管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

管理費(+修繕積立金)の滞納をなくす方法を考える



電話の督促だけじゃ、利き目は薄いです。


管理費(修繕積立金やルーフバルコニー・専用庭使用料、駐車場使用料も含む。以下、「管理費等」と称す)の滞納問題というのは、マンション管理における、「永遠に解消することのない大問題」です。ツイッターでも、この話題があがると、すぐにタイムラインが埋まるほどです。
不況が加速し、政治経済がバカ民主党政権のせいで、混迷を極め、そして、大震災という天災が追い討ちをかけ、滞納者はますます増える傾向があります。

この問題に関しては、当HPでも過去に何回も取り上げています。(我ながら、いろいろ細かく、実戦知識を書いているなあ、と感心しています。マンション管理員検定協会の、自分の利益最優先・能無しマンション管理士たちよりも、よっぽど社会に貢献しています)

さて、今回は、滞納をなくすためにどうしたらいいかを、いろいろ考えてみます。なお、今回の前提条件は、「お金があるのに払わない人」を対象にします。「ギリギリの最低の生活水準に切りつめても、本当にお金がなくて払えない人」に関しては、悲しいことですが、いずれ、「電気水道も止められ、部屋は競売にかけられで出て行くしかない」ということになりますので、今回の議論からは除外します。

今回も文章が長くて、かつ、整理が下手なため、読みにくいものになりますが、なにとぞご了承下さい。(無料でノウハウを公開してるので、文句は言わないで下さい)

<第一部> 払いやすい&徴収しやすい環境づくり

■「当月分払い」を基本とする
具体的に言うと、「”毎月25日に翌月分を振り替える”ということはしない」「毎月10日とか20日に当月分を振り替える方式にする」ということです。
こんなことを指摘するマンション管理士なんかいなくて、私くらいと思いますが、実はけっこう重大な
心理的要因なんです。
1/25に2月分の管理費等を払う、というのは、要するに「翌月分払い」「先払い」ということです。これを心理的に嫌う人が実はいます。食堂で「食券を買うのは嫌だ。まだ食べてないのに、なんで先に金を払うんだ」と文句を言う人がいますが、それと同じです。「マンション管理費だって、クレジットカードみたいに翌月払いにしろ」と主張する人も実際いるんです。
また、「先払い」の場合、1ケ月分を滞納しても、ご本人の感覚としては「先払いじゃなくて当月払いにしたんだ」ということで「滞納をしているという罪悪感」がありません。ですから、滞納しても、「1ケ月分」だけなら、平気なんです。それから、非常に細かい話ですが、滞納に関して「年利*%の遅延損害金」を設定している組合の場合、「先払いのものに、遅延損害金をかけるのはおかしいだろ」と文句を言うケースもあります。
ですから、マンションの管理費等に関しては、先払いをやめ、
「当月分払い」にするほうが、無難だと思います。

「指定銀行口座」というのはやめる
うちもそうなんですが、古いマンションの場合、分譲時に「管理費等の支払いのために、指定する銀行に口座を作ってください」と指示されるケースが多いです。このように、銀行や支店を指定されると、住民サイドとしては、いろいろ不都合です。

「すでに、同じ銀行で、別の支店の口座を持っているのに、それではだめで、指定の支店に口座を作るのは面倒だ」
「管理費のためだけに口座を作るのは嫌だな。給料の振込先銀行がそのまま使えれば、何もしなくていいのに」
「あの銀行は昔ひどい目にあったから嫌いなんだよ」
「民間は信用できない。郵便局しか信用しない」
「管理組合の指定銀行が、支店統廃合になって消滅し、隣町に移転してしまった。あんな不便なところに行くのは嫌だ」
(※今、この問題がけっこう大きい)
「うちの会社は三井系列なので、銀行は三井しか使わない」
とか、いろいろな理由があるものなのです。

また、部屋を賃貸にしている「外部居住の区分所有者」の場合、指定銀行は自宅から遠く離れていることが多く、そこに口座を作ることを嫌がります。その結果、「指定銀行に口座を作るのは嫌なので、管理規約で決まっている自動振り替えは行なわずに、自分で振込む」という「へそまがり」の人が発生し、この人が滞納しやすいのです。振込み手料を自分で払わなくてはならず不経済だと思うんですが、こういう人実際にいるんですよねえ。不思議だけど。「振込み手数料がもったいない」と考える人は、手数料節約のために、「3ケ月に1回、まとめて払う」とか「ボーナス一括払いみたいに半年に1回払う」という手法をとる場合もあり、これも事実上の滞納になります。
そして、「自分の収入が入ってくる銀行口座ではなく、管理費等のためだけに、別途、ここに口座を作った」という人の場合も、お金を入れておくのを忘れて、「残高不足で振り替え不能」という滞納がよく発生します。

