管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

シャンシャン総会




話し合ってる時間はありません


 毎年1回は開催される、定期総会のお話。

 この業界の専門用語とでもいうのでしょうか? 「シャンシャン総会」という言葉があります。

 この意味は、「議案の採決だけとり、何の議論もせずに、すぐに終ってしまう総会」のことです。「今日はどうもありがとうございました。では、これで解散です。それではお手を拝借、シャンシャン」という意味です。すごいところでは、開始早々、10分程度で終ってしまうところもあるようです。

 あるマンションの例を記します。

「いろいろな議題があるのだが、”議決権行使書”はなく、”委任状”があるだけ。欠席する組合員は、”議長に一任”(つまり、全議案に賛成)するしかない」
「総会出席者は、全組合員の1割程度しかいない」
「形式上の総会議長は理事長だが、実際の司会進行は管理会社フロントが行なう」
「各議案に対しての詳細な説明がない。質問や意見を言う時間を用意していない。いきなり、採決する。誰かが”質問です”と手を挙げても、フロントが”時間がないので”と遮ってしまう」
「予算案の内容説明もない。工事の案件も細かな内容説明はない。見積書も添付されていない。とにかく、議案として書かれた標題文字を読むだけ」
「銀行の残高証明書も添付されていない。管理会社が”これだけ銀行残高があります”と記したメモを信じるだけ。それを監事は、ただ闇雲に”公正です”認印を押してしまう」(イーホームズと同じ)
「次期役員の選任は決まっているものの、”誰を理事長にするか”などの理事会内の役職選定は、総会のすぐ後に行なわれる理事会で決定する。このため、誰が理事長になるかは、総会の時点ではわからず、どんな人が理事長になるのかもわからずに、新年度役員選任に賛成しなければならない」
「議案採決後、自由討論の時間もまったくなしに、すぐに散会になる」
(これに加えて、「総会議事録を管理会社が作成するのに1ヶ月以上かかる」「議事録の内容は、ただ、出席人数と、各議案が可決されたこと、これだけ」「管理人には総会の内容が伝わらない」など、ひどいものです)

 シャンシャン総会は、管理会社サイドからも理事会役員サイドからも、どっちも非常に楽でありがたい総会です。なにしろ、ほとんどやることがないんですから。仕事といえば、「出席者は何人。委任状は何枚集まった」と数えることぐらいしかありません。

 でも、何にも問題のないマンションなら、シャンシャン総会でもかまいませんが、そんなマンションなどほとんどありません。ですから、シャンシャン総会はいけません。シャンシャンを続けていくと、出席する組合員も、「わざわざ都合つけて出席したのに、ただ、”賛成!”って手を挙げるだけかい? だったら出席しても意味ないよ。来年は欠席しよう」と思い、年々、出席者が減ります。この悪循環で、「100世帯のマンションなのに、出席者はわずか6名。理事長も欠席」なんていう、シャンシャンする手の数も足りないような悲惨なマンションもあります。
  

 では、私の理想とする総会とはどんなものでしょうか?  それは、やはり、「シャンシャン総会」なのです。しかし、これには前提条件があります。

「組合活動に関する日頃からの広報活動が活発に行なわれている」
「居住者からの苦情・意見の吸い上げ方法が確立されており、それに対する対処も、スピーディにしっかり行なわれている」
「理事会が毎月開催されており、その際は事前に話し合い項目が予告され、その案件に対して組合員は事前に意見質問を出すことが出来る。また、理事会には、役員以外の一般組合員が多く参加し、活発な議論が交わされている。」
「理事会の議事録(決まったことだけでなく、決まるまでの過程も記載されている)が、毎回全戸配布されている」
「管理人の意見が生かされた理事会運営が行なわれている」・・・・・・・

 といった条件があります。つまり、日頃の理事会活動が十分に行なわれているため、「わざわざ総会の場で議論する必要はない」「議案は十二分に審議尽くされたものであり、反対する人はいない」、だから、シャンシャン総会でいい、ということです。極端な話、会場に人間が集まる総会は不要で、文書だけでの総会でもいいのです。
  
 しかし、上記はあくまでも理想で、こんなマンション日本全国探しても、ほとんどないでしょうね。

 それにしても、当マンションの場合、「管理人が総会資料を作成し、配布する」といった仕事がないのはいいんですが、「総会資料を事前に見せてくれない」「誰が役員になったかもしらせてくれない」「総会開催の掲示もない」「総会でどんな議論があったのかも教えてくれない」「もちろん議事録ももらえない」という、お寒い状況です。完全に管理人がつまはじきにされています。フロントも理事会さんも、どちらもどうしようもないです。ですから、いつも、親しい住民に「総会の資料来ましたか? ちょっと見せてくれませんか?」「総会はどんな感じでした?」と個人的に聞いて情報を仕入れています。情けない・・・・・。


 それに、今大きな問題が起こりました。先日の防犯カメラの一件で懲りた理事長が、「こんな大変な仕事嫌だ」と言い出したのです。「無償で働いて、こんなつらい思いをするなんてバカバカしい。やめる。ヒラ役員にして欲しい」とダダを捏ねているのです。「ハンコを押すなどの、”事務作業”だけは理事長にやってもらって、その他の仕事は副理事長他でやるしかないか?」と、悩んでいるところらしいです。先が思いやられます。トホホ。



 


2006/5



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