題が大きいです。近所の新しいマンションの管理人さんから聞いた苦労話です。



 そこは、マンションの1階部分の奥のほうに、「いつでも出せるゴミの部屋」があるそうです。オートロックのセキュリティの中にあり、外部の人間がそこに入ることは出来ません。その中に、種類ごとにブロック分けされており、さらに、「空き缶はここに」とかのコンテナもあるそうです。そのように、きちんと分類されたシステムシステムはあるわけですが、それをちゃんと住民が守ってくれるわけはなく。

 毎日のように、そのゴミ置き場の整理をしないといけないそうです。「間違った場所に置かれたものを正規の場所に移す」「ごちゃまぜになっているものを仕分けなおしする」「生ゴミをいい加減に出されると腐敗臭が漂うため、しっかりと整理する(そこは家庭内にディスポーザーはない)」など・・・・ こりゃ大変です。それに、「密閉空間なのに、換気扇がない」「汚れを、水でジャーっと流せれば便利なのに、そういう、水道も排水口もない」「防犯カメラがない」「照明が暗い」「エアコンもないから、真夏は地獄空間で、腐敗もひどい」といった構造的欠陥もあるそうです。清掃の実情を理解しない設計士が設計したのでしょう。細かいところでは、「天井の蛍光灯照明を交換する際に、そのゴミ置き場に置かれた棚がじゃまになって、脚立が立てられず、交換しにくい」といった不具合もあるそうです。

 でもって、「24時間いつでもゴミを出せる、自由なマンション」という宣伝文句に惹かれてやってくる住民ですから、マナーも悪いそうで。

 そして、最悪なのは、そのゴミの部屋の位置が、道路から見ると非常に遠いところだそうで。ゴミ収集の曜日当日に、その曜日に合わせたゴミを「ゴミ部屋」から「ゴミ収集車が入ってくる、ゴミ集積場へ移動しないといけない」という重労働があるそうでして。「良質なベアリングがついた台車を使い、そのまま移動させればいい」というものではなく、ただ単に、管理人が手作業で運ぶらしく。紙資源回収の日なんか、雑誌の束なんかすごく重いですから、ほんとの重労働だそうです。

 「こういう24時間ゴミ出し可能システムも、現場の管理人&清掃員の意見を十分に調査して、最も作業のしやすい設計にしないといけないんじゃないの?」って、思いました。うちの場合は移動する作業はないので、その点は楽なのかもしれません。

 それと、この「ゴミの部屋」には、鍵があるそうで、全住民がその専用鍵を持っていて、それを開けて、ゴミを捨てるわけですが、鍵の開閉作業の回数が半端無く多いものですから、「しょっちゅう鍵が壊れる」とのことです。そうか、オートロックの鍵もよく壊れるけど、同じだなあ。

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 一方、別のマンションの話。

 そこは、オートロックではない、わりと古いマンションで。隣にあった駐車場の一部をつぶすこと(駐車場利用者減少の問題も一石二鳥で解決)で、既存のゴミ置き場を拡幅し、屋根もある小屋状のものに改造し、その中に、ゴミの種類ごとのブロック分けを新設し、それによって、「24時間 365日出せる」方式に変えました。これは素晴らしいことなんですが、この際に、「鍵をかける」ことについて、「ゴミ出す時って、手に大きな物を持っているのに、いちいち鍵を開けるのは面倒」ということで、鍵のないものにしてしまったそうです。
 これはまあ、そっちのほうが楽なのでいいのかもしれませんが。蓋を開けてみると、「あそこのマンションは、いつでもゴミが出せるらしい」ってことが近所に伝わり、(民度の低い地域ですから) マンション住民ではない、無関係の周辺住民が、こっそりと、そこにゴミを捨てるケースが激増したらしく、管理人が悲鳴を上げているそうです。そういうひどい人というのは、分別マナーもひどいでしょうから、そりゃ、大変なことだと思います。今、「防犯カメラをつける」か「鍵方式にする」か、検討しているそうです。
 
 
「自由」というのは「不自由」なことですな。いずれにしろ、こういう「何かある」時って、みんな、「管理人が苦労する」ってことなんですよねえ。トホホ。







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