管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 防犯カメラ 5 年始は忙しい

  

2007/1




 当マンションにはまだ防犯カメラは設置されていませんが、おそらく、今年の総会で導入が可決されそうな感じです。

 さて、年始についてです。(2007/1/12に書いてます)
 「大量のマナー違反ゴミの始末で大忙し」「冬場は蛍光灯がすぐに切れるので、交換作業に大忙し」「いろいろな業者さんが年始の挨拶に来られるので、対応に大忙し」「ふだんなら、軽い挨拶で済むのに、年始だけは、”新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いします”と、顔を会わせる住民全部に丁寧に挨拶しなくてはならない忙しさ」「カレンダーの切り替え。年間標語の切り替え・・・など、社内的作業も含めて各種切り替え作業で大忙し」と、けっこう忙しいものです。

 また、今年は4日の仕事始めの朝早々、「管理人さん、大変だ! うちのおばあちゃんがモチをのどに詰まらせて・・・・・」という緊急電話があり、「電気掃除機で吸い込めばいいんですよ!」といった、危機一髪の事件もあり、けっこう大変でした。4日の午後にはマンション前道路で交通事故があって、救急車も来ました。
 このように、どこのマンションでも、年始というのは結構忙しいと思います。そんな忙しさも、2週目に入ると落ち着いてきて、「それじゃ、近隣のマンションの管理人さんにあいさつ回りにでもいくか」という余裕が出てきて、この2日間まわりました。


 その際に聞いた話です。そのCマンションさんは、昨年秋に防犯カメラが設置されたばかりのマンションです。1月4日に管理人Mさんが出社すると、管理人室の前に、住民Eさんが立って、管理人さんの来るのを待っていたそうです。

