管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

大規模修繕後の植木の管理 







 今日、引越しがありました。普通、引越しといえば、事前に管理人に連絡するものですが、このマンションではそういう人は珍しく、今日も事前連絡なしでした。聞いたことのない会社で、車は白ナンバー(おいおい、運送法違反じゃないの?)。トラックから降りてきたスタッフはくわえタバコ。そのタバコ、どうするのかと見ていたら、植栽の中に隠すようにしてました。

 おい! そこは灰皿じゃないよ! ・・・・・・   管理人として当然怒り、厳重に注意しました。


 さて、当マンションは大規模マンションということもあり、植栽がたくさんあります。高速道路の中央分離帯の植栽もそうですが、どうも、植栽というのは、タバコとか空き缶を捨てられる標的とされることが多いです。うちの植栽も向こう側がまったく見えないほど繁茂しているため、半分ごみ捨て場になっています。年に1回行われる、「剪定作業」でバッサリ切られると、植栽はすっきりするんですが、葉っぱがなくなったことで今まで隠れていたゴミが露見します。ですから、毎年、植栽剪定のあと数日間は、植栽の中に捨てられたゴミの清掃に追われます。困ったもんです。

 「それにしても、なんでうちのマンションはこんなに植物が多いんだろう? 他のマンションはここほどひどくないぞ」と感じます。剪定に来る業者も、「敷地面積の割りに多すぎる。これでは採算が取れない」と嘆いており、しょっちゅう業者さんが変わっています。

 以前、ある住民から、竣工後数年後のこのマンションの外観写真を見せてもらったことがあるんですが、植栽なんてチョロチョロしかなく、とても見通しのよいマンションでした。それが今はジャングル状態。「見通しが悪いのは防犯上も問題だ。思い切ってバッサリ切り倒すべきだ」という意見の住民もいます。

 その写真を見てから、「いったい、なんでこんなに増えてしまったのだろう?」と常々疑問に思っていました。

 古くからいる、いろいろな住民に質問してみて、大きなきっかけとなったのは、第一回の大規模修繕工事らしいことがわかりました。
 大規模修繕工事では、全部屋のベランダも工事の対象になります。この時すでに当マンションでは、「ベランダには植物をいっぱい置いている人がたくさんいた」そうで、工事の時にこれがじゃまになるため、一時的に「ベランダから移動させて、共用植栽部分に置かせていた」そうです。一時的に移動したのなら、工事終了後にちゃんと元に戻せばいいのに、いい加減なことに、戻す作業をちゃんとしなかったそうです。そのまま、共用植栽部分に放置される植木がたくさんあったそうで、その後ずっとそのままほったらかしにされました。これが、とても大きく成長してしまいました。なかには、植木鉢に入っていた植木を鉢から取り出して、地面に直接移植してしまった人もたくさんいたそうで、その結果、共用植栽部分は、多種多様の植物がなんのルールもなく、勝手に成長を続け、ハチャメチャな状態になってしまいました。魚の世界のブラックバスのように、植物の世界でも、「成長の早い外来種が、もとからある国内種を駆逐してしまったところもあります。広範囲に生い茂ってしまったため、光が当たらなくなった、もとの植物が枯れてしまうのです。

 植栽の管理を何にもしなかった組合はずっと放置し続けました。こうなると、あとから自分勝手に共用部分に植える人もいます。どんどんどんどん、共用部の土のある部分は植物園化していきました。共用部なのに、「自分専用の花壇にする人」「ビニールハウスを作ってしまった人」「ナス、キュウリなど家庭菜園にした人」「ハーブ園にしてしまった人」「プランターをひな壇に置く人」・・・・・
まあ、とにかくすごい状態です。

 実は、建物の裏側にある「貯水タンク」に我々裏方が行くときに通る場所にも植物が植えられ大きく成長してしまったため、我々が通りにくくてしょうがいないです。「じゃまだ。切ってしまおう」と切ろうとしたら、「この柿の木は私が植えたものだ。勝手に切るな!」と怒る住民がいました。柿の木まで植えてるんです、このマンションは。常軌を逸しています。「でも、ここは共用部分ですから、個人のものはだめですよ」と説明すると、「だったら、マンションのあちこちに、住民が勝手に植えた植物がたくさんあるぞ。それも全部切れ!」と開き直られてしまいました。理事会に諮って、この木を切らせてもらう許可を得ようと思ったら、当時の理事長も、「実は私も、東棟の裏にアジサイを植えて、6月にはきれいに花が咲いて、みんな喜んでるからいいでしょ?」なんて、バカなことを言う始末。結局、いまだに切れていません。このため、管理人も設備点検員も貯水槽清掃作業員も、朝日放送の川口探検隊のように、ジャングルの密林の中をかいくぐりながら、貯水槽に行っています。

 今、温暖化で、本来なら露地では成長しないような南の植物も、成長できるようになりました。そして、南の植物というのは成長が早いです。「金のなる木」なんて、あっというまに大きくなりますよ。ほんと、このマンションの裏は、ジャングルみたいになっています。

 植栽管理、大事だと思います。大規模修繕工事のあとにちゃんとしなかった当時の理事会に大きな責任があります。

 


2007/6
昔、芹洋子さんが「花を愛する人は、心清き人〜」と歌ってましたが、全体にウソ!
他人の迷惑を考えない悪人です。