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天ぷら油火災の消火方法




まず、最初の最新ニュースを。

 

窃盗容疑で平塚市の消防士を逮捕 7年で200件と供述

 神奈川県平塚市消防本部の消防士長山下勝治容疑者(38)=同市河内=が窃盗などの疑いで神奈川県警に逮捕されていたことが30日、県警への取材で分 かった。県警によると、山下容疑者は「休みの日に(同県)湘南地域で7年間に約200件やった。仕事のストレスがたまっていて快感があった」と供述、裏付 け捜査を進めている。

 逮捕容疑は2007年3月24〜25日、同県大磯町の会社員(34)宅に侵入し、テレビやデジカメなどを盗んだ疑い。

 県警によると、山下容疑者は一人暮らし。調べに対し「現金を盗んだこともあり、生活費や遊興費などに使った」と説明。ドイツのBMW社製の乗用車1台のほか、米国のハーレーダビッドソン社製の大型バイク3台を所有しており、入手の経緯についても調べている。

 平塚市によると、山下容疑者は1992年に同市消防本部に採用。09年10月からは救急隊に所属していた。勤務態度はまじめだったという。
共同通信

今年の頭のニュースでは

2009年1月28日夜、名古屋市中川区の消防署でボヤがあり壁や網戸などが燃えました。
原因は消防士のてんぷら油の火の消し忘れでした。
ボヤがあったのは中川消防署下之一色出張所で、
28日午後7時半頃、男性消防士が台所で調理中に出動命令が入り、
コンロの火を消し忘れて出動、その後天ぷら油から出火したということです。
およそ15分後に別の出張所の消防隊が消火しましたが、
台所の壁や網戸などが燃えました。
調理をしていた消防士は「出動指令で慌ててしまい、
火を消し忘れた」などと話しているということです。(29日08:04)

まあ、ほんとにまともな消防士って、いるんでしょうか?当HPの中にも数々の記載がありますが、「ろくでなし」ばかりです。

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家庭内の火災の原因の第一位、ほぼ半数を占めるのが「
天ぷら油火災」だそうです。
二位が「タバコ」、三位が「放火」だそうです。なお、最近急増しているのが、「アロマテラピーからの発火」だそうです。気持ちを落ち着けるためにアロマで、火事になったら、落ち着きません。

 さて、この前、東京の居酒屋で起きた火事。多くの死傷者が出て、「またか。何度同じことを繰り返すのか?」と憤慨しました。非常口には座布団が高く積まれ、事実上「非常口としては機能しない」状態だったそうです。店の経営者は殺人犯です。

 報道では、「てんぷら油から発火した際に、調理員が、水をかけて消火しようとして、余計に火が燃え広がった」とのこと。料理のプロが、いまだにこんな初歩的なミスをするのか?と愕然としました。

 今朝(2009/12/2)のズームインで、「天ぷら油火災の消火方法」の特集をしていたので、それに関連して一筆書くことにします。

「消火器がないときに、どのように、天ぷら油火災を消火するか?」というアンケートで、

1位 「鍋のふたをする」
2位 「水で湿らせたタオルでふたをする」
ここまでは、私もよく知っていることだったのですが、驚いたのは、第三位。
3位「マヨネーズを容器ごと投げ入れる」というもの。これは初耳で、びっくりしました。約1割の人が回答。
4位「野菜類を投げ込む」


さて、ズームインではいろいろと実験していました。その実験映像と、ネットでの収集データをもとに混ぜて説明します。


その前に、真っ先に行なう、一番大事な初期消火作業は、「コンロの火を消す」ということです。これをしないと、いくら、いろいろな消火作業を行なっても無意味です。さて、コンロの火を消した後にやることですが。

「水を入れる」・・・・結果は火を見るよりも明らか、というか、火を見てる。すごい勢いで、火が部屋全体に広がって、爆発状態になっている。普通の人なら、この瞬間に大やけどしている。油火災では絶対にやってはいけないことです。これを居酒屋の店員はやってしまったのなら、その人はあまりにもバカ。

「鍋のふたをする」・・・一瞬で火は消えました。ただ、「消えた」と思って、ふたをとりはずしたら、再度発火。
天ぷら油火災の重要なポイントは「引火して火がつくのではなく、油温が360度になると自然発火する」ということです。このため、いったん消火しても、油の温度が低くなっていないと、空気に触れると再発火します。ですから、ずっとふたをしたまま、監視しつつ放置し、油温が下がるのを待つ必要があります。
なお、ふたがぴったりはまらないと、隙間から空気が入ってきて、消火できません。

