管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

 屋 上 

天気のいい日は

 RCサクセションの歌で、「授業をサボって  〜 寝転んでたのさ屋上で〜」というのがありました。だんだん暖かくなってきた今、私も時々、屋上で、頭をカラッポにして(もともとカラッポ?)、ぼんやりすることがあります。

 毎日の巡回では屋上は範囲外なのですが、週に1回、目視点検&清掃のために屋上にあがります。今日は天気がよくて眺めもよくて、少し長い時間滞在していました。屋上は住民からは見えないので、さぼっていてもわかりません。このマンションは高く、周囲でここより高い建物はわずかしかありませんから、眺めがいいです。天気がいいと遠くの山も見えます。県庁の立派なビルも見えます。下を覗くと怖いのですが、遠くを見ている分には気分がいいです。

 ところで、マンションというのは分譲時、階が上に行くほど価格が高くなります。「眺めがよくなる」「日当たりもよくなる」といった理由からでしょうか。また、特に最上階は「自分は一番上。私の上には誰にもいない」という名誉欲を満たすのか、人気が高いです。まあたしかに、最上階だと、上に誰にもいませんから、「上の階の人がイスひきずっている音がうるさくてしょうがない」とか「上の階の人が、洗濯機から水をあふれさせて漏水事故が発生した」「マンション内のプレイロットで遊ぶ、子供の声がうるさい」という被害はありません。また、1〜2階と違って、空き巣にはいられにくい、という利点もあります。

 しかし、上の階がいいとは限りません。屋上に上って感じることがあります。
「かなりうるさい」のです。マンション内の騒音のように、ごく近距離のものは屋上だと聞こえにくいのですが、上に行けばいくほど、遠くからの音が聞こえてきます。耳を澄ますと、いろいろな音が聞こえてくるのです。「はるかかなたを走行する電車の音」「500m先の幹線道路のトラックの音」「小学校の校庭で遊ぶ子供の声、チャイムの音」「石焼芋の掛け声」「風の音(高い場所ほど風雨が強い)」「建築途中のマンションの工事の音」・・・・・ 暴走バイクの音もよく聞こえます。ほんといろいろな音が広範囲から聞こえてきます。

 風雨に関しては1〜2階と最上階・屋上では全然違います。階段で登っていくと徐々に強まりますが、エレベーターで一気に上ると、エレベーターのドアが開いた瞬間に、「ビューン」という強い風を感じたりします。このマンションは廊下の壁が、壁ではなく、鉄柵なので雨風が入ってきます。廊下に置いていた生協の宅配用発泡スチロールの箱が飛んだり、新聞屋の古新聞回収のお礼のトイレットペーパーも転がってます。台風の時は、消火器まで転がるような風の強さです。洗濯物もよく飛ばされます。それも、かなり離れたところに飛んでいってしまうこともあるようで、「50mほど離れた民家の屋根に落ちてしまった。管理人さん、取りに行ってくれないか?」と頼まれることもあります。(自分で行けよ)

 最上階は、今は防犯上も問題があります。屋上に侵入し(意外と屋上に上がることは簡単であるマンションが多い)、そこから、最上階のベランダに下りて、空き巣泥棒する奴がいるのです。「最上階の住民は、油断していて、サッシの鍵を閉めていないことが多いから、ねらい目」だそうです。上が屋上ということで、断熱効果が少なく、夏は暑いし、冬は寒いです。最上階は自己満足にはいいですが、実生活上では価格ほどの利点はないと思います。このマンションのように、1台のエレベーターを100世帯で利用するようなところでは、エレベーターの待ち時間もすごいです。エレベーター点検で、エレベーターが使えなくなった時間も悲惨だし。(笹川良一みたいに、老婆を背負って、管理人が階段を登ったりします。)


 ところで、今、屋上のことで一番の悩みは、鳥の糞です。ホースを使って水で流すこともできず、苦慮してます。一般住民にとっては関係ない場所のため、組合役員に「屋上のフンがひどいんです」と相談しても、「別にいいんじゃない」でかわされてしまいます。どうしたもんか。

 住民の気質を分類すると、最上階には、「わがまま」「自分勝手」「自己顕示欲が強い」「えばりんぼう」「他人に迷惑かけても平気」という人が多いのは、事実です。

 


2005/3