管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 突然 木が増える


   皆さんのマンションは植栽はどれだけありますか? 

 ここはけっこう多いほうです。土や緑が多いというのは、喜ぶ人がいますが、維持管理は大変です。また、虫や花粉、土の散乱などの害もあることで、植物を嫌いな人もいますので、”あればあるほどいい”というようなものではないと思います。

 毎日巡回していると、「あれ、この木(草)、ここにあったっけ?」と疑問に思うことがよくあります。彼岸花みたいに、”地中に根だけ残して、毎年、決まった時期が来ると茎が伸びてきて花を咲かす”という種類の花もありますが、あきらかに、誰かの手によって植えられたものが多々あるのです。種を蒔く人もいますが、その場合、双葉が出てきて・・・・・と育っていく様子がわかります。しかし、突然大きな木が、ドカンと出現することもあります。おそらく、自分のベランダに鉢を置いて育てていたのが、大きくなりすぎて手に負えなくなって、共用部の植栽に移植する人がいるのです。根元をよく見ると、鉢から取り出して移し変えたんだなあ、というのが容易にわかります。こういうのって、「責任放棄」じゃないでしょうかねえ。無断でやられるのも困ります。勝手に植えて、あとの”水やり””消毒””剪定”は組合さん(&管理人)にお任せ、という考えなんでしょうか?

 そんなわけで、昨日は何もなかった所に、今日突然立派なソテツが植わっていることがあるのです。参りますねえ。移植した植物の困った点というのは、台風などの強風に弱いという点があります。もともと植木鉢に入っていたのを植え替えたために、根元が弱いのです。根が広く張っていないために、横風ですぐに倒れます。先日の台風でも何本か倒れていましたが、いずれも「住民が勝手に移植したもの」でした。もともとあるものは、そんな簡単に倒れません。(街路樹も、根の張り方が狭いために倒れやすいです) 倒れると、土が散乱します。管理人は、倒れたのを起こして、土を固めて、きれいに直します。

 いろいろな種類が無分別にごちゃごちゃ植わっているというのは美感上もよくないんですがね。

 なんでもかんでも、最後の始末は管理人です。住民は自分で面倒見ません。

 そういえば、過去に一度も「あの場所に植えてもいいかなあ」といった相談を受けたことがないです。すべて無断で誰かがやったことです。モラルはないのかな?


 先日、このマンションではなくて、自宅付近にある川沿いを歩いていた時、川端にある立派な木を、市役所の職員らしき人が切っていました。「こんな立派な木をどうして切るの? もったいないじゃん?」と聞くと、「この木って、誰かが勝手に植えたものなんです。河川の土手というのはコンクリ擁壁の強度維持のため、植物は植えてはいけないんです。調査してやっと持ち主がわかって了解を得たので切っているのです」といってました。なるほど、たしかに植物の根は「盛岡の石割桜」とか実例があって、岩をも破壊する力がありますから、コンクリの土手も壊れる可能性があります。植えるほうがわるいんだけど、それにしても、こんなに大きくなるまで、なんで放置してたんでしょうか? 役所のやることはわかりません。そして、「市有地であったとしても、そこにある私有の植物を勝手に処分できない」という融通の効かなさも不思議です。成田空港建設のときは、私有地から住民を追い出したくせに。


2004/10