管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 機械式駐車場の規格を守らない 



 以前、「うちのマンションは平置きで、置ける車両の規格が決まっていない。その点、機械式駐車場は厳密に決まっているからいいなあ」ということを書きました。しかし、その後、別のマンション(新築1年目)の管理人から、「そんなことないよ。規格があっても平気で破る住民がいるよ」というお話を聞きました。御紹介します。

 機械式駐車場には「全長○○cm ・・・・・全重量 ○○kg」という制限規格があり、機械の横にはっきりと明記されています。また、ここのマンションでは、駐車場利用契約書にもその規格が書かれており、「制限があるなんて知らなかった」では済まされないようになっています。そして、契約書には、車種名や大きさを記入する欄があります。

 しかし、問題は、この「大きさの記入」が、”ごまかせる”ということです。車検証などの公的な書類を提出させるわけではないので、「10センチ高くても入るよ」と考えた利用者が高さ制限にひっかかる大きさの車両を持ち込むのです。書類を受け付ける管理人も管理会社も、契約書の印を押す理事長も、「本当にその車の大きさが申請どおりかどうか?」確認することは無理です。自動車会社にイチイチ確認するわけにもいきません。自己申告を信じざるを得ません。そして、契約完了となります。また、車を買い換える際も「変更届」を出しますが、この中の「大きさ」も自己申告ですから、だますことは可能です。このように、「違反だとわかっていて、過小申告して契約する悪質な住民」が少なからずいるそうです。こういうのが一人でもいると、「あの車、違反のはずなのにのに置いているじゃないか。だったら自分も置こう」という、マンション論理”他の人が規則を破っているから自分も破っていい法則”が次々に適用されてしまうわけです。中には、「あの車は違反だ。うちだってあの車種を買いたかったのに、大きさ制限にひっかかるから買わなかったんだ。いますぐに出せ!」とどなりこんでくる人もいます。といわれても高額な買い物を返品するわけにもいかず、そう簡単に追い出すわけにはいきません。今、理事会では、「車検証を提出させよう」と考えているそうですが、「これから申込む人にはいいが、今現在、置いている違反車両をどうするのか?」で揉めているそうです。

 置く側の「5センチ10センチでギャアギャア言うなよ。実際に使っていて、天井があたることもないし、何の問題もないよ。見逃せ」という理論もわからないのではないですが、相手は機械ですから、こういうことは厳密に守らないといけないのです。機械式駐車場メーカーとしては、「規格違反車両を入庫させた場合は、機械の故障が起きても保証しない」からです。交通事故の保険といっしょで、本人に重大な過失がある場合は、保険は適用しないのです。この駐車場の場合、みな確信犯ですから始末が悪いです。弁解できません。

 「なんで、こういうことも守れないのかなあ。うちの住民はほんとモラル低いよね。いろんな車があるんだから、サイズがぴったりのを選べばいいのに」と、その管理人さんは嘆いています。ごもっともです。


2004/12