管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

定例記者会見 〜 広報のありかたについての私見



20年前の宮崎駅の様子



 なにかと話題な「そのまんま東」知事。私の予想に反して、けっこうがんばってます。いろいろな障害がこれからあると思いますが、まずは県民のためにがんばってください。

 その東知事。先日の定例記者会見の席でこんなようなことを言ってました。
「この定例会見って、やめられないですかね。今日は何も話すことはないんですが。これに1時間取られるのは大変なんですよ。1時間話しても、新聞記事になるのはほんのわずかでしょ。もっとたくさん掲載してくれるのなら意味もあるんですが・・・」
 これに対して、記者側は「会見内容を記事に載せる際の編集権は我々にある。今の発言は編集権への介入だ」と、すごく怒り、「そんなことはないですよ。県民の知る権利をないがしろにするあなたがたのほうが悪い」と切り返す知事との間に、一触即発の気まずい雰囲気が流れました。

 今回の東知事の発言は、管理組合の運営にも関連した大事な内容だと、私は考えます。東知事は休日がまったくとれないほどの大忙しの人です。多忙を極める彼にとって、「貴重な時間をさかなくてはならない定例会見」(準備や後始末を含めると、費やす時間はもっと長いかも)は重荷かもしれません。特に、「話すことが何もない日」というのは、「無駄な時間」かもしれません。そして、一生懸命話しても、「記事になるのはほんのわずか。発言しても県民の耳に入らないことが多い」ということになれば、腐る気持ちもわからないではありません。しかし、「情報公開」も彼のスローガンのひとつですから、やめるわけにはいかないでしょう。

 私からの提案としては、「とにかく、会見の開催は継続する (知事側からの報告はなくても、記者からの質問はあるかもしれません)」「所要時間は、1時間と区切ることなく、何もなければ、早めに切り上げてもいい」「マスコミ側も、芸能ニュース的な知事の行動ばかりを報道するのではなく、地道な政治活動のことももっと県民に伝える努力をする」と考えます。


 さて、上記やりとりに関連した、某Aマンションでのお話。

 もともと、管理規約でペット禁止だったAマンション。ご多分に漏れずに「隠れ飼いの横行」により、「規則を定めての、条件付の飼育可能」へと変遷しました。この規則の中に、「飼い主の会の代表は、毎月開催される理事会に出席して、報告を行なう」というものが入っていました。最初のうちは、「会員名簿を作りました」「会則を守らない会員に対して注意をしました」・・・・などと、報告事項があったのですが、会の運営がうまく行ってくると、「特に報告事項はないんですけど、理事会に出席しなくてはだめですか?」と会長が言い出しました。「規則で決めたんだから」と言う役員と、「何もないならいいんじゃないの?」という役員の論争になりましたが、数で押し切られて、「報告事項が何もない時は、理事会に出席しなくてもいい」という、約束事が勝手に決められてしまいました。(書類上は載っていない、口約束)
 2年目になり、飼い主の会の代表者も入れ替わり、理事会役員も入れ替わりました。こうなると、過去の経緯も知らず、飼育規則もちゃんと読んでいない人ばかりになり、「理事会に出席する」ということは忘れ去られてしまいました。「出席しないのが当たり前」になってしまったのです。
 そのような、いい加減な状態になると、「マンション内で犬を放している」「廊下にウンコがあった」「会員でない人が飼っている」・・・・・などなど、さまざまな問題が、また復活してきます。「隔月で開催されているはずの、飼い主の会の会合」も、2年目から自然消滅していたらしいです。つまり、「会が形骸化した」ということです。このように、たとえ、報告することがなくても、一度規則で決めたことを変えるべきではありません。報告事項が何もなくても、「出席する」ことが大事な会の活動です。また、役員と世間話をするだけでも、コミュニケーションがとれますし、お互いに顔を覚えることができます。出席しないと、「今年の会長は誰?」というレベルになってしまいます。決められたことはきちんと守りましょう。飼い主様。

 次に別のBマンションのお話。

 このマンション、「理事会は原則的になし」「何か問題があった時にだけ、管理会社が呼びかけて開催する」「住民に対する開催予告掲示もなし」「理事会の決議事項の発表もなし」「定期総会開催も掲示もなし」「一般組合員は、理事会が何をしているのかまったくわからない」・・・・という、ないないづくしのマンションでした。新しいマンションのため、設備的な問題はあまり発生しませんが、コミュニティとして考えた場合には、はっきりいってスラム化が進んでいました。

 この理事会に、輪番制で新たに「よそのマンションから引っ越してきたばかりの新住民Cさん」が加わりました。この人は、2年前に、以前のマンションで理事長を経験した人でした。そのマンションはきちんとした理事会運営が行われていたため、Cさんは、このマンションのあまりにもひどい運営に驚き、運営方法を刷新しました。
「理事会は毎月開催する」「予告掲示を出し、議案をあらかじめ住民に知らせる」「一般組合員の参加を促す」「理事会議事録をきちんと作成し、理事会後に公開する。その内容も議決事項だけでなく、討論の中身も公表する」・・・・といった、元宮城県知事の浅野さんのようなやり方でした。
 Cさんが理事長をしていた1年はすばらしい1年だったそうですが、Cさんが退くと、石原都知事状態(情報を公開しない)に戻ってしまったそうです。
「理事会は隔月でいいんじゃないの? 毎月は大変だよ」
「議事録は、議決事項だけ書けばいいじゃないの?」
「理事会の誰が参加したかなんて記録を残さなくてもいいじゃない。私が欠席したのが証拠に残っちゃうよ」
「別に一般組合員の意見なんて聞かなくてもいいでしょ」
「議事録を全戸配布するのはコピー作業が大変だから、集会室に1部だけ保管しておけばいいんじゃないの?」
・・・・・

 どんどんどんどん、壁は崩れ、Cさんのときに立てた立派な家は、門も壁も柱もなくなり、屋根まで落ちてしまいました。


 
管理組合にとって、もっとも大切なことは「広報」だと私は考えます。
この「情報を公開する」という姿勢がなくなったマンションは、「すごく優秀な管理会社」&「全員が民度の高い住民」でない限り、確実にスラム化します。

 「何も報告することがない」場合でも、「何もありませんでした」と報告すべきであり、広報を停止するべきではありません。一度停止すると、何かあっても報告しない体質にすぐに変わります。

 管理組合という「家」は、蟻の一穴ですぐに崩壊するような脆弱なものです。毎年、補強工事も必要です。



しかし、東知事、「宮崎地鶏」と「名古屋コーチン」の味の区別がつかないところを全国放送されたのはまずいなあ。それに、そのあとの言い訳の見苦しいこと。「嫁さんが名古屋出身だから・・・・」って、全然理由になってないよ。


2007/5