管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

会社名義で駐車場を借りる人がいる



 近所にある大型マンションに新しく赴任してきた管理人さんと、ラーメン屋で話す機会がありました。

 「駐車場使用料金の領収書を毎月私が書かなくてはならないのですが、これって管理人の仕事なんですか?」と質問を受けました。実は、駐車場60台のうち、10軒ほど会社名義のものがあり、これに対して領収書を手書きで毎月発行しているそうです。このマンションは駅至近の高級マンションで、駐車場も立派な機械式のため、料金が高く、30000円です。このため、領収書には収入印紙を貼らなければなりません。(組合費から支出されます)

 この「会社名義で駐車場を借りる」ケースは、当マンションでもあり、問題になっています。
 普通、どこのマンションでも、住宅専用マンションの場合、管理規約で「部屋は専ら住居用として使用する・・・・」と書かれているので、居住者は法人はいません。ですから、居住者が使用する駐車場の車の名義が会社であることはないはずです。そして、駐車場の使用細則では、「組合員が所有する車を置く・・・・」と記載されています。
 しかし、実際にはあります。A「自宅を、自宅兼事務所にしている人」、B「別の場所で会社を経営しているが、車は会社への通勤用として使っている人」、C「会社の社員で、会社から自分専用車両を貸与されている人」などです。ABの場合は、厳密には細則違反ですが、会社の経営者が居住者ですから、会社名義といえど、まあ許せます。Cの場合は、完全に違反です。しかし、申し込みの段階で黙っていれば、管理組合がきちんとチェックしないと、通ってしまいます。そして、「居住者の所有物でない車両が、マンション内駐車場に置かれる」ことになるのです。ナンバープレートも、この地域のものではなかったりします。そういうのは目立つので、よく、質問も受けます。

 このように、会社名義になると、必要経費で落として税金を節約するために、「領収書をくれ」ということになります。そして、本来の委託契約にのっとれば領収書を発行することなどないはずなのに、発行することになり、管理人の仕事がまたひとつ(管理会社の経理担当者がやる場合ももちろんあります)増えるわけです。

 解せないのは、中小企業経営者によくあるパターンで、「自分のドラ息子に買い与えたスポーツカーを会社の経費として計上する」ケースです。はっきりいって、脱税です。息子が遊ぶためだけに使っているマツダRX−8を、会社名義で必要経費にするのはひどいです。我々は脱税の片棒を担がされているわけです。車庫証明発行作業まで任されている管理人はもっと大変です。

 駐車場細則をきちんとする。きちんと厳密に守るように管理する。両方が必要だと思います。

 


2004/2