「水で湿らせたタオルでふたをする」・・・・水で濡らした後に、十分に絞って、水滴が垂れないようにすることが肝要です。これもかなり効果があり、一瞬で火が消えます。
しかし、かなり火の勢いが強くなっているほど過熱している状態では、タオルの水分がすぐに蒸発し、乾いたタオルになってしまい、タオルに引火してしまいます。できれば、薄いものよりも厚いものがいいようです。なお、バスタオルが最適ですが、あまりに重いタオルをかけると、うまくかぶせないで、鍋を倒してしまったりすると逆効果です。この方法も、有効ではあるものの、完全ではありません。また、「ふた」と同様、「消えた」と思って、タオルを外しても、油温が下がっていないとまた発火します。ですから、消火した後も、水をチロチロとタオルの上にかけて湿らせ、乾かないようにして、時間をかけて、油温が下がるのを待つのがいいようです。水のかけ具合が難しいですが。

「マヨネーズを容器ごと投げ入れる」・・・実験では投げ入れたことによって、油がはね、火が広がる、マヨネーズの量が少ないのか、マヨネーズの脂分に引火し、もっとひどい状況になった。ということで、専門家のコメントで、「やってはいけません」と結果づけられていました。
このマヨネーズですが、私は知らなかったので、もしかして、「都市伝説」とか「民間伝承」の類かと思って、ネットで調べてみたら、驚いたことに、消防署が推奨している方法でした。滋賀県彦根市の消防のHPにも「確実ではない」と注記しながらも、この方法を紹介しています。神戸市消防でも「確実性に欠ける」と注記しながらも、「消火できる場合がある」と紹介しています。
また、山梨県警のHPでは、

●消火にマヨネーズは有効?〜山梨県警生活指導課より〜

 最近防犯防災に関するテレビ番組が増えてきましたね。その中でも、てんぷらなど台所で料理をしていて発生した火災に対し、マヨネーズを入れれば消火することが出来るという話は、一度くらい目にされたことがあるのではないかと思います。
 このマヨネーズでの消火方法は89年に発表されて以来かなり浸透しているといえますが、対処を誤ったために失敗して家を全焼した例も増えています。
 まずマヨネーズでの消火のしくみについて理解しておきましょう。何故マヨネーズで消火できるのかというと、容器が溶けて中身が出た時に、マヨネーズに含まれるたんぱく質が高温で膜の役割を果たし、燃焼に必要な酸素を遮断してしまうからです。
 しかし、てんぷら油が発火しておらず、白煙が上がっているだけの状態でマヨネーズを放り込んでも容器が溶けないため消火には至らずまた、マヨネーズを放 り込んでも火を止めないで加熱し続けていては意味がありません。マヨネーズでの消火に失敗した事例では、マヨネーズを放り込んで鍋に蓋をしたもののコンロ の火を止めず鍋を熱し続けたため鎮火することなく、その後鍋の蓋を開けてしまったため酸素が供給され火災に至ったという経過が判明しています。
 マヨネーズや濡れタオルをかけることは必ずしも万能ではありませんが、使用方法を理解していれば火災を防ぐことは可能です。何でもかんでも放り込むので はなく、白煙が出たらまず火を止める。その後発火してしまったらマヨネーズなどを放り込むと覚えておいて下さい。もちろん、十分に温度が下がるまで絶対に 蓋を開けないようにして下さい。

言いたいことはわかるし、詳しい原理、危険な点も書いてありますが、危険性の高い方法を警察が推奨するのはどうかと思います。さすが、市民の命などなんとも思わない警察の考え方です。

また、大阪市消防では、以下のような論文を発表しています。

1989 年8月,大阪市消防学校で行われた天ぷら油火災消火実験の実験結果報告の第二報である。マヨネーズの消火作用は,約20重量%等の冷却作用と油面に形成さ れた泡層の封鎖作用によるものと考えられる。マーガリン,ケチャップ等マヨネーズ以外にも投入物として選んで実験を行ったが,マヨネーズが最も安定した消 火性能をもっていた。その理由を以下に述べる。1)火の入った鍋に投入後の火災の増大が比較的小さいこと,2)マヨネーズが容器から溶け出すまでの遅延時 間があり,油の飛散等の危険から身を守ることができること,3)鍋への投入が比較的容易であること。消火に必要なマヨネーズの量は,油量に対し4割強の重 さがあれば完全消化が可能である。マーガリン投入は短時間で消火できたケースと共に,爆発したケースもあり適さない。液体洗剤,ケチャップ,ヨーグルトも 消火には適さないことがわかった

消防署がこんなことを発表してはだめですよ。「最も安定した消火性能」と書いたら、これを見たマスコミがろくな検証もせずに、「家庭の知恵」とかで報道し、市民に浸透してしまいます。だから、今回のアンケートでも、マヨネーズが3位になってしまったんですね。「油量に対して4割強の重さのマヨネーズ」っていったら、「天ぷら油火災のために、常に、マンタンの新品マヨネーズを用意しておいて下さい」ってことじゃないですか?

