管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

いい人 



 このサイト、愚痴が中心のためか、「ろくな住民がいない」とお思いかもしれませんが、そんなことはありません。お菓子をくれる人もいます。今の副理事長さんのように、まったくの無報酬で、ヘタな管理会社のフロントマンより働いている方もいます。

 それから日ごろ清掃面でお世話になっているご婦人がいらっしゃいます。この方、こちらからお願いしたわけでもないのに、「郵便ポスト前にある不要チラシ専用ゴミ箱を毎日チェックして、紙以外のゴミを抜き取ってくれる」「ゴミ収集日が祝日にあたり、我々が清掃作業をできない時には、かわりにチョコチョコっと目立った残りゴミを掃除してくれる」などなど、してくれるのです。「いつもすいませんねえ」とお礼を言うと、「いいのいいの、お互い様だから」と答えてくれます。

 こういう方がいらっしゃるために、「管理のいいマンション」と言われていると思います。大事なのは「お互い様」という考えです。「金払ってるんだから、清掃員が掃除するに決まってるだろ。なんで俺たちがしなければならないんだ」と、住民全員が思っているマンションでは、夜玄関ホールに大きなゴミが落ちていても、朝管理人が来て掃除するまでずっとそのままです。1人でも「お互い様だから」と思う人がいれば、目立つゴミくらいは片付けます。昔は、みんなそういう考えだったのに、集合住宅ができてから(というか、何でも”金”の世の中になってから)、すべて他人任せになってしまったようです。住民の1人が1個のゴミを拾い、そういう住民が50人いれば、かなりきれいなマンションになります。「お互い様」という考えを皆さんが持って欲しいです。

 でも、「いい人」って、ほとんどがお年寄りです。残念ながら、若い人にはいません。「学校で授業として、道路の空き缶や吸殻を拾う実習をしないと、今の子供たちは、公共マナーを身につけられない」という意見も、そのとおりかもしれません。ちょっと昔、ハイキング先で出会った小学生の遠足の団体は、おやつの袋を平気でそこらじゅうに捨てまくり、引率の若い教師もそれを注意しませんでした。そのときは「日本も終わりだな」と思いました。


2003/4