管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 管理費等滞納の督促業務を管理会社に押し付けてはいけません &
駐輪費の督促だって、管理会社の仕事じゃないよ
 




2014/9 今回は長編です

 こんなブログを発見しました。

http://rijichosan.blog.fc2.com/blog-entry-24.html

「初めての理事長 四苦八苦物語」 (注:2016/11現在 消滅しています)

RJC48さんのような、「プロ?の理事長」とは違う、一般素人さんの理事長奮闘記のようで、今後の記述を楽しみにしています。さて、このブログ主のマンションの管理会社は、どうやら、「合人社」さんのようで、この会社は、業界内でも有名な「**な」会社ですから、「組合さんも大変だなあ」と同情します。まあ、でも、管理委託費が安いですから、「安かろう悪かろう」になっても仕方がない面があり、100円均一ショップで買ったハサミに「切れ味が悪いぞ」と文句を言っているようなものだと思います。
 
 さて、今回の記事のテーマは、
管理会社が行なう、滞納管理費等の督促業務に関する苦情ですが。

 この「滞納管理費等を督促する仕事」って、普通のマンション住民の皆さんは、ほとんど全員が、「最初から最後まで全部管理会社がやってくれるもの」と勘違いしています。でも、違うんです。
 
 これに関しては、国が定めた「標準管理委託契約書」(ほとんどの管理会社は、これを見本として、ほぼ全部、理研STAP小保方して、自社で契約書を作成している)というのがあって、こう、記載されています。

マンション標準管理委託契約書 第10条(管理費等滞納者に対する督促)
乙は、第3条第1号の業務のうち、出納業務を行う場合において、甲の組合員に対し別表第1 1(2)Aの督促を行っても、なお当該組合員が支払わないときは、その責めを免れるものとし、その後の収納の請求は甲が行うものとする。
2 前項の場合において、甲が乙の協力を必要とするときは、甲及び乙は、その協力方法について協議するものとする。
マンション標準管理委託契約書コメント 10 第10条関係
弁護士法第72条の規定を踏まえ、債権回収はあくまで管理組合が行うものであることに留意し、第2項のマンション管理業者の協力について、事前に 協議が整っている場合は、協力内容(甲の名義による配達証明付内容証明郵便による督促等)、費用の負担等に関し、具体的に規定するものとする。
マンション標準管理委託契約書 別表第1 事務管理業務 1基幹事務(2)出納 
A管理費等滞納者に対する督促
一 毎月、甲の組合員の管理費等の滞納状況を、甲に報告する。  
二 甲の組合員が管理費等を滞納したときは、最初の支払期限から起算して○月の 間、電話若しくは自宅訪問又は
   督促状の方法により、その支払の督促を行う。  
三 二の方法により督促しても甲の組合員がなお滞納管理費等を支払わないとき は、乙はその業務を終了する。

この文章の趣旨は、
「債権回収はあくまでも管理組合がやるもの」としています。もう、この時点で、一般の管理組合役員さんたちの認識と乖離します。実は、弁護士法の関係で、当事者以外が債権回収する際は、「弁護士じゃないとできない」ってことになっていて、管理会社は、当事者ではありませんから、管理会社が債権回収するのは違法行為なんです。ですから、標準管理委託契約書では、初期の事務的な「払って下さい」の通知だけは管理会社にやらせてもういいけど、あとで、本格的に督促することは、管理会社にはやらせることはできません、自分でやってくださいね、って形になっています。
管理会社が作る「管理委託契約書」というのは、国が作った「標準」を完全コピーしないといけないわけではありませんが、独自のものを作るにしても、弁護士法に違反したものは作れませんから、標準管理委託契約書を小保方するしかないと思います。

 
ですから、一般の皆さんが、「滞納した管理費を払わせるのは、全部、管理会社の仕事だろう!」と思うのは、実は「違法行為」なんです。これをよく理解して下さい。
 マンション管理では、よく、管理人に対して、「あんな悪いことをしている奴はすぐに逮捕しろ! 違法行為じゃないか!」と言う人もいますが、これも、警察官にしかできないことを管理人にやらせようとしているわけで、違法行為です。

