管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 玄関ホールの照明 


 当マンションのエントランスホールはかなり広いです。照明の数も多いです。しかし、電気回路はひとつだけで、ONにすれば全部が点き、オフにすれば全部が消えます。そして、そのスイッチは管理人室内にあるわけではなく、ホール内の誰でも触われる位置にあります。(スイッチは1個) 時間制御になっているわけでもありません。

 夜になればもちろん照明を点けるのですが、管理人の勤務は昼間です。問題は昼間でもかなり暗い場所があることです。この辺が複雑です。外部からエントランスに入ったすぐの場所は、ガラスを通して外光がつねに差込み、けっこう明るいです。しかし、奥のほうは外が晴れでもいつも暗いです。エントランスホールをただ歩く場合なら、暗いとは思わなくても、郵便ポストの中を覗くとなると暗いです。その郵便ポストにしても、入口から近い所は明るいし、奥まったところは暗いです。もちろん、季節・天気・太陽の差し込む角度・時刻によって状況はさまざまに変化します。(玄関前に大きな引っ越し屋のトラックが止まれば、これまた暗くなります)

 管理人としては、一番暗い場所を基準に考えたいので、24時間点灯させたいと思っています。しかし、そうするともったいないので、状況に合わせてつけたり消したりしています。そうやって悩んでいるのですが、住民によっては、「昼間なのに電気をつけてもったいない」と思う人が当然います。そういう人は勝手に照明スイッチを切ります。(管理人に断ることなく) その後に、別の住民が来て、これまた勝手にスイットをONにします。また、別の人がOFFにします。そして、また誰かがONにします。ずっとOFFの場合は、私がONにします。時々、腕白小僧がスイッチをいたずらして、つけたり消したりして遊んでいます。こんな感じで、しょっちゅう、カチャカチャやってます。人によって、「十分明るい」「暗いから電気つけて」と思う基準が違います。同じ人でも、玄関に入った時にはスイッチを消しても、郵便ポストの中を覗く段になって、「やっぱり暗いなあ」と、再度点ける場合もあります。困るのは、誰一人、管理人に断る人がいないこと。みんな無言で勝手にON OFFするのです。

 また、このマンションは建築当初は高級マンションだったため、照明に凝っています。その照明器具の真下しか照らさない「スポット照明」というやつです。それも、バシっと明るいものではなく、なんかホワ〜っと明るい、柔和な照明器具です。むき出しの蛍光灯なら、全体的にパッと明るくなりますが、スポットだと、点けても暗い箇所があります。(これが「カッコイイ」とか「高級感がある」と、バカな設計者は思ったのでしょう。非実用的なのに)

 「全体的に明るくする」「回路を複数にする」「スポットでなくフラットな照明にする」「郵便ポストのところだけ特に明るくする」といったことをなぜ考えなかったのか、不思議です。
 今だったら、「太陽光を光ファイバーを通して持ってきて明るくする(電気代ゼロ)」「通常はある程度暗めの照明にしているが、人間を感知して、明るい照明に切り替わる」などの、いろいろなハイテクが使えると思います。しかし、「古いマンション」「設計者がバカなマンション」「住民が勝手なマンション」は始末に困ります。

 それにしても、どのマンションでもエントランスホールだけはおしゃれに作ります。実際に生活する部屋がお粗末でも、不釣合いにエントランスだけ豪華なところがあります。”見栄”なんでしょうか? 無駄なのに。
(そんな綺麗なエントランスでも、掃除している管理人は老人で、服装はボロボロ、小汚い格好です。)

 近くのマンションの照明は、「ライトが上を向いていて、いったん天井に光をあててから、反射させてホールを明るくする」という”間接照明”です。これは、最初の頃はいいのですが、天井が汚くなってくると、暗くなります。天井が焦げている箇所もあります。また、照明器具が上を向いているために、ゴミがたまりやすいです。たまに掃除すると「虫の死骸がいっぱい入っていた」ということになるそうです。交換もやりにくいです。ライト本体も特殊なものを使っていることが多く、他の蛍光灯と共用できません。間接照明は、メンテナンスが面倒です。


03/11

勝手に触らないでね