管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 狭い管理事務室&理事長独断防犯カメラ  




劣悪な勤務環境
 
「管理室のエアコンの修理代を管理人が自腹」に驚いている人もいるようですが、エアコンすらなく、粗大ゴミの扇風機で涼をとっているところもあります。まだまだ、この業界、ひどいところはたくさんあります。

 うちじゃないですけど、近所の小さな新築マンション、敷地もギチギチです。管理人業務のメインは清掃ですが、この清掃道具を置いておく物置がありません。仕方なく、建物の裏側の、雨風にあたらない場所にまとめて置いていたのですが、「そんなところに置くな、みっともない」という苦情が住民から管理会社に行き、そこに置けなくなりました。会社には「だったら物置買ってよ」と頼みましたが、会社も組合も”ノー”。お金の問題もありますが、そもそも物置を置けるような場所がないのです。わずかながらないことはないのですが、「そんなところに物置があると、マンションの美観が損なわれる」と拒絶されました。

 それでどうしたかというと、結局、管理人室内に保管することになったのです。でも、ここの管理人室、宝くじ売り場みたいに狭くて、もともと、そんなものを置くスペースなんてないんです。そこに無理矢理置きました。この管理人さん、椅子に座ると、頭のすぐ右側には雑巾が干してあり、左側にはモップが立てかけてあります。足元にはバケツや洗剤などがいろいろと・・・。この管理人室。交換用の照明灯を保管しているのは、管理人用トイレの中。「つっぱりラック(自腹)」を使って、頭のうえに置いているんです。涙ぐましい努力です。こんなんでまともな仕事ができるわけない! 私は思います。雨の中働いたあとに、カッパを干す場所もありません。
 住民もひどいけど、建物を設計した奴もひどい。

 私は、「毎年、役員が一新された時には、マンション内ガイドツアーというものを実施し、管理人室も覗いて欲しい」と思います。みんな実態を知らないから無関心なんです。理事長がしょっちゅう管理人室を訪れて、いろいろ話をするようなマンションでは、管理人の勤務環境はいいです。



<追記>突然つけられたカメラ

 上記の狭い管理事務室のマンションに、突然、防犯カメラが設置されました。なんでも、数ヶ月前にこのマンション、空き巣被害にあったそうです。それも、1日に同時に3軒の部屋がやられたそうで。どうやら、海外から集団でやってくる窃盗団の仕業みたいです。この被害者の中に理事長がいました。

 この理事長、ふだんの活動は熱心でないのに、「防犯カメラがないのが悪い。防犯カメラをつけよう!」と、急にはりきって、積極的に動き、管理会社に注文を出し、あっという間に防犯カメラを設置させてしまったそうです。

 問題はそのプロセスです。普通、防犯カメラ設置というのは、「費用が莫大」「どこに、何台、どのような角度でつけるのかよく考える」「暗いところには照明設備も必要」「プライバシーの問題を考慮」「運用方法に厳密な規則を作る必要がある」・・・・・など、ただ、機械を取り付ければいいものではなく、事前の細かな話し合い、意思統一が必要な案件です。普通のマンションなら、当然「総会での普通決議事項」という案件で、理事会レベルで決められるものではありません。
 ですが、この理事長、自分が被害者なものですから、「とにかくすぐに設置しなくては」と、プロセス無視で、理事会を2回開催しただけで、そこの決議だけで、とにかくつけさせてしまいました。

 費用の問題は、リース契約にすることによって、月額数万円という金額になり、トータルはともかく、みせかけの費用が安くなり、目立ちません。また、「小さなマンションに1日に3件の空き巣被害」というのは、住民全体に対してもショックだったようで、みな、防犯カメラの必要性を感じたのでしょう、特に反対意見もなかったそうです。というか、アンケートすらやってないので、意思の確認はできてませんが、とりあえず、設置後に苦情はきていないので、いいみたいです。

 でも、今後、「空き巣被害ショック」が薄れてくると、住民の皆さんも気がつくんじゃないでしょうか? 「運用方法はどうなってるの?」「なんかいつも私たち監視されてるの?」「費用は全体でいくらかかるの?」「カメラの設置場所はここでいいの? あそこも必要なんじゃないの?」・・・・・・といったことに。

 ここの管理人さんに話を聞くと、「”どこに設置したらいいか”とか、全然質問も相談も受けてないんだよ。俺の知らないうちに勝手に全部決まっちゃったよ」とのことです。「裏の工場の資材置き場の資材を階段代わりに使って、このマンションに容易に侵入できる場所があるんだけど、そこなんか最重要ポイントだと思うのに、そこにはカメラがないんだよね」「管理人に対して、どういうふうに利用するのか、その指針も指導されてないし、いったいどうすればいいのか? さっぱりわかんないよ」とも言ってました。なんか、拙速すぎたんじゃないでしょうか? こういうことは慌てるとろくなことがないですよ。

 そして、その管理人さんが一番困っているのは、管理事務室内に設置された大きな機材のことです。それでなくても、狭くて身動き取れないのに、そんな場所にさらに機器が押し込まれました。「人間が仕事する場所じゃない」「液晶薄型テレビが当たり前の時代に、大きなブラウン管テレビなんだよ。場所とってしょうがないよ。」 どうやら、数万円の経費節減のために、ケチって液晶テレビにしなかったようです。セコイなあ。管理人のこと何にも考えてあげない理事長なんだなあ。
 「電気コンセントも蛸足配線で、危なっかしいたらないよ。自分の携帯電話を充電する時は、さらに蛸足にしなくちゃなんないよ」「防犯カメラの電気工事をしてから、2階の廊下の蛍光灯が不安定なんだよね。ちゃんと工事したのかなあ」とも言ってました。

 理事長が積極的にリーダーシップをとって動くのはとてもいいことですが、他人の意見(特に、最前線で働く管理人の意見が大事)を良く聞くことも必要ですし、準備をしっかりすることも大事です。プロセスをないがしろにしてはいけません。


 それにしても、うちのマンションはいつになったら防犯カメラがつくのやら・・・ トホホ。運用細則とか、私のほうでほぼ完成に近いのも作ってあるんだけどね。

 


2005/11

粗大ゴミで拾ってきた扇風機。無料はうれしいが大きすぎて困る。





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