 さて、上記の条件があることから、実際の管理会社のやることというのは、こんな感じです。うちの会社を例として説明します。(期間設定などは、会社によって違うが、だいたい、どこの管理会社もやることは同じでしょう)

■毎月1回、銀行から発行される「自動引き落とし状況表」をもとに、管理費未納の組合員を抽出する。誰が、いくら滞納しているかは、毎月、管理組合に報告する。
■未納がわかった組合員に対しては、「管理組合名」で(管理会社名ではない)、おとなしめの「払ってくださいね」という督促状を発行し、各部屋のポストへ投函する。外部居住組合員に対しては、郵送をする。
■未納が3ケ月以上の「大口」になると、管理会社フロントが「電話」または「直接訪問」をし、「払って下さい」とお願いする。
■上記方法でも払ってもらえない場合は、内容証明郵便で、初回のものよりはちょっときつめの文で「督促状」を送る。


 こんな感じです。委託契約書に従えば、これだけやれば、管理会社の仕事はお役御免です。「これだけ」と書きましたが、「直接訪問」なんかは、たいてい、夜間になりますし、わざわざ出向いてくるフロント君も大変です。事務作業だって楽じゃないです。特に、当マンションの場合は、「銀行残高の確認を忘れて、引き落とし不能になった」とか「確信犯で、半年の1回しか払わない、ボーナス一括払い方式に、自分勝手にしている人」とか、長期滞納者にはならない、短期滞納者が、毎月、30人はいますから、督促状を作るだけでも、大変な仕事です。(小さな会社なので、そういうのを電算化していたりはしないのです。一件一件手作業で作成します。)
 これを見て、「それしかやらないの?」って、一般の人は思うかもしれませんが、これだけでも、けっこう大変な仕事でして、「安い管理委託費で、よく、これだけやってるなあ、たいしたもんだよ、うちの会社」と、私なんか思っています。内容証明郵便の際は、その切手代は、組合さんに請求していますが、わざわざ郵便局に出向くのも手間ですし、毎月、5〜6通になる、「外部居住者宛の督促状」(外部居住って、滞納率が高いのです)の切手代なんかは、管理会社が負担しています。

 最初に紹介したブログのG社さんも、このような作業をしているようです。私からすると、「契約どおりにやってれば問題ないだろ」と思いますが、理事長さんはそれには不満らしく、下記のような手順を制定させたようです。


未納金確定後の督促業務
@7日→口座振替不能通知発送
A10日→電話・訪問にて督促
B20日→支払催告書の発送
C40日→配達証明付内容証明にて催告書の発送
D2ヶ月以降→毎月、書面・電話にて督促
E2ヶ月→駐車場解約の通知
F3ヶ月以降→10万円以上は、3ヶ月に一度内容証明にて書面勧告


さらに
「法的手段における調査・助言・手続きの補助業務を行う」と、新たに一項目が追加された。


となってます。まあ、これはこれでいいことですが、「40日で配達証明・・・・」となると、うちのマンションなんかでは、しょっちゅう、これをやることになり、大変だと思います。また、「駐車場を解約するぞ」という「脅し」は、今までは有効でしたが、最近は「駐車場が余っている」マンションも増えてますから、「解約されたら困る」ということになり、これを「脅し」として使いにくくなっています。また、文章で書くと簡単ですが、「払わないと駐車場を解約するよ」とか脅迫すると、相手によっては、「管理会社が住民を脅迫していいのかよ!」と逆に脅迫されたりする場合もあるわけで。けっこう、「怖い」仕事ですよ。本当の当事者は管理組合であり、管理会社はあくまでも、委託されてやってるだけなのに、管理会社が恨まれますし。この理事長さんも「言うは易し・・・」ってことを考えてほしいと思います。

