管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

理事長の交代時期 大変なんです




 まもなく、定期総会が開催されます。今、その準備でてんてこまいの忙しさで、当サイトの更新も滞っておりすいません。総会の準備で一番活躍する「コピー機」が不調で、故障してばかり、メンテナンスに来てもらって、一時的に回復しても、またすぐに故障。最悪です。リース契約なんですが、つい先日、「最新機器に交換しませんか? スピードもかなり速くなってますよ。 今ならお得なキャンペーンやってますから」というメーカー側の口車にのって、機種を変えたばかりなんですが、これが完全に裏目に出ました。昔の機種に交換してもらいたいくらいです。

 さて、総会というと、「役員の任期満了〜交代」があります。当マンションでは、1年任期で、全員が入れ替わります。前回の理事会で、新役員の役職決めが行なわれており、総会は今週末なんですが、現時点で「次期役員の役職」はすべてわかっています。私は担当フロントに対して事前に、「理事長は一番大事な役職。ちゃんとした人を選んで欲しい」と要望し、「この人には絶対に理事長をやらせるな」というマル秘リストも渡して、かつ、「理事長をやりたがる人間はいないから、まず始めに他の役職を決めて、そして最後に理事長を決めるのは、絶対にやめて欲しい。そうするとカスしか残らないから」とクギを刺しておきました。
 しかし、あにはからんや、「俺は理事長はやりたくないから、最初に楽な役職に立候補して、理事長職にならないようにしよう」と画策する、要領のいい新役員に、場を仕切られて、フロントマンは何もできずに、理事長以外の役職がどんどん決まっていきます。そして、外堀は全部埋められて天守閣だけ残りました。もう、この時点で、役職についていないのは、失礼ながらカスばかり。「管理費を滞納している人」「駐車違反を繰り返す人」「全然やる気のない人」(それでも出席しているだけましか)「わけがわからず、ただ出席しただけの外国人」・・・・・などなど難敵ばかりです。そして、このなかでじゃんけんが行なわれ、「負けた」人が理事長になりました。(外人さんがジャンケンを知っていたのはびっくり)

 新理事長に決まったAさんは、「決められた駐輪場に自転車をおかずに、気ままな場所に置く」「共用部分の緑地に勝手に自分で種を撒いて、トマトを育てる」・・・・といった「公共心のかけらもない人」です。言葉の通じない外国人よりはましなのかもしれませんが、それでも、「この人だけはやめてくれ」のリストに入っている人で、管理人にとっては最悪の人選です。

 ところで、総会の議案のひとつに「新役員承認の件」というものが、毎年必ずあるのですが、私はいつも不思議でしょうがないです。総会の案内を組合員に配布する時点で、すでに「理事長はAさん。副理事長はBさん、監事はDさん・・・・」と決まっているのですが、議案には役職は載っておらず、名前しかありません。これは手落ちではないでしょうか? 管理組合というのは、理事長に権限が一極集中しており、理事長の資質によって、組合の運営は大きく左右されます。ですから、「誰が理事長をやるか」ということが最重要なのです。議案にも、「Aさんが理事長です。それでいいですか?」とすべきだと思います。住民の中には、「Aが理事長? あいつにできるわけないだろ! それだったら、この議案には反対する」という人がいるはずです。誰が理事長になるのか教えずに、「新役員の人事を承認してください」というのは、片手落ちではないでしょうか?



 話はかわって、新しい体制に変わる時期ということで、書類の整理を行ないました。そうしたら、「理事長変更に伴う事務処理の注意事項」という書類が出てきました。作ったのは、自分なんですが、その存在をすっかり忘れていました。(歳のせいですね) 理事長が変わると、一番面倒なのは、「銀行口座の名義変更」です。以前も書いたことがありますが、また書きます。
 うちのような大きなマンションでは、財産もかなりあるため、いろいろな銀行に口座を持って、分散させてお金を保有しています。ペイオフ問題に絡んで、すごい数の口座を持っています。しかし、分散させたいのに、銀行は合併を繰り返して、その数が減ってしまっているために、都市銀行だけでなく、地銀や信金、信託銀行などなど、場所も離れていて、いろいろなところに口座を作ってしまったため、その口座の名義をすべて「新理事長の名前」に変更することは、丸1日かかる大変事務作業です。いや、丸1日どころではありません。変更のための用紙を、各銀行をまわって集めてくるのに1日かかります。(「一度に何年か分をまとめて持ってきてストックすればいいのに」と思われる人もいるかもしれませんが、こういう用紙って、けっこう頻繁に変更されるもので、昨年のものが今年は使えない、ということがよくあります。ですから、やはりその都度集めなくてはなりません) それから、「名義変更を第三者に任せて行なう」ために、理事長の「委任状」が必要ですし、理事長の身分証明書なども借りなくてはいけません。こういうのって、普通のマンションでは、「新理事長が、仕事を1日休んで、自分で銀行回りをして、手続きを行なう」「管理会社のフロントマン、もしくは事務担当者が行う」のが一般的なんですが、なぜか、当マンションでは管理人にすべて任されていました。このため、この時期になると、出勤はしていても、「管理人さんが丸1日外出していて、マンションにいなかった」という苦情が出ます。私としても、「こんな面倒な仕事、管理人にやらせる会社なんかないぞ。フロントがやるもんだろ。管理人がマンション内にいないんじゃ管理人じゃないぞ」と、会社側に直訴して、今は、フロントマンがやることになりました。やっと解放されました。

 さて、この注意事項を読んでいて、昨年起こしたミスを思い出しました。理事長が変更になる時期、銀行に提出する書類は気をつけなければいけないのです。総会終了時に、役員の変更は実施され、新理事長も誕生します。この時点で、理事長印も手渡されます。しかし、銀行の名義はしばらくは旧理事長のままです。昨年は、名義変更手続きが遅れ、そのことを知らずに(確認をしなかった私の凡ミス)、新理事長の名前で、銀行に管理費関係の手続きにいってしまいました。当然、「理事長の名前が違っています。この書類は受理できません」と突き返されてしまいました。そうなんです。名義変更が済むまでは、銀行関係の各種書類に関しては、「理事長の署名は、旧理事長からもらう」「印鑑だけは新理事長に押してもらう」という、なんとも面倒な作業が必要になるんです。そういった、注意事項が、この「理事長変更に伴う事務処理の注意事項」に書いてあるわけでして。事前にこの書類の存在に気がついてよかったです。でないと、昨年と同じミスを今年もやってしまう可能性が大でした。なにしろ、うちのフロントマンはきちんと連絡をしてこないいい加減な人間なので、管理人側から「名義変更の進捗状況はどうなの?」と聞かないといけませんから。

 まあ、とにかく、この「変更の糊代の時期」というのは面倒です。管理人も大変です。1年前のことをすっかり忘れてしまう私自身も情けないです。
 




2008/5