こういうのを受けて、個人のブログでも
「油に火が着いた時は消火器を使ったり、毛布を使ったりすることも多いようですが、最も簡単なのは何とマヨネーズなのです。
 冷蔵庫からマヨネーズを取り出して、パックごと油の中に投げ込んで下さい。
 パックは溶けて中身が流れだし、鍋一杯にあふれて火が消えてしまうのです。
 これは実験でも明らかになっている事で、あふれたマヨネーズが油の表面に浮いて「酸素」を遮断してしまうのです。
 これで主婦の皆さん、安心して長電話出来ますね。(!?)」(科学的雑学のススメさんより)

天ぷら油が発火して近くに消火器が無い場合、こんなもので代用できるというものを教えてください。濡れた布、マヨネーズなどは知っています。

以前、神戸(?)の消防署が提案していた「マヨネーズ消火」を
実際のてんぷら油火災で実践したお年寄りの家が、
全焼してしまったニュースが過去にありました。
直後に、消防署は「場合によっては効果がない」と
弁明したような気がします。


上記は、ある掲示板で2003年に書かれていたものです。これから推測するに、各地の消防署では、この全焼事件以前は、「マヨネーズ消火」を無条件に推奨していたのかもしれません。ほんと、公務員はバカで無責任です。

2004年版の東京都消費生活局のHPでは、

また、マヨネーズを使って天ぷら油火災を消火する方法が一部で紹介されていますが、場合によっては逆効果となり、延焼が進むことがあり危険です。これはやめましょう。

と書かれています。推奨したり、やめろといったり、役人というのはなんなんでしょうか? だから、年金が消えるんです。役人たち自身の年金はしっかり守られていますが。


「野菜類を投げ込む」・・・・野菜には水分があるため、「水を入れる」と近い状況になってしまい、無意味で、「やってはいけない」と結論づけられていました。
ただし、これは他局の実験では、「よく水気を切った野菜を少しずつ、ゆっくりと投入していくと消える場合がある」と紹介されているものもあります。

さて、油火災では「油の温度を下げて、自然発火させないようにする」ことが肝心です。このため、ある中華料理屋さんなどでは、「油が発火したら、その鍋に大量の油を注いで、鍋全体の油の温度を下げて消火する」といった荒療治が店内では伝承されているそうです。たしかに、冷たい油をたくさん投入すれば、油温は冷えますから、理にかなっています。ただ、少量の油では逆効果です。


そういうわけで、「一番いいのはやっぱり消火器」ということなんですが、ズームインでは、「一般的なABC粉式消火器は、てんぷら油火災では、そんなに有効ではない」と言ってました。「一瞬消すことはできるが、油温を下げることができないため、再発火の可能性があるから」だそうです。

 

 こんなこと言われると困ります。我々管理人は、「家庭内で火災があったら、廊下に設置されている消火器を使って、消火して下さい」と日頃言っているんですから。

 では、「天ぷら油火災にはどういう消火器がいいのか?」ということなんですが、ズームインでは「冷却効果のあるものを使ってください」と言ってました。テレビなんで、あっという間に説明していて、商品名とか書きとめる時間がなかったのですが、調べてみると、「強化液タイプ」という消火器がありました。

 東京都消費生活局のHPでは
強化液タイプは冷却効果を持つため、上昇した油温を発火温度以下に下げることができ、消火の開始時期が多少遅れてもほぼ確実に再燃することなく消火できます。
 お手持ちの消火器類の特性を良く知り、火災に対応することが必要です。

と、書いてあります。

 お年寄りの多い、当マンションで、「特性をよく知り」とか言われても、誰も理解できないと思いますけど。要するに、一般のABC消火器は「粉」なので冷却効果はゼロだけど、「強化液タイプ」は液体なので、冷やすことができるようです。





 ホームセンターに行けば、家庭用の小型のものも何種類かあるようで、買っておくことがいいようです。でも、ついこの前、「家庭用として売られている消火器の中に、効果のない欠陥品が発見された」というニュースがあったばかりです。

 いったい、何を信じていいのか? とにかく、消防署っていい加減だと思います。でも、家庭用警報機を買え買えってうるさくて。
絶対、警報機業界からワイロをもらってるな。

 マスコミも公的機関の情報をうのみにせずに、全部実験してから報道して欲しいなあ。




2009/12