管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

最新型エレベーターゆえの欠点 隣の工事で、停止してしまう





2014/12


 近くに、昨年出来たばかりの新しいマンションがあります。そこの管理人さんとは、たまに話すことがあります。

 今回は、その管理人さんから愚痴を聞かされました。(まあ、大抵の場合、管理人同士の会話は愚痴ばっかりなんですが)

「最新型のエレベーターはめんどくせえなあ」とのこと。

 そこのマンションのエレベーターは、当然のごとく最新型なわけですが、最近のエレベーターの「地震管制装置」ってのは進化してるんですねえ。仕組みを教えてもらってびっくりしました。
 ちょっと前までは、「震度4以上の強い地震を感知すると、一番近い階に緊急停止し、ドアが開き、乗客を下ろす。そして、そのまま止まってしまう。係員が来ないと復旧できない」といった仕組みだったと思うのですが、最新型は、もっと複雑な機能になっているそうです。

 地震には、P波(初期波)とS波(本震波)というのがあり、これが時間差でやってきます。大地震であっても、最初に、揺れの弱いP波がきて、その後(この時間差は、震源からの距離に比例する)、本震である、大きな揺れのS波がやってきます。

 その原理を利用して、「P波を受信した時点で、エレベーターを最寄り階に停止させ、中の人を下ろしてしまう」という考えだそうです。これだと、エレベーターを壊してしまうような、ものすごい大地震でも、とりあえず、エレベーターの中から脱出することができます。
※緊急地震速報と同じ原理

 そういうわけで、最新のエレベーターには、「
P波感知型地震時管制運転装置」というのがついているそうです。

http://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/repair/elevator/existing/index.html
詳細は、こちらをご参照下さい。

 このシステムは、「微弱な揺れ」である「P波」を感知するようになっています。このP波を感知すると、とりあえず、最寄り階に自動的に停止しドアが開き、しばらく動かなくなります。このあとに、大きな揺れが来ない場合は、「大地震じゃなかったんだ。じゃあ、エレベーター動作を再開しよう」と、コンピューターが判断し、自動再開します。

 でもって、その最新マンションでは今困ったことが起きているのです。実は、そのマンションの隣に建っていた6階建てのオフィスビルが老朽化で取り壊されることになり、その解体工事が行われているのですが。その解体工事の振動を、地震と勘違いしたエレベーターのコンピューターが、しょっちゅう作動して、エレベーターが緊急停止してしまうんだそうです。まあ、P波に反応するんですから、解体工事のドンガドンガすごい振動にも反応しますよねえ。当然だと思います。

 というわけで、今は、「1日に5回も10回もエレベーターが止まってしまうことがある」「そのたびに、管理室に通報が来る」そうで、その対応に追われているそうです。
 「一時的に、その機能を解除することもできるそうだけど、そうしたら、本当の地震が来た時に、作動しないんじゃ、意味が無いしねえ」とボヤいていました。

 なるほどなあ、最新型はなんでも便利ってわけじゃなくて、こういう不便もあるんですねえ。ほんと、管理人はバカじゃできません。