実は私は、
「滞納者の率」に応じて、管理委託費を変えるべき
というのが持論です。だって、滞納者が多いと、管理会社の仕事はすごく増えるわけで、仕事をした分、金を払ってくれ、というのは当然だと思います。違法高利貸しをやっているヤクザが、若いものに、回収をやらせる際には、高額な労賃を払うわけだし。ただでやる人なんかいるわけないです。
逆に、滞納者が少なければ、仕事の量も減るわけですから、委託費は安くしていいと思います。管理組合さんにしても、「滞納者が少ないと、委託費が下がるんだ」と思えば、組合さんの督促業務にも力が入ることでしょう。

さて、うちの会社の話に戻りますが、うちの会社の場合、委託契約書に書かれている内容だけではなく、これは契約外の無料奉仕になりますが、実際には、このあとも、粘り強く、督促業務を続けていますし、少額訴訟を起こすことも有ります。こういった面倒な仕事をしても、組合さんに請求するのは、切手代とかの実費だけで、裁判所に行く交通費すら求めていません。そうやって考えると、うちの会社って、えらいなあ。

でも、弁護士法をちゃんと守って、かつ、委託契約書に忠実にするとしたら、それは過剰サービスであり、やってはいけないことだと思います。なんでも、管理会社がやると、組合もますます「全部管理会社がやるものだ」と思い込んでしまいます。

さて、上記のことは、そこらへんの机上の空論が好きなマンション管理士が話をする内容ですが、これから、現実の実務的な話をします。


基本的に、
「滞納解消の仕事は組合役員がすべき。そのほうが効率もいい」と私は思います。

というのも、管理会社とマンション組合員との関係は主従関係であり、「従」である管理会社の人間が、「主」であり「お客様」である、組合員さんに強いことを言えるわけがないんです。今、問題になっている、「たかりの友梨 ダーティクリニック」という会社の中でも、従業員が高飛車な態度で、たかりの友梨社長に対して、「残業代を払え!」なんて言ってません。「払ってくれませんか?」とお願いをしています。そして、社長は「払ったら、会社がつぶれるんだよ、それでいいの。労働基準法なんか守ってたら会社経営はできないんだよ」と開き直っています。

マンションもこれと同じです。「主」の立場の人間が「従業員」のいうことに素直に従うわけがないんです。

私なんか実際に「督促業務」をやらされていますが、悪質な住民は、たいてい、「おまえらなあ。俺達が払った管理費で金もらってるんだろ。だったら、俺達は客だろうが。客に対して、その態度はなんなんだ」と反論してきます。(あんたらは、その金を払ってないんだけどなあ)

それに、マンションの管理費等を多少払わなくても、逮捕されるわけじゃないし、実害もありません。そのへんの食堂で無銭飲食をしたら、店主に怒られて、警察を呼ばれるし、次回も同じようなことをしたら、「馬鹿野郎、うちの店に来るんじゃねえよ」と追い出されますが、マンションの場合、「エレベーターに乗れなくなる」なんてことはないし、「自動ドアが開かない」ってこともないし、「自分の部屋の前の廊下の蛍光灯が消された」なんてこともなく、「滞納者はこの階段を使ってはいけない」ってこともなく。別に何も困ることはないんです。逆に言うと、そういう性質のものだから、督促業務は大変なんです。

あと、人数の問題が有ります。管理人もしくはフロント君が、督促に出向いた場合、たいてい、「1名」です。1人だけというのは、どうしたって、力が弱いんです。特に、訪問したさいに、相手が夫婦2名とか、家族4人で出てきたりすると、最初から負けです。自民党政治じゃないですが、数の力ってのがあって、最初に、「こっちが1人 相手が4人」となると、もう、これで負けが確定です。4人が「客に向かって、金を払えとはなんだ!」って怒れば、何も言えません。また、相手が4人で、「今、生活が苦しくて・・・」(なぜか、外車に乗ってたりするが)と、泣き落としに来れば、これも負けます。 

