管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

「ペット飼育者委員会」から「ペットクラブ」に改称
 名簿の作成方法などなど





 当マンションは、竣工時の管理規約では、「ペット禁止」でしたが、その後、規約違反が相次ぎ(いわゆる"隠れ飼い→スラム化”です)、しかたないので、飼育を追認する形で、「ルールを守れば飼育可能」と規約を変更したマンションです。飼育者は全員、「ペット飼育者委員会」に強制加入となっています。
 
 私は、この名称は固くて好きです。こういう、たいそうな名前のほうが緊張感があり、「ちゃんとやらないとまずいのかな」と入会者に思わせる効果があるんだと思うのですが。 つい先日、飼育委員会の会長から、「委員会というのはぎょうぎょうしいので、”ペットクラブ”に名称を変えたい」という要請が理事長にあったそうです。そして、理事長は「別にいいんじゃないですか?」と安易に了承してしまった次第、というのをあとから聞きました。(とにかく、当マンションのペット委員会は、いったい何を活動しているのか? まったく連絡がないため、私は事情はわからないのです)

 でも、ちょっと待って欲しいです。正式名称「ペット飼育者委員会」というのは、細則の文面に書かれた名称であり、簡単に変更できるものではありません。理事長の独断で決められるものではありません。どういう口調で会長が理事長に対して「変更を認めて欲しい」と言ったかは知りませんが、安請け合いは困ります。各種書類の変更も必要で、管理会社としても困ります。

 なんでもかんでも横文字にすればいいってもんじゃないです。管理人のことを「ライフマネージャー」(=生活を監督するもの)と称しているバカな管理会社もありますが、それでなくても、「飼い主同士のわがまま集団」と揶揄されているペット委員会が、ペットクラブなんて名前になると、いっそう”同好会”"趣味の仲間が集まったサークル”みたいな印象になると思います。他住民からの苦情の処理もろくにできないくせに、困ったもんです。

 


 さて、以前、このような当マンションのペット委員会のていたらくを書いた際に、「おたくはひどいねえ。うちは、うまくやってるよ。こうやったらどうなの?」というアドバイスをサイト読者のAさんからいただきました。この機会に紹介します。

◆飼育者の会の成立の経緯が、「飼い主が自主的に作った」場合と「管理組合が成立を促した」場合では、全然違う。能動的に作ったのなら、「自分で責任を持って運営していく」という意思があるが、「おしきせで作らされた」場合、個々の会員のやる気はなく、組合側での積極的な関与・監視が必要。当マンション(投稿者Aさんのマンションです)では、後者のケースのため、ペット会の会合は2ケ月に1回は必ず開催するよう、細則に組み込んだ。理事会の中で、「非飼い主」の役員を、ペット担当役員に任命し、ペット会の会合にも同席して監視させている。飼い主だけの集団で会議をしても、飼い主側に有利になるようなわがままな運営しかしないため。

◆「会員名簿の作り方」
・名簿は毎年最新版を作成する。狂犬病予防注射のシーズンが終った時期が最適。予防注射を実施したことを会で確認してから、「全犬、○○年度の注射を実施し、会で確認しました」という注釈をつけて作成する。
・名簿は、マンション内の掲示板の”ペット会コーナー”に常時貼り付ける。(戸数が多いマンションで経費がかかるため、”住民全員に配布”はしない。ただし、玄関ホールが広いため、ペット専用の掲示板を作った)
・年度の途中に、入退会があった場合は、逐一、掲示板で報告する。
・名簿の中には、なるべく詳しい情報を載せる。動物の種類名、色や模様、雌雄、大きさ、年齢など。
・ペットと飼い主家族の両方が写った写真を掲載する。ペットだけの写真でない理由は、「ペットが動き回って、ちゃんと写真が撮れない」「比較対象物がないと大きさがわかりにくい」「飼い主といっしょの写真だと、ペットがおとなしくしているため写真が撮りやすい(カメラマン役は他の会員が行なう)」「飼い主家族の全員の顔を公表することになり、相応の責任感を感じさせることが出来る (ただし、昨年からの個人情報保護法に関連して、「家族の写真は載せたくない」という意見も出ていて、現在対応を検討中。また、ペット溺愛家族は、ペットをギュッと抱っこするため、ペットの顔しか写らないこともあり、その際は撮りなおしさせる)」といったことによる。これにより、そんなにつきあいのない人からでも、親だろうが子供だろうが、「あの犬を連れているのは○○さんだ」と、わかりやすくなり、住民の監視の目が届やすく、何かルール違反のことをした場合も、すぐに対象者の名前が判明し、対処しやすい。

