管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 台風の時だからできること 




台風接近
 
また、台風の季節になってきました。そういえば、3年前の雑排水管清掃の時に、台風が接近して、前日の夕方に業者から、「明日中止にさせてください」という電話がありました。予報では、「直撃はない。それる。明日の朝には遠ざかる」という予想で、私としては、「これならできるだろう」とふんでいたのですが、業者側は、「もしかすると来るかもしれないので、中止させてください」とのこと。まあ、天気のことゆえ、何がおきるかわからないので、言いたいことは理解できます。
 ただ、「住民の皆さんへの中止の案内をよろしく」と一方的に仕事を押し付けられました。すわ、一大事! それから、急いで、中止の掲示出したり、チラシを全戸配布したり、作業車配置のために一時移動してもらうことにしていた駐車場の利用者に連絡したり、まあ、てんてこ舞いでした。何週間も前から、「この日絶対に在室して下さい。とても大事な清掃です」と宣伝して、「うちは何時じゃないとだめ」「うちは、朝イチならOK]とかいう個別の希望を聞き、空室になっている部屋はよそに住んでいる所有者に連絡をつけて、当日だけ来て貰う段取りをつけたり、まあ、すごい手間をかけて準備をしていたのが、一瞬にして水泡に帰すのです。たまったもんじゃないです。そういう苦労まで高圧洗浄されちゃうんですから。それをすべてイチからやり直しなんですから、大仕事です。2時間残業しました。
 でもね、当マンションでは、排水管清掃は組合からの直接発注で、管理会社は一銭の手数料ももらえないんです。それなのに、こういった非常に面倒な事務作業は全部私の仕事。普通、業者側で文書を作成して持ってくるんじゃないの? 最低でもFAXで送ってくるでしょう。なんで、全部私に押し付けるのかな? 本来、管理会社は何もしなくてもいいんだよ。委託契約には「各種作業の立会い」とあるだけなのに。ある意味、ボランティアしている優良な管理会社なのかもしれません。(これじゃ、会社も儲けられないから、給料も安いのが当然)
 

 2004年は台風の大当たり年でした。(私の買う宝くじはあいかわらず大外れでしたが)

 先日の台風でも、困ったことが起きました。「非常口」と書かれた照明灯の内部に水が浸入し、壊れてしまったのです。上の階でいくつか発生しました。たしかにほんのわずかな隙間はあるものの、直接雨にあたる場所でもないのに、そんなところから浸水するとはびっくりです。台風が来る時は、「注意書き」を事前に掲示して備えてもらいます。「洗濯物は取り込んでおいて」とか、ありきたりのものです。
 特に注意しなければいけないのが、ベランダの荷物で、最近はガーデニング流行ですから、物置の上に植木鉢があったりと、物が多いですから、落下事故が起きないように注意してもらいます。昨年は、キャンプ用のテーブルセットが強風で飛ばされて、貯水槽の上に落ちたことがあります。怪我人がなくてよかったです。

 ところで、困ったことばかりの台風ですが、「いい機会だからやっちゃえ」ということが1点あります。

 当マンションは共用水道が1階にしかありません。また、電気コンセントも共用として使用できるものがありません。そのため、共用廊下や外部非常階段などを、水を利用したり、機械を使用して清掃することができません。「ゴミ拾い」「掃き掃除」のみとなっています。これでは、なかなかきれいにはなりません。私も清掃員も、「もっときれいにしたいけどなあ。無理だなあ」と思っています。

 そんなわけで、「大量の水が空から降ってくる」「ふだんは雨が入らない場所に、強風のために水が入ってくる」台風というのは、こういった部分を掃除するのに千載一遇のチャンスなのです。ホースがなくてもいいのですから。
 といっても、暴風雨の中、安物のカッパを来て掃除をするのは、危険な作業で、これは清掃パートさんにお願いするわけにはいきません。私が、あらかじめ着替えを用意して覚悟を決めてから作業に取り掛かります。デッキブラシを使って、さっさか掃除します。横殴りの大雨ほど歓迎です。こうすると、ふだんは落とせない汚れを落とすことが出来ます。

 管理人稼業、けっこう命がけでがんばってます。(誰も見てないけどね)


2004/10