管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

「マンション管理員検定協会なる団体」が誕生

ブログで書いたものをまとめました。その後も随時追加します。



 表記の団体。なんか怪しいです。疑問がいっぱいあります。まとまりのない文章ですが、思いついたままに羅列していきます。

 1
HPには、「マンション管理人のための資格 マンション管理員検定」と書いてある。「人」なのか「員」なのか? 検定試験をするくらいなら統一しておくほうがいいんじゃないの?


資格試験だと言うのに、試験範囲の中に、「 履歴書・職務経歴書の書き方」「 面接の受け方」というのがある。こんな項目を試験に出す資格試験など聞いたことがない。出題する問題がないから、苦肉の策で、こんなことまで無理やり試験範囲にしたのではないか? 
しかし、面接の受け方というのは、採用する会社側の事情で、いかようにも変わるものである。「正解」なんてあるんだろうか? たとえば、「面接を受けると きは清潔なきちんとした服装(スーツ)で行くほうがいい」という一般常識があるが、マンション管理人の世界では、「すごい汚い仕事をするから、きれい好き の人では神経がまいってしまう。日ごろからだらしない格好をしている人のほうが適任」という面もある。そういう、管理員の世界のディープな実情を、検定協 会の出題者は理解しているだろうか?
また、おそらく「技術系の資格をなんらか持っているほうが有利」という出題があるかもしれないが、実はこれも、常識は通用しない。あこぎな分譲会社&建設 会社&管理会社の場合、「管理人が、建築に関する専門知識を持っていて、建設工事の手抜き箇所に気がついて、理事長にチクった」なんてことがあっては困る のである。何にも知らないド素人のほうが、管理会社から歓迎されるケースも多い。こういうこと、わかってるかなあ?


「面接の受け方」を出題するということは、「これから管理人になろうとしている人」を対象にしていると思われるのに、HPには、=マンション管理員として のスキルアップを目指す方待望の「マンション管理員検定」=と書いてある。これは「現役管理員」を対象にした書き方である。矛盾してないか?


高い。
検定料金は8900円。選択問題だけのマークシート方式で、この料金設定は中山律子さんもびっくりの「暴利ing」である。
また、テキストは2400円。正直高い。加えて、問題集1400円も買わそうとしている。貧乏人にはつらい。ほんとに、この業界のことを考えているのであれば、利潤をあげようなどと考えず、原価でやるべきである。


実態をわかってるのかなあ? この検定が実態をわからせることに役立つのだろうか?

=当検定を通じて、管理員志望者が管理員業務とは何たるかを予め理解することで、実際に管理員となった際に直面する現実とイメージとのギャップをなくし、管理員のモチベーション低下予防や離職率の低下を図りたいと考えております。
また、実務を意識した当検定の学習を通じて、即戦力となり得る管理員を目指す方が増えることで、入社後の管理員教育の負担軽減を図りたいとも考えております。=

HPにはこのように書かれているが、おいおい、この程度の筆記試験で「直面する現実」とか「実務を意識した」となるんだろうか?
実務を知りたいのであれば、「マンション管理人は超つらいよ」(ここに出てくるマンション住民は、モンスターばかりだからあまり参考にはならないかもしれないが)や、「じゃものぶつぶつ独り言」(住み込み管理人さん)をはじめとする、管理人のHPやブログを読むほうがよっぽど実態をまなべると思う。


住民にまで検定を受けさせる?
HP内の「こんな方におすすめです」のページに「マンション住民」とあるが、そこまで間口を広げなくてもいいんじゃないか? それこそ、前述の管理人HPを読めばいいこと。受験者数をなんとか増やして、「受験料で儲けたい」という意思がみえみえである。


資格予備校とのタイアップ
そこまでする必要があるのだろうか? 予備校にまでお金を落とさせたいのか? あまりにもごうつくではないか? 管理人のことを考えてくれているのであれ ば、管理人の懐をさびしくさせることではなく、逆に、「待遇改善」のために動いて欲しいと思うのだが、HPには、そういうことは何も出てこない。
それに、この予備校の講師は、「管理人経験のある人」なんだろうか? そうは見えないが。ただ、「法律に詳しいだけの人」には、管理人の実情など理解できないぞ。だいたい、専門家である「マンション管理士」だって、管理人のことを深く理解している人は少ないのだから。