現在、ファイナンス会社を通して、「どの金融機関でも管理費等の振替ができます」というシステムができていますから、「指定銀行のみOK」という古い制度はやめて、新しく制度変更することをお勧めします。このシステムにしても、手数料が増えるということはないです。(詳しくは、担当の管理会社にご相談下さい) 制度切り替えの時には一時的に多大な事務的仕事が発生しますが、あとのことを考えれば、絶対にこの制度のほうがいいです。



■管理組合指定の方法を全員に遵守してもらう
管理規約には、普通、「管理費等の納め方」という条文があって、「++銀行++支店に口座を作り、そこで、毎月10日に当月分を自動振替する。この方法で全組合員が納めること」とか、「管理組合の指定する方法で納めること」とか書いてあります。いずれにしろ、
「組合の指定する方法で払え」というのは絶対に書いてあるはずです。
(※前者のように、細かく具体的に書いてあると、引き落とし日を変更するだけでも、「管理規約文の変更なので、特別決議で、4分の3以上の賛成がないと不可能」ということになるので、規約としては後者のほうがいいと思います)
しかし、現実的には、指定口座からの自動振り替え措置を取っていない人が少なからずいます。管理会社としては、この人たちの会計処理はほんと面倒なんです。こういう人には、理事長名で、「規約違反行為です。規約に従ってください」と毅然とした態度で、遵守を求めて下さい。実際のところ、自動振り替えをしていない人の分も、銀行から振替手数料は取られてます。無駄になるだけです。

1回滞納した場合の対処方法を事前に知らせておく
当マンションでよく起きる誤解。
「3月分が”残高不足で引き落とし不能”になった場合、その後、お金を口座に用意しておけば、4月分引き落とし時に、自動的に2ケ月分がまとまって引き落とされる」
このように考える人が非常に多いです。これは、当マンションの場合、完全に誤解で、翌4月は、「4月分の1ケ月分」しか降りません。管理組合と銀行との間で、そういうシステムになっているからです。すなわち、「口座に多額の残高があっても、落とされずに、3月分の滞納がそのままずっと残る」ということです。ですから、3月分が滞納扱いになって督促状が発行される際に、「翌月に2ケ月分まとめて落ちることはないです」「3月の滞納分はあくまでも、そちらで自ら振り込まないと滞納は解消されません」ということを、詳しく丁寧に解説しないといけません。
このことは非常に重要なことなので、時々、掲示板に貼って説明してもいいんじゃないかと、思っています。

■滞納分を自分で払うときは、そこの銀行に応じた「振込み手数料がかかる」ということを理解させる
「滞納分を自分で振り込む」際、普通、無料で振り込むことはできません。そこの銀行に応じた手数料がかかるはずです。管理会社は、そういった細かな情報を具体的に「いくらかかります」と説明することはできないので、「振込みにかかる手数料はご負担下さい」といった差しさわりのない文章しか書けません。でも、とにかくお金がかかります。(最近は、銀行口座によってはかからない場合もあるが)
このことを知らないで、「いつもの自動振り替えの時には手数料はかかっていない」(実際は管理組合が負担しているのだが、住民個人が払うことはないので、そう勘違いしやすい)ことから、「手数料無料で振り込める」と考える人が、「請求額の分しかお金をATMの機械に入れなかった」「手数料の分を差し引いた金額が管理組合口座に振り込まれた」「300円分足らないので、滞納は解消されないまま、次回、”300円振り込んで下さい”という督促状が発行される」なんてことがよくあります。
また、逆に、「100円の手数料なのに、300円と誤解して、規定金額より200円分、多目に振り込んでしまった」ということもあります。これも、「次月の自動振替の際に、自動的に200円分をマイナスして振り替える」なんてことはないので、「200円超過」が続いてしまいます。管理会社は、たった200円のために、「200円を返金したいんですが、どうしますか?」という手紙を作って、住民と相談して返金処理をします。非常に無駄な事務作業です。
このように「振込み手数料」のことは小額でも、けっこう大きな問題なんです。ですから、よく説明することが肝要です。

