管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

「加齢性生活臭」という問題
暖かくなると苦情が出てきます



2015/5


 
前回、生活騒音の話をしましたが、今回は「
悪臭」の話。

マンションでの悪臭というと、「ペット」「ゴミ関係の腐敗臭」「タバコ」「外国人特有の臭い」なんかがあって、そういうのは他のサイトでもよく書かれているので省略しますが、今回は
「老人臭」と言いますか。

老人夫婦が生活する部屋というのは、独特の臭いがします。普通、管理人は住民の部屋の中に入ることは滅多にないものの、体があまり丈夫じゃない老人の場合、「蛍光灯が交換できないんだけど」「新しく買ったテレビが映らない」「粗大ゴミを出したいんだけど手伝って」等、管理人の業務外のことを頼まれて、仕方なく、敬老精神で、室内に入ることも少なくありません。

そんな時に、その臭いを感じます。正直、気持ち悪い臭いです。「加齢臭が溜まりに溜まった」という面もありますし、高齢者は仏壇に毎日お線香を備える人も多く、「その線香の臭いが染み付いてしまった」とか、「漬物が好きだから、その臭い」とか、とにかく、高齢者っぽい悪臭というのがあるのです。

そして、高齢者の特長として、「クーラーなどの人工的な空調が嫌い」という面があります。このため、ちょっと暑くなると、部屋の玄関のドアをあけて、ベランダのサッシもあけて、室内に風を通します。こうやって、風を通していれば、悪臭もなくなるような気がしますが、なぜか、なくならず。悪臭が玄関ドアから外に出てきます。

隣に若い人なんかが住んでいると、「廊下を歩く時に、お隣さん(高齢者)の部屋の悪臭が外に出てきて気持ち悪い」ってことになります。そして、その苦情を管理人に言ってきます。まあ、「あんたの部屋、臭いよ」と年上の人に面と向かって言うのは気がひけるのはわかります。ただ、それを管理人に言われてもねえ。

ペットなんかだと、「ペットの臭いが気持ち悪いという苦情が来ています」と伝えることはできますし、掲示板に、ペットを飼う際は臭気に気をつけてください」といった注意喚起の貼り紙もできますが、高齢者が普通に生活しているだけで発生する生活臭の場合、「相手に注意しても、相手もどう対処したらいいのかわからない」「ご本人は悪臭を出している自覚が全然ないから、なかなか理解してもらえない」ということが多いです。玄関ドアを開けることも、「省エネなのよ」と主張されれば反論もできず。

なにしろ、年金生活者の高齢者は、室内にいる時間が、勤め人とは違いますから、臭いが溜まりやすいのかもしれません。また、ずっと室内にいるってことは、ずっと玄関ドアを開けっ放しにしている時間が長いということでもあり、それだけ被害を受ける人が多いってことで。

これも一種の高齢化問題なのかな??

そういえば、高齢者って「ケチ」って面もあり、ゴミ袋を別途買うことなく、スーパーのレジ袋だけでゴミを出そうとする人が多いです。今のレジ袋は昔みたいに、大きめのものはくれないで(スーパー側もコスト削減努力をしています。アベノミクスの失敗で)、小さな袋しかくれないし、そのレジ袋はすごく薄くて、すぐに破れるし。そういうレジ袋を使って、ゴミを捨てようとすると、「密閉できないから悪臭が外に漏れる」ということもあります。

「**さん、臭いんですよ」とも言えないしなあ。困った困った。

(耳の悪い高齢者がドアを開けていると、テレビの音なんかも大きく外に漏れるから騒音問題も起こすし、ほんと、高齢者には困ります。自分もそこに足を踏み入れている人間だから、あまり悪くは言いたくないけど)

余談

これは高齢者に限ったことじゃありませんが、今は、「消臭力」とか「アロマ」とか、悪臭を消すための道具がいろいろと増えているんですが、「消臭剤の臭いが気持ち悪い」っていう苦情もあるんです。「消臭剤が臭い」ってなると、どうしようもないですよ。困ったなあ。洗濯洗剤も香料の強いのが多いしなあ。