管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

「駐輪場の数」と「駐車場の数」の逆転現象を考える





2014/3


 http://podcast.tbsradio.jp/cycle-r/files/20140316.mp3
当サイトの読者の方から教えていただきました。

TBSラジオの「ミラクルサイクルライフ」という番組で、アリとキリギリスの石井君が出演しています。(相方は何をやってるんだろう? 全然見ないけど) マンションにおける「駐輪場」と「駐車場」の数の問題を論じています。(だいたい、20分経過後からです) まずは、皆さんもこれを聞いてください。(いつまでアップされてるかわからないけど)

ここでは、「解説者が自転車好き」「どちらかというと、都心のタワーマンションを対象にしている」という特殊バイアスがありますが、まあまあ、いいことを言っていると思うので、取り上げたいと思います。

<自転車>
「都会に住んでいると、自動車よりも自転車のほうが便利」
「母親のママチャリだけでなく、家族全員が自転車を持っている家庭が増えている。1世帯=1台だけ、なんてことはない」
「しかし、マンションの駐輪場は、”1世帯=1台”が基本になっており、2台目を置くだけでも、順番待ちや抽選を受けないと確保できない。駐輪場の数が絶対的に不足しており、自転車ブームの現代においては、”1世帯=1台”という、マンションの設計がおかしい」

<自動車>
「都会では、自動車は不便 (自転車のほうが便利)」
「自動車を持つ世帯が減っている」
「マンションに設置されている駐車場の数が多すぎて、余っている」
「駐車場の利用料は、全額、管理費の会計に組み込まれるため、駐車場の利用台数が少ないと、管理費の会計が足りなくなって困る」

<総論>
マンションを建築する際に、今後は、「駐輪場をもっと増やすべき。逆に駐車場は減らすべき」ではないか?

といったようなことを発言なさっています。

私も概ね、この意見に賛成です。特に自動車の駐車場は、以前は、「多数の空き待ち住民が居た」のに、現在は、たった2名しかいません。ご近所の「機械式駐車場設備」のマンションでは、「20台収容可能」なのに、「6台分空いている」という状態です。
役所は、将来の展望も予測して、規制を変更して、そして分譲会社も、今後のマンション設計においては、このような方向転換が必要だとは思いますが、やはり、自転車好きの人のための番組ということもあり、「乗りたい人は何台でも乗ればいい」っていう思想は賛同できませんね。
今現在、駐輪場が不足しているマンションで、増設が無理な場合は、それに従うのが集団生活のルールだと思います。実際、マンションを購入する際に、「1世帯3台置けますよ」といったウソは言ってないはずで、「1世帯1台分しかない」ってことをわかって購入しているんですから、それに合わせるべきです。家族4人が同時間に一斉に自転車に乗ることなんかめったにないわけですから、親と子供が共用の自転車に乗ってもいいわけだし。家族全員が各自専用の自転車を保有しなくたって生活はできます。

「マンション全体で、共用自転車制度を導入して活用する」っていう方法だってあります。

この解説者、わかっているようで、わかってないなあ、と思います。まあ、マンション管理の専門家じゃないからしょうがないけど。

それから、一番ひっかかったのは、「駐車場の利用料は、全額、管理費の会計に組み込まれる」という発言。実際にそういうマンションも少なからず存在はしますが、全部ってことはないです。本来、駐車場利用料は、特に「機械式」のところは、「修繕積立金会計」に充填しないとだめです。全額は無理でも、半分程度は、積立金の会計に回さないと、将来的に困ります。機械式駐車設備の更新工事を管理会計でするわけにはいかないのですから。

この人は、「管理費」と「修繕積立金」の区別もつかない人なのかなあ、と情けなくなりました。そのへんの井戸端会議の与太話じゃなくて、電波に乗せているんだから、マスコミは、もうちょっと、ちゃんとしたことを言って欲しいと思います。