管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 お利口さん 


 なんのことかわからないでしょうが、有名なコピー機メーカーのお話です。
 このマンションでは、以前から、お利口さんのコピーをリース契約しています。去年までは、営業マンが来ることなどほとんどなく、ある意味ほったらかしでした。といって、故障もしないし、トナーもなくならないし、それはそれでよかったのですが。

 今年の5月から営業担当者が変りました。この社員、新入社員で慣れてなく、なんか変な奴です。慣れてないけど馴れ馴れしいのです。
 初訪問の時も、「新しく担当になりました○○です。よろしくお願いします・・・」、ここまではいいのですが、「管理人さんにきちんと挨拶した証拠に、管理人さんの名刺をもらってこい、と上司から言われてますので、名刺を下さい」、なんじゃこりゃ? 「おいおい、管理人ごときに名刺用意するような殊勝な管理会社は珍しいよ。俺は持ってないよ」、「でしたら、この書類にサイン願います」、「なんだか、これじゃどっちが客かわからないなあ」というやりとりがありました。

 その後もけっこうしょっちゅうやってきて、「コピー機の調子はいかがですか?」「別になんともないよ。大丈夫。何かあったら電話するから、わざわざ来ないでいいよ。こっちも忙しいから」。と言っても、またやってきます。暇な会社です。こっちとしては、なぜかいつもてんてこまいに忙しいときに限って、お利口さんがやってくるので、いい加減辟易しています。

 「すいません、管理人さん。実は弊社では合理化の一環で、消耗品の注文方法が、電話からインターネットに変ったのですが、こちらにはパソコンはありますか?」「パソコンはあるけど、ネットには接続してないよ。インターネットやってる管理人室なんて、どこにあるの? そんなマンション聞いたことないよ」「あ、そうですか。では、FAXはありますか?」「あるよ」「じゃ、FAXでお願いします」 (FAXにしても、私が無理を言って導入したわけで、本来なら電話しかない管理人室だったから、注文ができなくなるところでした)  「わかった。今度からFAXで注文するよ。じゃあね」「いや、あの、FAXで注文する場合なんですが、電話注文からFAX注文に切り替える承認書を提出していただきたいのですが。この書類に理事長さんの署名とサインをいただいて下さい」「おいおい、わざわざそんなことで理事長さんに頼むのかよ。そんなことどうでもいいだろう、FAXに変るぐらいで。面倒なことやらせるなよ。こっちは客だぞ!」「はあ、すいません、でしたら、管理人さんのサインでけっこうです」「なんだ、どっちにしろ書類作らなきゃだめなのか。めんどくさいなあ」

 また、別の日。「すいません、管理人さん」「おいおい、またあんたか、今忙しいんだ。電話してるの見ればわかるだろう。故障もしてないし、トナーも十分残ってるから、あんたには用はないよ」「いえ、今日は別の話で」「なんだい?」「実は弊社では今回新たに事務用品の通信販売を始めまして・・・」「アスクルみたいなやつかい?」「はい、そうです。うちの場合はアスクルと同じ価格で送料無料ですから、お得ですよ」「お得ったってね。うちの会社はボールペン1本支給してくれないケチケチ会社だよ。何も買うものはないよ」「いや、そういわずに」「あ、そうだ。パソコンのプリンターのインクがなくなりそうなんだ。買ってもいいよ」「あ、ありがとうございます。  ペラペラ(ページをめくる音)  あ、すいません。そのインクは定価販売です。他社さんのインクなんで。」「おいおい。さっき、安いですよ、って言ったばかりだろう。だますのか?」「いや、そんなことはないです。」「じゃ、用はないから帰れ」「いえ実は、この事業は開始したばかりで、うまく配達できるかどうかわからないんです。一度試しに利用してもらえませんか? 鉛筆1本でいいですから」「おいおいおい、自信がないくせに事業を始めたのかよ。いい加減な会社だなあ。それに鉛筆1本は買えないだろう。6本単位じゃないか」「あ、すいません。じゃあ、消しゴム1個でもいいです・・・」
 と、糞忙しい時間帯に無毛なやりとりがあり、すっかり疲れてしまいました。しょうがないので、マジック1本とメモ用紙を一冊注文してあげました。(自腹) ちゃんと着くかなあ。


 それにしても、名前はお利口さんなのに、抜けた会社です。



2003/12