管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

植栽剪定を襲った恐ろしいトラブル





 昨夜のテレビニュースで、「道路工事をしていたら、間違って、地下の水道管を破壊してしまい、噴水になってしまった」という事故を報道していました。

 そういえば、このマンションでも、先週。

 初夏に行われる「
植栽剪定」。このマンションのように大型建物で植栽部分が多い場合は、一大事業です。全部で4日間もかかります。その2日目の夕方のこと。私の終業時間が近づいた時に、突然、玄関ホールの電灯が消えました。(この玄関ホールは昼でも暗い構造のため、24時間点灯しています。 「なんなんだ。停電か? でも、管理室の中は大丈夫だぞ? 何が起きたんだ?」と、とりあえず外へ。すると。

「アチャー! こんなところに電線があったとは。やべえなあ」と、植木屋の職人が声に出しています。
「どうしたの?」
「いや、あのね。住民の人が、ここにある木が腐りかけていて、みっともなくてじゃまだから、根こそぎ切ってくれ、っていうもんだから、根っこを切っていたら、土の中に埋設してあった電線まで切っちゃったんです」
「え? どれ? これ?」
「一瞬、すごい火花が出て、びっくりしましたよ」
「こっちのほうがびっくりだよ。玄関ホールは停電だぞ」
「あ、そうですか。すいません」
「さてと、この電線は、どの回路だったかな?」

ちょっと調べてみたら、夜間に点灯する「外灯」と「防犯カメラ」の電線でした。防犯カメラは緊急性がないとしても、外灯はまずいです。このマンションは、外灯が点灯しないと完全に真っ暗になる危険な場所がいくつかあるのです。もちろん、玄関ホールが真っ暗なのも困ります。

ためしに、外灯を制御しているブレーカーをいじってみましたが、やはり、完全に断線していて、電灯がつきません。私も植木屋も電気は素人のため、すぐには直せません。しょうがないので、管理会社のほうに電話をして、「電気の専門家をよこしてください」と出動依頼。しかし、今ちょうど、別の現場で、落雷の復旧工事に出かけていて、すぐにはいけない。3時間くらい待ってくれ」との返答。

 しょうがないので、私だけ居残りです。幸い、日の長い季節だったからまだましですが、それでも、7時を過ぎるとだんだん暗くなります。玄関ホールの照明は、管理室のコンセント(この回路は生きている)に電気スタンドのコードを差し込んで、カウンターの上に電気スタンドを置いて、それで代用しました。
 帰宅してくる住民は、「何これ? 珍百景?」と聞いてきますので、いちいち説明します。屋外の「外灯がつかないと困る」場所に関しては、管理室の懐中電灯とか、その時にいた理事会役員の部屋をまわって集めてきた懐中電灯を数個置いて、急場をしのぎました。

 そのうちの会社の電気設備担当の技術者がやってきて、午後九時には復旧しました。

 このバカな植木屋のおかげで、疲れました。

 それにしても、理事会の指示でもなく、一住民が「切ってくれ」と頼んだのを、管理人に断りもなく、勝手に切るのは困ります。でも、その一住民も困った人です。ほんと、このマンションは自分勝手な人ばかり。





2010/7