管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

リフォーム詐欺 まだ騙される人がいる






 マスコミでも多数報道され、役所や警察から、「リフォーム詐欺に注意しましょう」といった回覧板やポスターが配布され、また、管理人が親切に独自で「こういうのは詐欺ですよ。気をつけてください」と掲示物を作成して貼っておいて、「もういい加減、騙される人はいないだろう」という状態なのに、まだ、ひっかかる人がいます。

 最初に言っておきますが、夜間に各部屋を回って、営業する業者というのは、十中八九、悪質業者です。夜間は管理人がいませんから、「おい、何やってるんだ」と注意することも出来ません。

 今回も、水周りでした。「このマンションの他の部屋で漏水事故があったそうですよ。(築20年以上もたてば、あるのは当然。珍しいことじゃありません) おたくも危ないですよ。点検したほうがいいですよ。・・・・・・」と、不安感をあおり、結局、バスルーム丸ごと交換の工事に契約させられました。金額は120万円、相場の5割り増しです。

 120万円かけて工事して、きれいになりました。しかし、換気扇をいくら回しても浴室内の湯気が外へ逃げていきません。
「管理人さん、先月、浴室の工事をしたんだけど、そのあと、どうも湿気がたまるようになったんだけど。なんでかなあ?」

 普通、こういう質問が来ると、管理人としては、「そういう、専有部内のことは管理会社は関係ないんです。」「工事をした業者に直接文句を言ったらどうですか?」と断ります。しかし、過去の経験で、「もしかして、リフォーム詐欺かな?」と思い当たる節がありますので、邪険にはできません。
 「本当は管理人の仕事じゃないんですけど、特別に、見てみましょうか?」と、七つ道具を持って部屋に行きました。こういう時の七つ道具というのは、天井裏を見るための道具です。「工事現場用のライト(天井裏を明るく照らす。懐中電灯でもいいが、100ボルトのライトのほうが明るい)」「鏡(これを使って、浴室の底の床面を覗く)」「デジカメ(証拠写真を残し、被害者に見てもらう。お年寄りや女性の場合、天井裏を実際に自分の目で見てもらうのは危険なため、写真にしてあげる。管理室にはプリンターもあるので、すぐに印刷できる)」「脚立」「脚立の足に巻く雑巾(床面を傷をつけない。汚さない)」といったものです。また、天井裏は埃まみれのことが多く、マスクや保護用メガネも必需品です。

 さてと、現場に行って、バスルームの天井の蓋をあけ、天井裏を見てみました。 ひどい!
 まず、ゴミが散乱してます。釘やらなんやらもそのままです。何も片付けないで作業を終えたようです。汚い汚い。電気の配線も、むき出しになっているのがあります。湯気の水分でショートするんじゃないかな? さて、問題の換気扇ですが、なんと、バスルームの天井にある換気扇が、排気口につながっていませんでした。つまり、吸い上げた湯気は、天井裏に溜まるだけで、室外に出て行きません。排気ダクトにつながってないんですから。おかげで、天井裏は水分でベトベト、ムンムンしてます。完全な「意図的」な手抜き工事です。

 原因ははっきりしましたので、住民に現場写真を見せながら、事情を説明しました。当然のことながら、唖然としてました。私はこの時に、この工事の料金を聞き、「リフォーム詐欺に引っかかったな」と思いました。通常の5割増しの料金で、排気ダクトにつなげない手抜きをしているなんて、完全に詐欺です。
 「そういうことですから、事情を説明して、工事をやり直させたほうがいいですよ。まだ、保証期間だろうし、きつく言えば、やり直すでしょう」とアドバイスして、管理室に戻りました。

 被害者住民(年配の女性の一人暮らし)は、さっそく、業者に電話をしたそうです。しかし、「工事したのは下請でして、実際に工事をした業者が行方不明になってしまい、どうしようもない」とか、バカな返答をしたそうです。そこでまた、私に泣きついてきました。「管理人さん、なんとかして!」 またまた、面倒な仕事です。女性一人だと、むこうもバカにします。しょうがないんで、「管理会社の人間だ。おたくの工事ひどいなあ。証拠写真もバッチリあるから、消費者センターに訴えるぞ」と脅しをかけました。そうしたら、「すぐに直しに伺います」と返答し、1週間後に業者が来ました。その工事業者なんですが、なんと、行方不明になっているはずの、業者だったそうです。この補修工事の時も、「あたし一人だと舐められるから、管理人さん、現場に立ち会ってよ」と懇願され、立ち会って、補修の様子を見ていました。「あんたさあ、こんな手抜き工事をよく平気で出来るなあ」と、文句をいいましたが、当人は黙ったまま。謝罪の一言もありません。「職人の誇り」なんて、もうどこにもないんですねえ。(2/17 能登の高速道路工事でも偽装が発覚。ひどい業界です)

 そして、なんとか、正常になりました。よかったよかった。

 ところが、「良かった」では終らないのです。この住民、実は、バスルームの他にも、「窓が結露してますね。アルミサッシを交換しないとだめですよ」「湯沸かし器が古くなっています。交換しないとだめですよ」・・・・・・と、実は、総額300万円くらいの工事の契約を結ばされていたのでした。「いったい、何やってるんですか? こんなにむこうの言うがままにハンコ押しちゃって。どの工事もみんな法外な値段をふっかけられてるじゃないですか? それに、不要な工事ばかりですよ・・・」と、私は、この住民を叱りました。「すぐに解約してほうがいいですよ」「でも、そういうことを言うのが私苦手で・・・」(断れない人ってたまにいます) 「しょうがないなあ、僕が電話して、契約を解除させますよ」と、事は面倒になるばかり。

 この悪徳業者に、契約解除を申し出ると、最初は、「きちんと契約書書いてもらってますからだめです。違約金もらいますよ」とか、ふざけたことを言ってます。「おまえなあ、バスルームの工事でこれだけひどい手抜きやっておいてなんだ。だいたい、バスルームだけで、ずいぶん儲けたろ。これ以上、欲かくな。どうしても、契約解除しないっていうなら、うちの会社の法務部の人間を送るぞ」
(本当は、法務部なんかないんだけど)と、またまた、脅しをかけました。そうしたら、「あの、それじゃ、契約金額の料金から、3割引にしますからどうですか?」と、バカなことを言ってきます。「バカ野郎、これは不要な工事なんだから、工事自体いらないんだよ。料金云々の問題じゃネエ」「はい、では、上のものと相談して・・・・」

 翌日、その業者から電話があり、「契約を白紙に戻します」とのことで、バスルーム以外の余計な工事はなくなりました。

 それにしても、この被害者女性、「ずいぶんお金持ってるなあ」、と感心しました。そして、巧みに口車に載って、簡単に財布の口を開けてしまいます。これじゃ、リフォーム詐欺が儲かるわけです。今回の事件も、普通の管理人のように、「専有部のことは関係ありません」と門前払いしていたら、どうなったことか。


 2/14 この女性からチョコレートもらいました。

 「漏水しないように、リフォームしましょう」と工事をしたら、水道管のつなぎ方が下手で、漏水した、なんていう笑えない話も実際にあります。




2006/2



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