管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

いつまで続けられるのか? 素晴らしい理事長







  「管理組合は理事長しだい」と、よくいわれますが、つくづくそう思います。

 当マンションと同様に、ゴミ出しマナーの悪さ(カラス&野良猫のゴミ荒らしも)に悩んでいた、Bマンション(ここの場合、住民のマナーの悪さだけでなく、住民以外の不心得者による不法投棄も問題になっていました)、そこの管理人さんによると、「組合はなんにもしてくれない。動かない」とのことでしたが、昨年夏に新しい理事長に替わったとたんに劇的に変化しました。

<ゴミ集積場に鍵を設置>
 当マンションでも、無責任に言う人がいます。「前日のうちに出す人がいるのなら、鍵かけちゃえば?」「でも、その鍵はいつ誰が開錠するんですか? 私(管理人)は通勤管理人ですから、早朝に鍵を開けることなどできないですよ」「誰か住民がやればいいんじゃないの?」「だったら、奥さん、あなたがやってくれますか?」「冗談じゃないわ、なんであたしがやらなくちゃいけないの?」・・・・・

 この手の話は、提案しても絶対に実現しないものだと思っていたのですが。
 このBマンションでは、理事長が発案して、まず、今まで青天井で何もなかったゴミ集積場に、フェンスで囲いを作り、小屋のような形に工事しました。そして、ドアをつけ、そのドアに鍵をつけました。その鍵は、早朝に開錠し、ゴミ収集が終わると施錠します。問題は誰が開錠するか?なんですが、自らが「僕が毎朝5時に開けるよ」といって、それから毎日、どんなに天気が悪くても開けているそうです。このおかげで、ゴミ置き場は劇的にきれいになり、不法投棄もほとんどなくなりました。
 こんなことなかなかできないですよね。おそらくお金もらってもできないですよ。この理事長すごいですよ。頭下がります。現在のゴミ収集は、品目細分化により、日曜日以外は毎日収集があります。つまり週に6日、早起きして、ゴミ置き場(屋外です。理事長の部屋からはけっこう離れています)までいって、鍵を開けるのです。普通の人にはできません。それに、Bマンションは管理人の勤務が週に2日だけの「巡回型」です。つまり、「ゴミ収集が終わった後に管理人が鍵をかけることができるのは週に2回だけ」なのです。管理人がいない日は、理事長の奥さんが、ゴミ集積場の鍵を施錠する仕事をしています。これも大変です。体の具合の悪い時とか、家族で旅行に出かけるときとかどうしてるんでしょうか? 今のところは皆勤賞だといっても、私生活をかなり犠牲にしているのは間違いないでしょう。

 でも、この理事長が永遠に理事長であり続けるわけではありません。おそらく理事長が代替わりすれば、次期の理事長は「俺はそんなことやりたくない」と言うのは必至です。そうしたらどうするんでしょうか? 一無償ボランティアとして続けていってくれるんでしょうか? 

※私が勝手に考えたんですが、こういうアイデアはどうでしょうか? 新聞屋と契約して、「朝、新聞配達に来る際についでにゴミ集積場の鍵を開ける」ことにするのです。月に1万円程度の報酬を払えばやってくれるんじゃないでしょうか? ゴミは貴重品ではないので、他人である新聞配達人に鍵を渡しても悪用されることはないでしょう。まあ、休刊日とかどうするの? という問題はありますが。

 当マンションでは、「深夜にゴミを出す」どころか、前日のゴミ収集が終わったすぐあとに、「ねえ、管理人さん、明日のビン・缶ゴミ、今から出していい?」と昼間のうちに平気で聞いてくる奥さんがいます。悪いことだなんて全然思ってないんです。私の常識からしたら、「夜の12時を過ぎたら日付がかわるんだから出してもいいよね?」という程度なんですけど。

<掲示物を作成してくれる>
 住民のレベルが低いマンションの場合、いろいろな「注意書き」を作成して、掲示or配布しなくてはなりません。Bマンションでは、管理人さんが手書きで今まで作成していました。ところが、理事長は「うちのかみさんはパソコン得意だから、今後はうちで作るよ」と言ってくれたそうで、その後は、全部、理事長の奥さんが作ってくれるようになったそうです。まあ、本来、管理組合というものはそういうものだと思いますが、実際は管理人にやらせているのが実情であり、このBマンションはすごいです。おまけに、「屋外に貼るときは、紙のままだと、すぐにインクが滲んだり、紙が破けてしまうから、ラミネートしないとだめでしょう。ラミネーターを買いましょう」とすぐに買ってくれたそうです。これもすごいです。

 でも、これも理事長が代替わりしたら、どうなるんでしょうか?


 問題はいつまで続けられるのか? ということです。


 


2006/1




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