管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

とにかく証拠写真





2017/2


まずは、このページを読んでください。管理会社にとって非常に重要な裁判結果であり、私は個人的には「冤罪」だと思っており、非常に憤慨しております。

さて、こういう裁判結果を受けて、当社(管理会社 飯加減)でも、「管理会社に責任を問われないように、日ごろから注意しなさい」という通達が出されています。かといって、具体的に「こうしなさい」という記述が無いのが、わが社のいい加減なところなんですが。

私としてはとにかく「住民の安全を第一に考える」「きちんと対応をする」「証拠を残すこと」を重視してやっています。

上記のマンホール事故のような「設備不良」の件でいうと、私ならこうします。

「まずは、周囲を”立ち入り禁止”にして、部外者が入ってこれないようにする」(この処置に必要な道具を管理組合が買ってくれない場合は、自腹ででもすぐに買って処置する)
「立ち入り禁止のことを、書面にして、掲示板に貼る」(この際、普通に漢字の文章で作成すると、「子供には読めないじゃないか?」と難癖つける親がいるので、そういう親に対してのことも考慮し、「お子さんのいる家庭では親御さんからお子さんに説明してください」という文を加える)
「改善の対策を具体的に明示し、どんな機械が必要か、どういう処置が必要か、費用はどれくらいかかるか? すぐに調べて、それを理事長に伝え、すぐに対策を打ってもらうようお願いする」
「緊急理事会を開催して議決してもらうのが一番だが、”こういう緊急事態では理事長の単独決断でもいいんですよ”ということを付け加えて、とにかく急いで対応してもらう」
「理事長が何も動かない場合、業務日誌に、”理事長からの反応がない”ということを書き残す」

そして、「書面」とか「掲示書類」「現場に貼り付ける注意書き」などは、すべて、「手書き」ではなく、「PC」で作り、デジタルデータとして残します。

さて、「ここまですれば十分だろ」と私も思っていましたが、これでもだめな場合があるのです。

「掲示板に貼ったって言うけど、俺は見てないぞ。本当に貼ったのか?」なんてことを言う人がいるのです。とにかく、このマンションの住民は掲示板なんか見ませんから、理事会に集まった役員全員が「私は、そんな文書が掲示板に貼ってあったことをしりません」とか言い出すことがあるのです。ですから、今は、私は、大事な掲示物を掲示板に貼るときは、「貼った状態の掲示板全体の様子を写真に撮る」ということをしています。




理事長に渡す「業務日誌」にしても、実際はとにかくまったく読んでいませんから、「読んだら、確認のハンコを押して、保管してください」とお願いしているものの、ハンコも押さないし、保管もしてくれないし、果ては「そんなのもらってないよ〜」とか言い出します。

ですから、「日誌を理事長の部屋のポストに差し込んでいる様子」をカメラで撮影しています。(一種の「自撮り」ですな) 面倒ですが、わざわざこういうことをしないと、あとで言い訳されるので、ここまでしないといかんのです。

本当は「理事長が読んだ後は、副理事長にも目を通してもらう」という「ダブルチェック」の体制にしたいのですが、「副理事長」というのは、仕事をしたくなくて、役職決めの時に、自分から「副理事長をやります!」と立候補してなる人ばかりなので、「そんなの嫌だよ」って断りますから、そういう体制には永遠にできません。筋から言うと、「監事」がダブルチェックしてくれるといいんだけどねえ。

なお、「とても大事な用件なので、全世帯のポストに配布する」という「通知物」もあります。(「停電のお知らせ」とか) こういうのも、管理人としては、確実に全戸配布しているのですが、「そんなのもらってなかった。知らなかったから、ビデオ録画できないで困った」なんて苦情を言い出す住民がいます。(うちの住民は大事な配布物でも何も読まずに平気でその場で捨てますから) こういうのも、「じゃあ、管理人が全戸配布していたのを横でずっと見ていた人とかいるのか? そういう証拠はあるのか?」と言い訳する人もいて。
それで、それ以後は、全世帯に配布する様子を、全室分、写真に撮っていたのですが、これだと、1枚の配布で200枚とかの写真を撮らないといけないわけで、ものすごく面倒で時間がかかります。
「防犯カメラに証拠が残るのでは?」とも思ったのですが、解像度が悪く、証拠としては使えないような映像しか残ってませんでした。そこで、「ハイビジョン動画も撮影できる高級デジカメ」を購入し、全戸配布の時は、三脚の上にそのデジカメをセットして、写真ではなく、動画で、投函している様子を全部録画して、「完全に全室に配布したぞ」という証拠映像を残すようにしました。これは楽です。
楽ですが、動画だと、印刷して見せることができません。なので、もう一回考えまして、書類を配布する際に、ポストの中に押し込まず、途中で止めて、その書類が4分の1くらいは外にはみ出ている状態で投函していきます。そして、全戸配布したらすぐに、その「はみ出ている様子」を1枚写真を撮るのです。撮ったら、あとで郵便屋さんが困らないように、全部を中に押し込みます。これだと1枚の写真でOKです。ということを考えてついて、今はそうしています。

