管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 死亡説の流布




2014/7

 「悪事千里を走る」ということわざがありますが、「悪い噂」というのも、あっという間に広がるものです。

 昔、「
高倉健」さんが死んだ、という話がありました。たしかに、数年に1回しか映画に出ない人なので、ちょっと顔を見せないと「死んだのでは?」という噂が流れても不思議ではないですが、あれだけのビッグスターでさえも、そんな噂が流れてしまうのは驚きました。

 そういう「誰それが死んだ」という噂は、マンション内でも時々流れます。特に、高齢者。

 つい先日も、「6階の田中さん、死んだんだって?」(仮名)と、私に聞きに来た人が、連続で4人いました。

 死んでません。福祉施設の「ショートステイ」というのに、3週間ほど滞在して、外泊してただけです。

 原発爆発事故以降、当マンションでは、多くの人が病気で、亡くなっています。(老いも中年も)  しょっちゅう、「訃報」を掲示板に貼っているせいか、皆さん、「ちょっと顔を見ないと、その人が死んだ、と思ってしまう」という悪習慣が出来てしまったようです。

 この前の理事会では、「住民間では死んだことにされていた、組合役員の5階の浜中さん(仮名)」が、理事会に出席してきたため、他の役員が、「幽霊だ!」と驚いたそうです。

 先日は、井戸端会議の中で、誰かが、「Aさんは、中央病院で診断を受けた」としゃべったことが、「Aさんは、中央病院で死んだんだ」と空耳されてしまい、Aさんが殺されました。このAさんに関しては、町内会の役員の耳にも、そのことが伝わってしまい、その役員が「ご焼香したいから、Aさんの部屋番号を教えてくれ」と管理室に来ました。こうなってくると、笑い話で済ますわけにもいかない、深刻な事態です。

 といって、こういう問題は、「Bさんは死んでません。生きてます」と、掲示板に告知するわけにもいかず。しょうがないので、私が、住民となにかを話す時に、「Cさんは生きてますよ」と言って、広めていくしかありません。

 高齢者ばかりになると、「死」は、とても「身近」な問題です。こういう、「死亡説がすぐ流布する」というのも、ある種、「高齢化問題」なのかもしれません。

 大変だなあ。

(逆に、本当に、その人が死んだのに、「また、いつもどおりの噂でしょ」と、死んだことを信じない人もいたりして、ややこしいのです)


2014/7



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