住民E 「あ〜、やっと来たか。遅いなあ」
管理人M 「え? でも、まだ、始業時間まで15分もありますけど・・・  あ、Eさん、あけまして・・・」
E 「いや、挨拶は後回しでいい。俺は忙しいんだ。とにかく、管理人室に入らせてもらう。早く鍵を開けてくれ」
M 「え? いったいなんですか? 急に」(鍵を開ける)
E 「元旦に、俺の車がパンクさせられたんだ。その犯人を見つけるから、防犯カメラを見せてくれ」
M 「え? 車が? でも、防犯カメラのレコーダーはここにはないですよ。あるのは集会室です。去年の定期総会の時にちゃんと説明したはずですが?」
E 「うん? あ? え? そうか? 俺はそんなこと聞いてないぞ」
M 「聞いていないって。総会の議案資料の中に、”防犯カメラ運用規則”が入っていたはずです。その中に、運用方法や”機械は集会室の中に置く”と明記されていたでしょう?」
E 「そんなの見るわけないだろ」
M「そんなこと言われても。組合員なんだから読んでもらわないと・・・」
E 「あんた、イチイチうるさいよ。じゃ、とにかく集会室を開けてくれ」
M 「はい、では、私、作業服に着替えますのでちょっと待っていてください。すぐに集会室に行って鍵をあけますから」
(Eは先に集会室に行く)
M 「はい、開けました。これが防犯カメラの画像を記録する装置です。ところで、Eさん、理事長の許可はもらいましたか?」
E 「は? なんだ許可って?」
M 「え? 運用規則知らないんですか?」
E 「だから、さっき、”読んでいない”って言っただろ。なんか問題があるのか?」
M 「いや、プライバシー保護の関係で、むやみに映像を見ることは禁止されてるんですよ。カメラ画像を閲覧する時は、申請書に必要事項を記入して、理事長の承認を得ないと、機械を操作できないんです」
E 「は? そんなに面倒なのか? じゃあ、今から申請書を書くから理事長を呼んでくれ!」
M 「いや、理事長は会社に行ってると思いますよ。あそこは夫婦共働きだから両方ともいないんじゃないかな?」
E 「じゃあ、理事長の会社に電話して、口頭で許可をもらってくれ」
M 「でも、仕事中に電話をするのは迷惑をかけると思いますが・・・」
E 「うるさいな。管理人ならちゃんと仕事をしろ!」
M 「仕事っていわれても。手続きはちゃんと踏んでもらわないと」
E 「俺は今日しか休みがないんだ。理事長の携帯番号知らないのか?」
M 「はい、知ってますけど。やたらと他人には教えられないんですが。個人情報保護法の関係もあって」
E 「つべこべいわずに、教えろ。俺が直接話をする」
(仕事中の理事長のところへ直接電話をして、無理やり許可を得る)
E 「理事長がOKしたんだからいいだろ」
M 「本当はハンコが必要なんですけど。まあ、いいでしょう」
E 「じゃあ、画像を見せろ」
M 「お見せしてもいいですけど、私は機械の操作方法を知りませんよ」
E 「何? 管理人が知らないってどういうことだ」
M 「カメラ導入を検討していた時の理事会で、ある理事さんが、”管理人室に機械を置いて、管理人が機械を操作できるようにすると、住民のプライバシーが管理人に筒抜けになるから、そういうシステムはやめよう”と提案して、そういう規則ができたために、私は操作できないんですよ。たとえ、許可されたとしても、実際問題、こんな難しい機械、じいさんの私にはいじれません」
E 「じゃあ、誰が操作できるんだ」
M 「たしか、今期の役員の中に”防犯カメラ担当”という役職があって、Gさんが担当のはずです。11月に防犯カメラ設置業者から説明を受けていたはずです」
E 「よし、じゃあ、Gさんを呼べ」
(Gさんはまだ正月休みで、部屋の中にいたが「実は、いろいろ説明をしてもらったんだけど、私、機械オンチでしょ。結局チンプンカンプンで全然覚えられなかったのよ。悪いけど、あたしじゃお役に立てないわ」と断わられる)
E 「いったい、どうすればいいんだ?」
M 「そういわれてもねえ。”防犯カメラの運用はすべて管理組合で行う”と決まってますから、管理会社はノータッチなんですよ」
E 「ノータッチってどういうことだ」
M 「しょうがないですよ。組合さんのほうで、”管理会社には触らせない”と決めたんですから」
E 「俺はそんな経緯は全然知らなかったぞ」
M 「まあ、そうかもしれませんね。この管理組合、広報を全然しませんから」
E 「とにかく、どうすれば、画像を見れるのか教えろ?」
M 「たしか、説明書があったはずですよ・・・  あ、あった。これ、お貸ししますから、中を読んで、ご自分で操作して下さい。私は掃除がありますので、そろそろ通常業務に戻ります。」
E 「よし、わかった。この説明書を読んでなんとかやってみる」
M 「あ、ひとつ忘れていました。画像を一人だけで見るのは規則で禁止されているんです。誰か、役員一人の立会いが必要なんです。呼んできてください」
E 「何? もう、なんて面倒なんだ」
M 「そこの壁に、今期の役員名簿が貼ってありますから、ご自分で電話でもかけて、誰か一人を呼んできてください。電話はお持ちですよね? とにかく、私は今日は忙しいので、これで」
(その後、Eさんは役員である隣室のHさんを集会室に呼んで立ち会ってもらいながら、機械を操作した。しかし、説明書は素人向けには作成されておらず、チンプンカンプン。むちゃくちゃに操作していたら、突然アラームが鳴ってしまい、なきやまない。仕方なく、また、管理人を呼ぶ)
M 「なんですか?」
E 「よくわかんないんだけど、画面が動かなくなったし、この音が鳴り止まないし。なんとかしてくれ!」
M 「なんとかしろって言われても、さきほど申し上げたように、私は機械を操作してはいけないんです」
E 「じゃあ、触らなければいいんだろ。口で説明してくれ。俺が触るから」
M 「はあ、参ったなあ。今日はゴミが大量で、大変なんですよ。清掃局が来る前に整理しておかないと。うちは、ルール違反をする住民がごまんといますから、そのままでは回収拒否の袋ばかりなんですから・・・・」
E「そういわずに、とにかく、この説明書を読んでくれよ」
M 「わかりました。読みますよ」
(10分くらいかけて、読む。Mさん、なんとか理解した模様)
M 「え〜と。車にいたずらされたのは、いつごろなんですか?」
E 「大晦日の夜10時には大丈夫だったし、気がついたのは元旦の午前11時くらいだな。その間にパンクさせられたんだ」
M 「あれ? ちょっと待ってください。Eさんて駐車場持ってました?」
E 「いや、持ってない。30日の晩から3日の夜まで、親戚がうちに泊まっていて、その車がやられたんだ」
M 「はあ、ちょっと待ってください。うちのマンションは来客用の駐車場なんてないんですよ。違法駐車したんですか?」
E 「マンション内の土地はみんなの共有だろ。うちの車を置いて何が悪い」
M 「悪いですよ。今、マンション内の違法駐車が問題になっているの知らないんですか?」
E 「うるせいな。別にいいだろ。正月なんだから」(めちゃくちゃな論理)
M 「つい最近、すぐ近くに”24時間置いても1500円”ってコインパーキングが出来たの知らないんですか? 私が掲示物を作って紹介したのに。見てません?」
E 「見たけど、1500円もったいないだろ」
M 「もったいないって言われてもね。けっこう安い料金だと思うけど。駐車違反するよりもいいでしょ」
E 「わ〜 ゴタゴタ言うなよ」
M 「結局、違法駐車に怒った、誰かがやったってことじゃないんですか? たしかに、車のタイヤに穴をあけてパンクさせるのは犯罪だからいいことじゃないけど」
E 「いや、穴はあいていない。空気を抜かれただけだ。でも、パンクはパンクだ」
M 「はあ、じゃあ、空気入れで空気を入れればすぐに元に戻るじゃないですか? それくらいでそんなに怒らなくても」
E 「なんだ、おまえは犯罪者の肩を持つのか?」
M 「そういうわけじゃないですけど」
・・・・・・・・


 こんな会話が繰り返され、悪戦苦闘しながら画像を調べたのですが、どうやら深夜真っ暗な時間帯にやられたらしく、画像では犯行?は確認できませんでした。(カメラは設置したけど、照明のことは考えていなかったようです。意味ねえ!)
 機械の操作も大変で、結局、EさんとHさんと管理人Mさんは、約4時間、集会室にいたそうです。当然、ゴミの処理も出来ず、違反ゴミがうずたかく残されたまま、清掃局の清掃車は去って行ったそうで、その後、管理会社には「管理人は何をやっているんだ。ゴミがたくさん残っているぞ」という苦情電話があったそうです。

 Mさんいわく「4日は天中殺だったなあ。でも、犯人がわからなくて正解だよ。もし、誰だかわかったら、Eさんは当然その人のところにいってケンカするだろうしね。向こうだって、”おまえが違法駐車を何日もするから頭にきて空気を抜いたんだ”と反論するに決まってるし、もともとEさんが一番悪いだからね。それにしても、”機械には触るな””いや、おまえが操作しろ”って、いったい私はどうすればいいんだよ。いい加減な組合だなあ。やってられないよ」と嘆いていました。

 
 うちでも将来、こういうことが起きるのでしょうか? 「カメラがあったらあったでこりゃ大変だなあ」、と思ったしだいです。








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