はたから見ると、「何してるの?」っていう感じの異様な状況ですが、そこまでして証拠を残さないといけないのです。管理人業って単独業務ですから、「ちゃんとやってました」と証言してくれる人もいませんからねえ。複数名のチームで仕事をしていれば、仲間が証言してくれますけど。だから、自己防衛しないといけないのです。

とにかく、今は、なんでもかんでも、証拠写真を撮るようにしております。デジカメが大活躍です。

スマホを持っている管理人さんは、デジカメをわざわざ買うことなく、スマホで撮影すればいいと思います。

ちなみに、掲示板の掲示物ですが、「貼った時」だけでなく、「はがしたとき」も写真に撮って証拠を残します。「いつまで貼っていたか?」というのも大事な証拠になる場合があるからです。

なお、デジカメの動画撮影は「音」も記録されるので、なにか大事な用件で「役所に電話をした」「警察に電話をした」という時は、電話をかけながら、その様子を動画撮影し、「何を話したのか?」もきちんと証拠に残します。特に、公務員関係は、仕事はしないわ、嘘つきばかりだわでいい加減ですから、ちゃんと証拠を残したほうがいいのです。(※スピーカーフォンで通話をして、先方の声も記録します)

ただ、これって、相手にもよるわけでして、一度、盗難バイクの疑いがある放置バイクの件を警察に通報し、警官が来た際に、その警官が「バイクのナンバーとか車体番号を調べている様子」をデジカメで撮ろうとしたら、「何してるんだ!」と異常に怒られたことがあります。今の警察官って、ASUKAの証言にもあるように、実際は暴力団なみに悪いことばかりしてますから、自分たちのことを撮影されるのを異常に嫌がりますね。御用テレビ局の「警察24時」とかの番組では嬉々として写されてますけど。

それから、今は、どこの企業の「お客様センター」でも、電話をかけると、「業務品質の向上のため、お客様との会話を録音させていただきます」というアナウンスが流れて、会話が記録されるようになっています。これは、実際は、業務品質の向上なんか関係なくて、「モンスタークレーマーの撃退手段」としてやっています。記録が残れば、暴力的な発言でもできませんし、あとで「言った言わない」という論争も起きなくて、オペレーターさんを守ることができます。いいことだと思います。でも、どこの会社もそういうことをするようになったので、そういうのを嫌いな人もいるわけで、「ねえねえ、管理人さん、T芝電気のお客様センターは、つながるまで、すごく面倒だし、やっとつながったら、今度は録音しますとか言うし、ふざけてるわよね」っていう苦情を、まったく関係のない、私に言ってきたりするので、管理人としては困ったもんです。

さて、「録音させていただきます」というのは、我々管理人もやりたいところですが、なにか大きな苦情があって、興奮して、管理人に文句を言ってくる住民に対して、そんなことを言ったら、異常な心理状態である相手に「火に油を注ぐ」ことになります。なので、記録することは難しいです。
こういう案件って、「管理人に話をしたのに、真面目に取り合ってくれなかった」とか、ひどいのになると、「管理人に殴られた!」なんていうウソを言い出すモンスター住民もいるため、扱いが難しいのです。悪気のあるモンスター以外に、悪気の無い「認知症」の人も多いですから、話なんか通じません。だから、いっそう証拠が大事になります。

そういう場合は、まずは、「こんな場所ではなんですから・・・」と言って、まずは玄関ホールに相手を連れてきます。そして、防犯カメラの真下に位置して、この苦情主と私の姿がよく写るように立ちます。残念ながら、うちの防犯カメラは音声記録ができませんが、実は私は、こういう事態に備えて、常に「ICレコーダー」をポケットの中に携帯しているので、これを相手に気づかれないように起動させ、録音を開始します。
これで、「映像は防犯カメラで記録」「音声はICレコーダーで記録」ということができます。
このように、こっそりと、記録するようにすれば、「業務品質の向上のため、お客様との会話を録音させていただきます」なんてことは言わなくていいので、相手を刺激しないで済みます。

このように、玄関ホールというのは「防犯カメラで記録される」という利点がありますが、「一番人が通る場所」という面もあり、他の住民に見られやすいという点があります。こういう第三者の目があれば、「興奮していたのは住民Aさんのほうで、管理人さんは冷静に丁寧に対応してましたよ」「殴りかかったのはAさんのほうです」という証言を得ることも可能です。


スラムマンションでの管理人業務、大変でしょ。