管理人は蝶つらいよ   
マンション管理最前線

 共済  etc.... なぜか 管理人の仕事に


 

 

 このマンションで勤務していて、「なんでこんなことまで管理人がやるの?」と思うことがたくさんあります。それらを整理してみると、その大部分は「本来は自治会がやること、自治会担当役員がやることを、管理人に任せている」ということがわかります。自治会と管理組合はまったく別個の組織であり、管理会社に、自治会の活動をやらせるのは、契約違反なんですけど。


「消火器販売」・・・市が自治会に委託してやっているものです。補助金が支給されて市販の値段よりも安いため、購入する人が少なからずいます。新品を販売するだけでなく、「薬剤の詰め替えのみ」「不要になった消火器の処分のみ(最近はホームセンターなどで小型のスプレータイプ消火器が多く売られるため、大きな本格的な消火器は家庭では敬遠される傾向)」などもやります。
この受付を管理人がやらさせるのです。お金も預かりますから領収書を書いて渡したり、集計票を作成したり、ほんと面倒です。受け渡しは町内会館で、日時を決めて行われるのですが、当日行けない人の代わりに、管理人が品物を運んできます。(各家庭まで運んでもらうと、その分の手間賃が加算され、料金が高いのです)

「火災共済」・・・これも市がやっている制度です。自治会に依頼して募集します。この受付もやらされています。部屋の面積によって口数が違うため、処理が複雑です。

「交通共済」・・・交通事故のときの補償制度です。ポスターを貼って宣伝することまでやらされます。子供と大人で掛け金が違います。

「共同募金」・・・ポスターを貼ったり、チラシを蒔いて、募金を呼びかけます。そしてお金を預かります。

「赤十字への寄付」・・・  同上   お金を預かる時に、「ねえ、○○さんはいくら出したの? 教えて」なんてことを聞かれたりします。教えませんが。そんなことで張り合わないで下さい。


 このように、自治会活動を丸投げで管理人に任せるのです。処理も面倒だし、なにより「お金を預かる」危険性があります。管理人室というのはしょっちゅう留守にします。その隙に入室することは可能です。カギだって、管理人しかもっていないわけではなく、いろいろな人が持っています。金庫なんかありません。いくら多くても10万円を超える現金は集まりませんが、それでも、紛失すればこちらの責任です。本来ならこんなことしたくありません。なにしろ、委託契約の中にも入っていない業務項目ですし、一銭の手数料ももらえません。(自治会は、市から手数料をもらっています。管理人に仕事をやらせて、自分たちはほとんど仕事せずに手数料をもらうなんて、おかしい)

 秋になると、この手の仕事がどっと増えるので憂鬱です。それに、200円の共済金を払うのに1万円札で払う人もいます。「つり銭のないようにお願いします」という掲示物、読んでよ。また、ご老人の方だと、「細かい字がよく見えないのよ。説明してくれる」「記入欄が小さくて書きにくいのよ。管理人さん、代わりに書いてよ」(ほんと、この手申込書って、住所欄がものすごく小さい)なんて人もいます。それから、必ずいるんですが、受付締め切り後に申し込みに来る人。「月末までにって書いてあるでしょ」「いいじゃない、2〜3日遅れても」「もう、会計済ませて町内会長に渡しちゃいましたよ」・・・なんていう会話が繰り返されます。

 よその大手管理会社では、「管理人には現金を一切扱わせません」「委託業務以外はやりません」ときっぱり断るところが多いようです。わが「株ム下弦」は、いい加減というかおおらかというか、気にせずに「はいやります」と受けてしまうから現場が困ります。(何でもやるというのは、ある意味、「いい管理会社」なのかもしれないけどね。でも、「管理人がやるものだ」と思い込んでいる住民にとっては、当たり前のことで、評価なんかしてくれません)



2003/10

お金は預かりたくないんですけど