◆会費
・敷金という意味合いを込めて、入会金を”10万円”としてハードルを高くし、安易にペットを飼えないように設定した。(マンション住民の中には"衝動買い”で生き物を買う人もいる) 管理組合の口座に入金する。
・年会費は、1万円。
・ペット会運営に関する費用は、一切管理組合からの補助はもらわない。会費だけで賄う。外部の野良猫の仕業と思えるようなことでも、ペット会が対応し、その処理に関する費用もペット会が支出する。(細則制定の際、「マンション内でペットの糞尿が発見された場合は、どこのペット(野良を含む)かわからなくても、ペット会が清掃する」という条文を入れてある。管理人には清掃させない。このため、ペット会としての清掃道具を購入し、専用物置内に保管している)
・毎年、会計報告書を作成し、掲示板に張り出す。

◆”入会案内”をしっかり作る
 このように、かなり厳しいルールを制定していても、いい加減な不動産業者により、安易に、「ペットOKマンション」として中古物件紹介のチラシが撒かれることがあり迷惑している。このマンションを取り扱う各不動産業者や、その広告を見て見学に来た客に対して、飼育のルールをわかりやすく、かつ、詳細に記した案内書を作成し、管理人さんなどから配布してもらうことにしている。「体長の測り方」も記載しており、これさえ読めば、すべて理解できるはずであり、管理人さんや管理会社に質問がいって、手間を取らせることもない。(ペットOKに変更する際に、「ペットOKにすると管理の手間が倍増するため、管理委託費を値上げしてください」と言われたため、「管理会社には迷惑をかけないようなシステムにする」として作った) 

◆事務手続き
 入会(&退会)の際の事務手続類は、すべて会で行なうため、管理人さんや組合理事長の労力は発生しない。ただし、苦情の受付は、ペット会相手にすると、握りつぶされることも考えられるため、ペット会担当役員のポストに入れてもらい、役員の目に触れた後に、ペット会会長のところへ行くようにしている。

◆活動記録
 何か問題が起きた時は、会で対処し、その経緯・結果は掲示板を通じて居住者に通知する。ペット会担当役員を通じて理事会にも連絡する。掲示板にすべて発表するため、管理人さんに対して報告する必要もない。「○○さんの犬が規則に違反してエレベーターに乗っていた」(規則で、ペット連れでのエレベーター利用は禁止している)といった苦情があった際も実名を発表する。実名発表を恐れ、会員は真面目に飼育する。
 年度ごとの活動記録も作成し、報告書として、毎年、掲示板に貼り出す。もちろん、2ヶ月に1回開かれる会合の議事録も、そのたびに発表される。これらの書類は、ファイルにまとめられ、集会室の中に保管され、一般居住者の閲覧希望があった際には、閲覧される。

◆上記のような各種ルールやペット会の運営方法は、細かくマニュアル化され、誰がペット会の会長になっても、誰がペット担当役員になっても、管理人に質問などしなくても自分で仕事ができるようにシステムが構築されている。


<トホホ管理人の感想>
 なんか、自慢話に聞こえるほど、立派なシステムを組まれたマンションで、頭が下がります。まあ、マスコミ報道でも、「ペット会が近所の道路の糞尿の清掃もする」といった、素晴らしいマンションもあるらしいですから、これくらい、今は当たり前なのかもしれませんね。 
 でも、うちのマンションを読者Aさんのマンションのように、これから変えることは到底無理です。すでにスラム化してますので。私ではなくて、理事長がこれを読んでくれれば少しは期待できますが、管理会社にはとてもできません。ただ、これを読んだ、他のマンションの居住者の皆さんには十分参考になると思います。特に、これから、ペット飼育のルールを作ろうとしているところでは、「これほど厳しくしないとだめなんだ。」ということがわかっていただけたと思います。ペットを飼う人というのは、自分勝手で、わがままで、他人に対する配慮ができなく、寂しがりやで、自立心のない人(だからペットを飼う)ですから、こういった人をルールに従わせるのは、ものすごい労力が必要と思われます。みなさんがんばって下さい。


 「ペットは家族と同様なんだから、"飼ってもいい”とか"飼ってはいけない”なんてものじゃなくて、"規約なんか関係なく、飼うのが当たり前”なのよ」とおっしゃるオバカさんもけっこういますが、こういう人には、「家族同様なら、ちゃんと躾しましょうよ。あなた、自分の子供が道端でパンツ下ろしてウンコしても平気なの?」と言ってあげましょう。

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 ところで、今日、このコンテンツを書く際に、ネットで他のマンションのペット会(通称なんというのか知りませんが)のことを検索したんですが、意外と出てきませんネエ。ペットのことというと、マンション問題の1位か2位にランクインするポピュラーな問題なんですけど。


2006/3



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