管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 定 年 


「定年後は好きな山登りでもするか」

 管理人の定年の話ではありません。(管理人は定年後にする仕事です)

 つい最近、ある男性住民が定年を迎えたようです。今までは毎日会社勤めですから、まったく顔をあわせることもなかった人です。でも、ここのところ毎日のように管理人室に顔を出して、おしゃべりをします。それも長々と。「近所で何々があった」「○○に救急車が来てた」「押し売りがよく来るんだよ」etc......

 私からすると、どうでもいいような話ばかりですが、ずっと一方的にしゃべり続けています。私も仕方なく話をあわせてうなづいています。どうやら話し相手が欲しいようです。

 私も以前、地域の趣味のサークルに参加していたことがあり、そこで多くの定年後の男性とつきあっていました。皆さん、高度経済成長を支えてきたモーレツ社員ですから、定年になるととたんにやることがなくなり、脱力感にはまるそうです。年金はたっぷりもらっていますから、遊ぼうと思えば遊べるのに、毎日何もせずにぶらぶらしているそうです。今まで、近所づきあいもしていなかったため、地域に友人もなく、けっこう寂しいそうです。そのために、こういった趣味のサークルやボランティア活動に参加して、小さな生きがいを見つけようとしているとのことです。

 ただし、皆さん、会社ではひとかどの人物ばかりです。趣味のサークルといっても、規模が大きくなると、やはり「組織」になります。そこに「組織の理論」「上下関係」を持ち込もうとする人が多くて、いろいろなトラブルになります。
「俺は人事部長をやっていたんだ・・・」なんていう人は、本人はえらそうですが、周囲からは完全に嫌われます。ここでは、以前の肩書きはまったく通用しません。こういった肩書き人間が多いサークルは、ぶつかりあいが多く、退会する人もけっこういます。どんなものでも、組織というのは難しいものです。
 でも、こういった団体に参加しようという意志があるだけましです。。何にもせずにぶらぶらしている人は、話し相手も友人もいませんから、相手をしてくれるのは、管理人だけなのかもしれません。

 これから、ずっと続くのかなあ。話し相手って、けっこう疲れるんですけど。


2003/5