年に1回くらいは、振替方法をおさらいする機会を設ける
どういう振り替え方法になっているのか、定期総会の資料の「添付」みたいな形で、年に1回くらいは、全区分所有者におさらいしてもらう機会を設けるべきだと思います。(これには、第二部で述べる、滞納に対する管理組合の措置方法もあわせて記入するといいでしょう。)

■NHKのマネをする
「皆様が払った受信料で支えられています」というNHKの言葉を、マンションでも使用すべきです。「みなさんが支払った管理費で、廊下の電灯がついているんです」とか。ことあるごとに、広報物の下の隅っこに書き入れるとか、そういう努力も必要かもしれません。




<第二部> 滞納の現実はこんな感じ

■まず最初に「一般的な滞納対策」をおさらい
管理委託契約の内容にどこまで詳しく書かれているかは、個々に違いますが、普通のパターンを説明します。

○引き落とし日の数日後、銀行から、管理会社へ「引き落としできなかった人のリストが送られてくる」
○管理会社の会計部署が、このリストに掲載された区分所有者に対して、「引き落としできませんでした。つきましては、ご自分で管理組合口座に振り込んで下さい」という書面を作製し、個々に配布する。うっかりミスの場合は、これでたいていの人が払ってくれる。
○2ケ月連続で滞納をする人に対して・・・「理事会で発表する」(氏名を出すかどうかは個々で違う)。再度、管理会社が書面を配布し、支払いをお願いする。
○3ケ月滞納・・・少し、危機感を感じ、管理会社は、「比較的強い文章での書面でのお願い」をする。「駐車場利用解約」に該当する場合は、そのことも書いて脅す。(ただし、最近は、駐車場が埋まらないで苦労するマンションも多いので、その場合は、解約をほのめかすことは書けない)
○4〜5ケ月滞納・・・管理会社のフロントから、「電話でのお願い」や、それでもだめな場合は、「直接訪問でのお願い」を実施。
○6ケ月以上滞納・・・「書面&電話&訪問」までは管理会社の仕事だが、これでもだめな場合は、管理会社の業務の範疇から離れる。委託契約外の仕事となる。つまり、管理組合自身が動かないといけない。(とはいえ、実際は動かない)まずは「内容証明郵便」で督促状を郵送する。その時の郵送料などは、管理組合に負担してもらう。
普通は、これで、滞納者から「今苦しいんですが、少しずつ払いますので」とかいう弁解を得ることができるので、少し前進する。
○それでもだめでどんどん溜め込む場合・・・「小額訴訟」「一般的な裁判」「競売」など、司法がからんできて面倒なことになる。これも、管理会社の仕事ではないため、かかる経費は実費を管理組合に負担してもらう。理事長が裁判所に出向く必要も出てくる場合がある。

■管理会社の仕事の範囲を把握する
はっきり説明しない管理会社側にも責任があるのですが、とにかく、普通のマンションでは、
「滞納に関してはすべて管理会社がやってくれるもの」と誤解している役員さんが多いです。このため、自分たちは「ただ、報告を受けるだけ」「自ら活動することはない」という、他人任せの無気力な対応になります。ですから、「滞納者を公表しましょう」といった提案に関しても、「プライバシーがどうたら」とか「そういう問題を荒立てたくない」ということから消極的になります。
しかし、実際は「初期対応」とか「一次対応」と呼ばれる、「書面&電話&訪問」の段階で解決できないと、その後は「管理組合さんがご自分でどうぞ」と、ダチョウ倶楽部みたいなことになり、ここで初めて、「え? 自分らがやらないといけないの?」と理解して、あわてたりします。そして、滞納額がどんどん増え、人数も増えてくると、現実問題として、管理組合の会計に影響を与えてくるわけで、そうなってから、ようやく、ことの重大さに気づいて、「マンション管理士」に相談したりするのです。

