管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 明治ブルガリア飲むヨーグルトの新容器で悩む


2014/2


 
 
 
 今回書くことは、いつものような「フィクション」ではなく「真実」なので、実名で書きます。

 この写真の
「明治ブルガリアのむヨーグルト」は、私も愛飲しています。これが、昨年秋?からか、今までの「普通の牛乳と同じ紙パック」だったのが、今、テレビで宣伝もやってますが、「注ぎやすいボトルで新発売!」ってことで、以前とは違う容器に変わりました。
 マンション管理人という仕事柄、こういうのには敏感です。なぜか? 「リサイクルはどうするのか?」ってのが問題だからです。

 勤務先マンションでも早速、この空き容器がゴミとして出され始めたわけですが、これはいったい「紙」なのか? 「プラ」なのか? よくわからないのです。住民も様々で、「プラの回収ボックス」に入れる人もいれば、「紙パック回収箱」に入れる人もいて、ばらばらです。なんだかわからなくて「生ゴミ」のところに入れる人もいます。

 そういうわけで、まずは、容器に書いてある表示を確認しました。



このような表示になっています。「本体は紙」「キャップと内フタはプラ」となっています。え? って感じです。実は私、本体全体は「プラ」だと思ってました。

 だって、「この消費期限が印字されている、肩部分の、白いところ」は、形状的にも、触った感じでも、プラにしか思えませんでした。なのに、「本体=紙」というのは理解できません。私の感覚では、「本体はプラで、その本体を包んでいる、いろんなことが書かれた部分が紙」だと思っていました。



 というわけで、チンプンカンプンなので、メーカーの明治乳業さんへ電話をして聞きました。すると、なんとも不思議で複雑な回答が。

 「青いキャップ」と「キャップを外した際に出てくる、中フタ」と「本体の中の上部の、肩のような部分で消費期限が印字されている白い部分」プラ

 「本体の”肩”部分を除いた下部」は「紙」なんだそうです。
 紙をプラの上に巻いているのではなく、下部本体は、それ自身が紙なんです。今までの紙パックと同じで。

 ここで不思議に思うのは、「肩の部分がプラで、その下は紙って、おかしいだろう? これは一体化してるぞ」ってことなんですが、なんでも、これが「新技術」だそうでして。プラスティックと紙を上手に接合する技術が開発されて生まれた新容器なんだそうです。「なんじゃそりゃ?」って感じで、驚きました。

 でも、言われて見ると、たしかに、本体の下部は紙なんですよ。このとおり。

下部を折りたたむと、ブリックパックみたいに、「紙」だってことがわかります。

このように、実際は、本体部分は「プラと紙の複合素材」ってことなんですが、「本体=紙」と書かれています。この点について質問すると。
「法律では、複数の素材が入っている物体でも、その含有率が一番高いものを表示すればOKになっています。そのため、表記では、本体=紙と書いております」とのこと。

あ、これ、以前にも聞いた事があります。法律って実はけっこういい加減なことやるんです。でもねえ、こういうややこしい新素材の場合は、丁寧に記載して欲しいですよ。表記どおりに、肩の部分も紙だと思った人は、この本体全体を「牛乳パック紙資源ゴミ」として出しますから。でも、これを「紙資源」としてリサイクルしようと工場に持っていっても、「プラが混入している」ってことではねられるはずです。困ったもんだなあ。

さて、そういう事情も配慮されてか、この容器には「リサイクル方法」として、「廃棄の際は、各自治体の区分に従い、適切に処分してください」と書かれています。
この文章、ずるいです。こうすれば、なんでもOKですもん。無責任です。

そういうわけで、うちの自治体では、この新パッケージをどう扱うのか? 担当部署に電話をして聞きました。

最初に応対した職員は、「ゴミ分別の専門担当員」のはずですが、この新容器に関する知識がなく、回答できず。「え? なんですか。それ??」という有様。ほんと、役人は勉強不足で使えねえ。
しょうがないので、市役所本部ではなく、出先の現場部署に電話しました。

「あ、それですか? それは、上のプラ部分をはさみで切り取って、それは、プラの回収へ。下の紙の部分は、さらにはさみで切り開いて、水で洗って、それを乾かして、牛乳パック回収へ。よろしく」

言われたとおりに実際にやってみましたが、かなり切れ味のいい高級なハサミじゃないとうまく切れないし、切ったのを開くのも、かなりの力が必要だし。口で言うのは簡単だけど、こんなめんどくさいこと、一般市民ができるわけないだろう? うちのマンションの住民なんか、絶対にやらないよ。

それで結局、後始末は全部、管理人に押し付けられるわけでして・・・・・

それにしても、この新容器、何の意味があるんでしょうか? これで、なにかが便利になるわけでもなく。「注ぎやすい」って言うけど、別に、今までの容器で何も問題なかったし。
私が思うに、「プラと紙を上手に接合できる新技術が開発されたので、それを使ってみたかった」という、技術者のエゴなんじゃないかな?

とにかく、迷惑です。これ以上、ゴミに関する管理人の仕事を増やさないで欲しい!!!!