管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

危険作業はしない約束なのに



 「マンション管理人はいまや花形職業。なるのは大変」とか、一部業界誌では書いてあったりするのですが、本当なんですかね? 管理人仲間はみんな管理人なんで、「面接で落ちた」人とか知らないんですが、新聞の求人欄の多さを考えると、「激安給料のためになかなか人が集まらない」職業だと、いまだに思うんですが。

 というのも、知り合いの管理人さんて、就職する際にけっこういろいろ注文つけてるみたいなんです。倍率の高い仕事だったら、そんな注文をつけるような応募者は落とすでしょう。でも、採用されているんですから、倍率低いんじゃないのかな? と思うわけです。

 管理人というのは高齢者の仕事です。つまり、若者のようには動けない人たちです。また、最近は女性の管理人(こちらは、若い人もいます。といっても中年だけど、)も増えています。
 そんなわけで、管理人になる際に、「私、電気のことはまったくわからないので、そういう仕事はNGです。」「脚立に登るような仕事はNGです。ですから電球の交換はできません。」「手すりのない危険な屋上には上がりません」「清掃員が別にいるんだったら、俺は掃除は絶対にしないよ」・・・・といった、どちらかというと設備管理に関する仕事を拒否する人が多いのです。そして、会社側も「大丈夫、そういうことは、月に1回来る専門の設備担当者がやるから」とごまかして、採用します。裕福な年金をもらって生活に困らない、いわゆる「趣味で管理人やっている人」は、特に注文が多いそうです。

 でも、実際に仕事を始めると、「やらなくていい、っていう話だったのに、いつのまにかやらされてるのよ。騙されたわ」ということがおうおうにしてあるそうです。そりゃそうだと思います。「廊下の電球が切れた。しかし、設備員が巡回に来るのは2週間後。それまで放置はできない」「清掃員が帰ったあとに、廊下に灰皿をぶちまけた奴がいる。掃除しないわけにはいかない」ということよくあります。そういうのが積み重なると、「頼まれると嫌と言えない」ような、人のいい管理人さんの場合、「最初の話と違って、何でもかんでもやらされるようになってしまった」ということになります。中には、「やらない約束なんだから、苦情が来ようが、何が来ようが俺はやらない。」と突っぱねる人もいますが、管理人やるような人は優しい人が多いですから、ついつい引き受けてしまうようです。

 管理会社のほうも、最初からそのつもりで、面接時は「やらなくてもいいよ」といっておけば採用できる、現場に配置してしまえば、仕方なくやらざるをえなくなる、という計算があるようです。たぬき業界です。

 そして、脚立から落ちてケガをして辞める管理人が実際にいるのです。高所の電球交換って、危険ですよ。私もひやひやしながらやってます。清掃パートさんに脚立の足元を抑えてもらわないと危険なので、一人の時はやりません。

 追記:
 女性管理人の中には電気のことがまったくだめな人が多いようです。「防犯カメラの録画用のVHSデッキのテープ交換。私できません。(月に1回フロントマンが交換)」なんて人もいます。また、「それってまずいでしょ」と私が心配しているマンションがあります。共用部照明の時間変更をまったくしないのです。つまり、1年中通じて、「夕方5時になると電灯がつき、朝の6時に消える」というタイマーのままなんです。毎日通勤途中に通るんですが、今の時期のように日が長くても、5時になると電気がつきます。昼行灯です。電気代無駄です。住民は何も言わないのかな? 不思議。


2005/5