■滞納者のほとんどが、「お金はあるのに滞納を続けている」という人
私は管理人としてマンションの全部を見ていますから、よくわかります。また、滞納する人というのは、すべてにルーズなので、ゴミの分別もいい加減であり、このため、「ルール違反ゴミの袋をあけて、再分別作業をする」際に、名前の書かれた書類などを発見し、「あ、この人か。この人、滞納もひどいだよなあ」などと気が付くのです。
「滞納を続けているくせに、いい車に乗っている」「高級なワインを飲んでいる」「出前のピザを頻繁に頼んでいる」「子供の自転車をしょっちゅう買い替えしている」「子供が高額なゲーム機器を持っている」など、「あ、この人、お金はあるのに、管理費は踏み倒しているんだな。学校の給食費を払わない親と同じだ」ということをわかっています。
こういう人たちは「払わなくても、別になんともない。マンション生活は普通にできる。罰則もない。エレベーターにも乗れる」「管理人に文句を言うこともできる」「なんら差別されることもない」と思ってますから、ずっと払いません。
電話とか電気とか水道とかは、2ケ月滞納したらすぐにストップですが、マンションで「住んではいけない」なんてことはないですから、平気で滞納します。
最初にも書きましたが、「事業に失敗して大きな借金を作ってしまった」など、本当にお金のない人の場合、いずれ、電気ガスも止められ、自分の部屋は差し押さえられて、競売にかけられて、滞納した管理費等は、先取り特権によって、組合側に支払われます。だから、実はマンション管理上では、本当にお金のない人については、対応は楽なんです。問題は「払えるのに払わない人」なんです。

■「遅延損害金」や「延滞料」を課せばいいのでは?
たいていの管理規約では「延滞金を課すことができる」と書かれているので、課すことは可能です。そして、それを明記し公表することは、いくばくかの「抑止力」にはなります。ただ、実際のところ、闇金みたいに高率なお金を課すこともできませんし、最終的に裁判で「延滞金を払わせる」際も、「延滞金の分は免除してあげる」となることが多いので、役員さんたちが期待するほどの、抑止力はないと思います。よく、駐車場なんかで「無断駐車罰金2万円」とか書いてあるのをみますけど、あれもそんなに効果ないでしょ?
それに、管理会社サイドでは、「延滞料 年利10%とか課すと、会計処理が煩雑になって大変なのよねえ。できればやめて欲しいのよ」という声もあります。今は、便利な会計ソフトもあるようですが、うちの会社のように、手作業で計算しているところでは、「そんな面倒なことされたら、毎日残業になってしまう」と嫌がります。
まあ、督促状を書く際に、「脅し」として、「課しますよ」と書くのはいいと思います。

■賃貸部屋は滞納が多い
実際にマンションの管理をしていると、「自分が住んでいない」ことの「無責任感」からか、自室を賃貸にして、自分は実際は別の場所に住んでいる、いわゆる「外部居住組合員」の皆様の滞納が多いです。
自分が住んでませんから、「エレベーターを使用する、うしろめたさも感じない」「管理人が掃除をしているところも見ない」など、罪悪感が希薄です。掲示板の広報も読まないし、総会の資料もろくに目を通さないし、やっぱり、しょせんは「他人事」なので、払わない人が多いのです。それに賃貸の場合は、「名前を公表しますよ」と脅されても、たいした影響はないので、効果がありません。




<第三部> こうやって滞納をなくそう!


実際の滞納者の半数は「うっかりミス」なので<第一部>の環境整備を行なえば、それだけで、かなりの数の「うっかり滞納」を減らすことができます。

■管理組合で定めた振替方法を全員に実践してもらう
自動振替にしていない人がけっこういます。中には「うちは毎月は払わない、ボーナス一括払いにするから、年に2回しか払わない」なんていう滅茶苦茶な人がいます。こういう人には「管理規約」を盾にして、「毎月の自動振替」を実施してもらいましょう。
これは、管理会社が言うだけではだめです。文書でのお願いに従わない場合は、理事長や会計理事など役員数名と管理会社フロントがまとまって、訪問し、「規約を守れ!」と脅すのです。

駐車場解約は効果的
(ただし、駐車場が空き待ちの状態のマンションのみ)
普通、駐車場の利用契約書には「2ケ月滞納した場合は即解約」という条文が入っています。長くても「3ケ月」だと思います。ですから、最初の1ケ月滞納の時点で、その督促書類に、「もう1ケ月溜めたら、翌月から駐車場は利用できませんよ」という脅し文句を記載しましょう。そして、それでも、もし、「2ケ月滞納してしまった」場合、2ケ月目の督促状に「*日までに納付ない場合は無条件に解約します。+月からは、空き待ちリスト1位の方の車が置かれるようになります」と明記しましょう。