 というように、たとえ、管理会社が最初から最後まで督促業務をやるにしても、どうせ、うまくはいかないんです。まあ、フロント君が、会社の顧問弁護士といっしょになって、複数名で訪問し、難解な法律用語で、督促すれば効き目はありますが、わざわざ、弁護士を現場に訪問させるのは、お金がかかりますし、費用対効果の面で問題があるでしょう。そこまでの費用を組合さんが払うと言うのならいいかもしれませんが。

 じゃあ、どうしたらいいの? と思われるでしょう。でも、答えは意外と簡単なんです。私がお勧めしているのは以下の方法です。

「身分的に対等・もしくは上 である組合役員が督促する」
「複数で訪問する」
ということです。

 
一般的なマンションでは、会計業務担当役員が1人で訪問したり、理事長が1人で訪問したりすることがありますが、これはだめです。1名じゃ力が弱いし、1名だと、「管理組合」という団体ではなく、その人「個人」を恨むようになり、復讐が怖いのです。
 例えば、滞納が続いて、本当にどうしようもなくなると、「競売〜立退き」ってことになりますが、その時に、「あの理事長のおかげで、うちの家庭がボロボロになった」と、的はずれな逆恨みをするかもしれません。その結果、理事長が刺されるかもしれません。
理事長は組合を代表して督促に行ったわけですが、相手はそうは思わないわけで(高額滞納をしている人間がまともな神経のわけがない)、その人は「理事長が借金取りをしている」と思い、理事長個人を対象としてしまいます。これは避けないといけません。できれば、「3名以上」で訪問し、「個人」ではなく「団体」であることを植え付けないといけません。

 一番いい方法は。
毎月行われる管理組合理事会で、滞納に関する報告が行われる。そこで役員は、どういう滞納があるのか知る。
理事会が終わったら、その足で、役員数名で(できれば、3名以上。会計役員を中心にし、理事長はいかないほうがいい。理事長にばかり、多大な負担を押し付けるのは良くない)、該当者の部屋を訪問し、「金を払って」「払って」「払って」と伝える。

これです。
滞納のことをわかっている役員が、3人以上の大人数で、該当者宅を毎月訪問すれば、これは、かなりの圧力になります。管理会社のフロントが1人で訪問するのとはわけが違います。
年末になると、「火の用心の見回り」なんかをするマンションもありますが、この見回りの際にも、滞納者宅を毎晩のように、訪問すれば、さすがに払うでしょう。役員は、債権の当事者ですから、弁護士法的にも問題はありません。

この方法を使えば、裁判とかまでこじれるまでに、相当数の滞納が解消できると思います。「管理会社がなってない」「滞納は大問題だ。なんとかしないと!」とか、ガタガタ言う前に、自分たちでがんばればいいのです。お金もかかりませんし、理事会のついでにやれば、手間のさほどかからないし、役員さんたちの負担にもならないでしょう。(留守だと困るけど)

 それから、これは別の機会にしますが、「滞納者の名前の公表」といった手法もいろいろ有り、この問題は奥が深いです。


 次に、「自転車置場の使用料の未納」に関してです。

 実は、このことに関しては、委託契約には何も書かれていません。また、一般的に言って、管理人に現金を扱わせるマンションは珍しいです。
 でも、当マンションでは、どういうわけか、これが全部管理人の仕事にされてしまっていて、とても、困っています。自転車駐輪費も債権であり、督促業務を、当事者ではない、管理会社の人間がやるのは、違法行為です。でも、住民はみんな「管理会社がやるもの」と思って、チェックの厳しい住民は、「あの自転車は、管理組合のシールが貼ってないじゃないか。管理人ならちゃんとしろ」と、意味不明の文句をいってきます。

 困るんだよねえ。組合でやってくださいよ。私も、無料奉仕活動はやりたくないですよ。

 総じてみると、とにかく、マンション住民は、「管理の主は自分たちであることを認識せずに、なんでもかんでも、管理会社にやらせようとする」ってことです。そりゃ、だめですよ。特に、うちみたいに委託費が安い管理会社に、やらせるのはお門違いです。



2014/9



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