管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

「駐輪場」であって、「自転車置場」ではない
用語の定義により困ったことが起きます





2015/1


 当HPでは「駐輪場」という言葉がよく出てきます。これは、要するに「自転車置場」なのですが、当マンションの管理規約や使用細則においては「駐輪場」という用語が使用されています。ですから、正式名称が「駐輪場」です。

 この「駐輪場」という言葉のために、マンション管理において弊害が生じています。管理人としての正直な気持ちは、「なんで、分譲会社は、”自転車置場”と表記してくれなかったのだ?」と嘆いています。

 というのも、当マンションの「駐輪場」は、機械式とか2段式ではなく、ただの「地面」です。つまり、平置き式です。地面に白線を引いただけです。そこに屋根がついています。
 機械ではないので、なんでも、置けてしまいます。極端な話、「ベランダに置くような、アイリスオーヤマのコンテナボックス」まで置くような人がいます。さすがに、これは、苦情も来て、「駐輪場にコンテナボックスを置かないで下さい」と注意をさせてもらって、どかしてもらいます。

 さて、「自転車置場」ではなく、「駐輪場」ということで、これを逆手にとって、「バイク」を置く人がいっぱいいます。いわゆる、「スクーター」と言われる原付バイクが多いです。バイク専用の置き場が数が少ない、という理由があるのですが、「平置きだから、なんとか置けるから置いてしまえ」と考えて、無理矢理置くのです。当然、自転車用に設計した駐輪場の区画なので、区画線からははみ出してしまい、両脇の自転車に迷惑をかけるのですが、そんなことはお構いなしです。

 無論、左右の自転車の持ち主から苦情が、管理室に来ますが、バイクの持ち主は、「ここは、自転車置き場ではない、駐輪場だ。管理規約にもそう書いてある。バイクは、2輪だ。輪だ。だから、駐輪場に置いてもいいはずだ」と反論するのです。
 「輪だ!」とか言われても、こっちは、「リンダ、困っちゃう」になっちゃうわけで。でも、たしかに、表記は「駐輪場」だし、駅前の駐輪場には、その中に、「バイク置き場」もあるし。バイクが「輪」の範疇に入るのは世間では認められています。そして、駐輪場の使用細則の中には、「指定された場所に置くこと」とは書かれているものの、「区画線からはみ出てはいけない」とは書かれていないのです。(わざわざ、当たり前のことは書かないのです)

 我々、規約や細則を根拠に仕事をしている身としては、このように、規則に沿った反論をされると弱いです。ですから、分譲会社の初期設定がいかに重要か、ということの証左になります。分譲会社が「自転車置場」という用語を使うべきだったし、当たり前のことだけど、「区画の線の内側に置き、線からはみ出してはいけない」という条文を入れるべきだったのです。


 このため、「駐輪場に原付バイクを置くこと」を、はっきりと禁止できません。まあ、理事会が頑張ってくれればいいのですが、何もしてくれないし。(本当は、現実に即していない規約条文とかいっぱいあるから、規約も細則も見なおして欲しいのですが、そんな面倒なこと、フロント君も理事会役員もやりたがりません)

 おまけに、ここのところの高齢化で、「自転車に乗るのをやめた」なんて部屋も増えて、「子供がたくさんいるから、1部屋で7台の自転車を保有」というところもあれば、「ゼロ台」というところもあり。「空いている駐輪場に、複数台持っている部屋の自転車を置きましょうよ。そういう制度にしましょうよ」と、私は何でも提案していますが、それも実施してくれず、「駐輪場に空きがあるのに、マンション内の廊下に自転車が置かれている」なんていうおかしな状況です。空きがあると、そこにはスペースがあるわけで、それにつけこんで、お隣さんが、大きなバイクを購入して置くケースも出てきています。今までは、原付バイク(=50cc)だったのに、125ccなんてのを買ってくる人がいるのです。

 今、問題になっているのが、ヤマハのトリシティという「3輪バイク」です。(詳細は、メーカーHPを参照願います) これ、バカでかいです。駐輪場の3台分のスペースを占拠します。常識的に考えれば、自転車用に設計された駐輪場に、これを置くなんてことはありえないのですが、このマンションでは、そういう常識は通用しません。

 これはさすがに、発見した住民から、「いくらなんでも、あれはおかしいだろ!」という「常識的」な苦情が何件か寄せられて、その日は土曜日で理事長が在宅だったので、電話で「さんりんバイクが突然置かれてまして・・・」と伝えたら、どうやら、理事長は「山林バイク」だと思ったらしく、(そんなバイクなんかないと、思うけど) 「山の中を走るバイクですか?」とか、頓珍漢なこと言い出すし。その後、実物を見ても、何の対策もしてくれないし。

 このバイクは、本当に大きくて、長さもけっこうあるので、左右だけでなく、その向かい側の自転車の出し入れにも支障があるので、向かい側の自転車の人が、「これじゃ、うちの自転車は、駐輪場には置けない」ということで、自室前の廊下に置くようになってしまい。その廊下の自転車に対して、また苦情が来るし。というような、トラブルのドミノ倒し状態で、今、困っています。

 バイクってことは、エンジン音による騒音問題も起きるし。

 今、アベノミクスによる大不況(東京はいいかもしれないが、地方都市は本当に疲弊しています)で、「お金がないから自動車をやめてバイクに切り替える」という人が増えて、当マンションでも、125ccのバイクが急に増えました。バイク問題、なんとかして欲しいなあ。だから、ちゃんと、「自転車置き場」という呼称にして欲しいです。


 なんてことを、近所の管理人さんと話していたのですが。
「うちなんか、自転車置場という名称だけど、バイクを置く住民がいるよ。その人の言い訳は、”このバイクの正式名称は、原動機付き自転車だ。だから、自転車なんだ”というこじつけで。メチャクチャだよねえ。困った」
とのことでした。そんなこと言うと、125ccも、税法上は「原付2種」という種別になり、「自転車」ってことになっちゃうんだよなあ。原動機付き自転車なんて、今の世の中、イタリア?のTOMOSくらいしか存在しないんだから、もう、「原付」という用語自体を変えて欲しいと思います。50年遅れてますよ。