■名前を公表しましょう
今は「個人情報保護」の観点から、理事長にさえ、氏名を教えない馬鹿な管理会社もあるそうですが、1ケ月目の滞納で督促状を出し、それでも払わない人(つまり、ウッカリミスではない、滞納の自覚のある人)は即刻、理事会で名前を公表すべきです。そして、悪質&高額な滞納(=具体的には、6ケ月以上とか)は、「掲示板に名前を出します」と規定しましょう。事前警告をしたうえでの公表であれば、なんら問題はありません。6ヶ月といったら、賃貸部屋だったら、とっくに追い出されている金額です。
会計のことを考えると、年度末時点での滞納はなるべく避けたいものです。年度末に関しては、「滞納者は、決算書類に名前が出ますよ」と警告し、回収を進めましょう。

■管理会社だけに任せるのは無理
督促って、場合によっては、「時間外勤務」になって重労働だし、気分的にもいいものではありません。特に、「マンション住民はお客様」という立場の管理会社社員にとっては、客に対して「金を払え」とは言いにくいものですし、言われる住民側も、いい気になって、「客に対してその言動は何だ」とか逆切れするケースも多いです。
特に、私も経験がありますが、管理会社側が1名だけで、滞納住民側が「大家族で7人もいる」なんていう場合、多勢に無勢で、いくら向こうが悪くても、人数の多いほうが有利になってしまいます。
私が考えるのは、「滞納が3ケ月になったら、管理会社社員と管理組合役員数名(最低でも3人以上)がいっしょになって、大勢で、滞納宅を訪問する」ということです。これが一番効きます。
よく、「理事長1名だけで訪問」とか「会計担当役員と2名だけで訪問」とかする場合が多いですが、人数が少ないと、「個人的に恨みを買う」(集合ポストの理事長の部屋のポストにガムが投げ込まれる、とか)ことが多いのです。これでは理事長がかわいそうです。「組合全体で滞納をやめさせようとしている」ということをわからせるためにも、人数が多ければ多いほどいいです。5〜6人で行けば、その迫力に圧倒されます。相手側が家族複数名で応対しても勝てます。
よく、「長期滞納者は理事会の席に呼んで弁解させる」という制度にしているところもありますが、悪質な滞納者は出席なんかしません。シカトします。
私が知っているマンションでは、毎月理事会の終了後に、役員総出で、そのまま長期滞納者のところに行って督促を迫る行動をしています。これがベストです。(ただし、事前に滞納部屋の生活パターンを調べておいて、その時間に在宅しているか調べておくことが必要)

問題となるのは「賃貸」の部屋です。これは別のところに住んでいますから、簡単に自宅訪問するわけには行きません。隣町程度であれば、「みなさんで散歩がてらで、督促に行きましょう」というのは可能ですが、隣県とかになると無理です。私が実務上思うに、「外部居住者に督促状を書く」のは、封筒の宛名書きも面倒だし、切手代もかかるし、経費がけっこうかかることなので、「年利*%」とかいう、計算が面倒になる遅延損害金ではなく、「事務手数料」として、「1回の滞納につき500円」とか、規定してもいいんじゃないかなと考えています。賃貸にしている部屋は、賃貸料が入ってきていますから、「お金が本当にない」ってことはほとんどなく、持っているはずです。なお、どうしても払わない場合は、賃貸で入居している人には悪いけど、賃貸入居に対しても、「おたくのオーナーが滞納して困っている。本当はあなたはこのマンションのエレベーターとか使っちゃだめなんだよ」という圧力をかけてもいいかもしれないと思います。賃貸入居者からオーナーに対して、「肩身が狭い思いをしている。ちゃんと払ってくれ」と言ってもらえるといいです。

■督促方法はマニュアル化する
「せっかく、その年の役員ががんばって滞納をゼロにしても、その次の年の役員がぐうたらで、また滞納が増えてしまった」ということがよくあります。これは、「滞納解消」が役員の個人の資質によるところが大きいからです。(人相がヤクザみたいで怖い人がいると、すぐに滞納が解消したりする) これではだめで、「滞納問題にはこうやって対処する」ということを理事会でマニュアル化(「3ヶ月以上は掲示板に氏名張り出し」とか)し、次期の役員は、ただ、「マニュアルに沿ってやっているだけ」ということにしないといけません。管理会社の役割にしても、最初の委託契約書には細かなことは書いていないにしても、1回、こまかく、行動基準を規定しておくほうがいいです。管理会社のフロントが入れ替わることもよくあることですし。




2012/1