管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

 貸して 


管理人室へ物を借りに来る方って、けっこういます。

 一番多いのは、メーターボックスの鍵です。鍵といっても、このマンション内のメーターボックスならどれでも開けられるため、「道具」と言ったほうが良いかもしれません。本当は、どの部屋にも一軒に一個配布されているはずなのですが、「紛失した」「中途入居の際、前住者からもらいそこねた」「賃貸入居で、大家からもらっていない」など、意外に持っていない人が多いのです。それに、普通はメーターボックス内を開けることはないので、滅多に必要なものではありません。(もちろん、ガスの検針員さんは持ち歩いています) たまに、長期旅行に出かける時などに「ガスと水道の元栓を締めようか? あれ? メーターボックスってどうやってあけるの?」となって、あわてて管理人室にやってくるのです。本当は、鍵がなくても、硬い薄っぺらいもの(薄い定規など)があれば、簡単に開けられるのですが、2年前の鉄部塗装の時に、べったり塗られて固まっているものもあるため、そうなると鍵でないとテコの力が使えないため開けられません。幸い、近所の鍵屋で、この鍵をまだ売っているため、「ご自分で購入されたほうがいいですよ」と勧めています。

 次は、トイレが詰まった時に使う、ゴムのカップです。(すいません、正式名知りません。通称”カッポン”と呼んでいます) 買っても1000円程度のものですが、「1回だけのためにわざわざ買うのもなんだし、家の中に置いておくのもなんなので」というわけで、借りに来ます。軽いつまりなら、これで直ります。けっこう有効に使われています。

 独身女性に多いのですが、工具類。100円ショップで買った粗悪品のドライバーを使って、「これじゃ、役に立たない」と、管理人室にヘルプを求めます。実は管理人室には、組合さんが用意したり、管理会社から支給されている工具は何もありません。(金属鋸の”刃”だけ、とか変なものがあったりするのですが) おそらく前の管理人さんも「そんなの、管理人の仕事じゃないですよ。自分で買って、自分でやれば」と断っていたのではないでしょうか? 私の場合、断るのもなんなので、結局自腹で、わりと高級な工具を揃えてしまいました。(工具類って、いいものは値段もかなりいいです)
 
 CRC556も、よく貸します。「ドアの鍵穴に鍵がうまく差し込めない」「鍵がまわらない」ということがけっこうあるのです。合鍵などコピーのものは、不具合が出やすく、経年変化によるドアのカシギでカンヌキのスライドが不良になることがあります。鍵穴は、556の一吹きでけっこう直ります。歪んだドアは、扉自体の修理が必要になることもあります。
 自転車の空気入れ。これも時々あります。

 それから、変わったところでは、トイレ。チラシ配布に来た人が突然「トト、トイレ貸して下さい」と飛び込んできます。プレイロットで遊んでいた子供も来ます。バスルームの工事を行っている部屋の住民も、水道が使えないため借りにくることがあります。


追伸:メールをいただきました。「ラバーカップ」というのが正式名だそうです。

2005/2 追記

 「台車」、いわゆる手押し車ですが、これの需要も高いです。業者を使わずに自分たちで引越しするとき、近くのホームセンターで大きな買い物をして、配送料をかけずに自分で運んで来る時、大きな&重い粗大ゴミを自室から粗大ゴミ置き場まで運ぶ際、など、いろいろ使われます。 
 それから、「脚立」、これも時々あります。「洗濯物が風に飛ばされてね。木の枝にひっかかったんだ。自分で取るから貸して」というケースです。

 この仕事を長くやってきて思うのは、
管理室というのは、ある程度「便利屋」みたいに、「ふだんは使うことはないが、時々必要になる。わざわざ各自で購入するには、お金も保管スペースももったいない」といった物品を、組合で共同購入して、適宜貸し出すようにしたらいいのではないか? ということです。台車とか工具とかといった生活必需品はもちろんですが、キャンプ用品とか、レジャー関係の品物とか、独身男性用に裁縫道具とか、草刈用の鎌とか貸してあげてもいいんじゃないでしょうか?
 もちろん、管理人個人としたら「余計な仕事が増えて嫌だなあ」と思うでしょうけど、管理会社も競争の現代、こういった付加価値のサービスができるノウハウを持った管理会社が生き残るんじゃないでしょうかねえ。マンション内のコミュニティ形成にも有効だと思うんですけど。


※訂正追記

「鍵穴に556」(潤滑剤スプレー)は、本当はいけないそうです。油分に埃が付着してしまうからだそうです。一番いいのは「鍵穴専用スプレー」を買うことですが、「鉛筆の芯の部分の成分である亜鉛が潤滑剤の役目をする」ということで、鍵を鉛筆でなぞるといいんだそうです。

ここを参照して下さい。




2003/5/7 2005/2追記