植栽管理?
また、試験範囲に話を戻すが、「植栽管理」とあるが、たいていのマンションでは、管理人は植栽には関与しない。まあ、害虫の種類とかを覚えるのはいいことだが。専門家である植栽業者に任せているのが普通だから、試験範囲として適当なのだろうか?
「体調管理、健康増進、メンタルケア」・・・「メンタルケア」に着目した点は評価する。管理人はストレスがすごい。でも、体調管理とか健康増進とか、試験にするようなことだろうか? 「巡回の際は、エレベーターを使わずに、階段で動こう」とか、出題されるのか?


掲載写真にチェック
HP内に掲載されている写真で、「住民らしき父と子がいて、その後ろに、その子を触る管理人らしき高齢者」が写っているが、おいおい、子供にさわるのは、 今の時代、ご法度だよ。「ロリコン 変態」「ゴミを扱った手で触るな、ばい菌が移る」など、文句を言われることが多いんだから。ほんと、この協会の人た ち、管理人の実情をわかってるんだろうか? 協会の理事長さんは、もと、管理会社のフロントマンだったらしいけど、フロントマンは自分では「俺は管理人の ことをよく知っている」と自負しているかもしれないけど、知ってることなんか、半分もないと思うよ。

10
協会の理事の中に管理人がいない
なんかなあ、これじゃ、元プロ野球選手のいない「名球会」みたいなものではないだろうか?

11
周辺の清掃??
「管理人の仕事はこういうものです」というページで、「マンション内や周辺の清掃」って書いてあるが、敷地外の清掃は、普通は管理委託契約外であり、本来はする必要がない。実際は「その管理人の好意」でやっているだけである。公式な文で、こういうことを書いて欲しくない。

12
AED操作??
だいたい、AEDを設置しているマンションは現状ではごくごく少数だし、管理人みたいな高齢者が、他人の命を預かるような医療機器を操作すべきだろうか?
私は赤十字の救急員も資格も、上級救命講習の資格も持っているが、AEDを使用する前段階の、「この人は除細動が必要かどうか?」という判断は、普通の人 にはかなり難しい。脈をみることだって、あわてている状況では、正確にみれない。まあ、知識として持っていることはいいことだけど、試験範囲に入れるのは ちょっとまずいと考える。(訂正:最新のAEDは、そういう診断もやってくれるらしい)

ちょっとHPを見ただけでもこれだけの「チェック項目」があるなんて、この協会、大丈夫かなあ? 素人じゃないの??? しょせん、「食えないマンション管理士」が、「資格商法でもうけよう」とアコースティックギターなことを組織的に始めただけではないだろうか? 本当に、マンション管理人のことを親身に考えたものではないと、私は思う。

<メルマガの予想問題>

【問2】 分譲マンションの管理は、専有部分の管理は区分所有者の責任において行い、共用部分の管理は、管理組合で行うのが原則ですが、
    一般的に共用部分は、管理会社へ委託していることが大半です。それでは、分譲マンションの管理会社は全国に約何社あるでしょうか。
 1   約410
 
 2 約1,050

 3 約1,500
 
 4 約2,300

*********
「予想問題」というのが送信されてきましたが、こんな問題、なんの意味があるんでしょうか? 数字を使う問題は作りやすいですが、数字より、頭を使えよ。管理会社の数なんて、マンション管理の実務に何の関係もない。
そんなことより、せっかくメルマガをやっているんだから、こんな時期なんだから、被災したマンションの管理人に役にたつ情報を流すべきなんじゃないの? 電気とか水道のこととか。

現場の人間として、「マンション管理員検定というのをやるのであれば、できる限りよいものにして欲しい」と考えておりますが・・・・

<資格名称>
私は安倍総理みたいに、横文字を濫用する奴ほど悪い奴と思ってます。「コンプライアンス」を多用する人間ほど、コンプライアンスを守らないじゃないですか?

マンション管理員検定の合格者の3区分名称 最上位合格区分から順に
(1)マネージャー  (2)パートナー  (3)フェイス

これ見ただけで、「アホか!」と思いました。「管理者」「仲間」「顔」ですか? なんじゃそりゃ?

1「僧侶」・・・人格的に達観している
2「学校教師」・・・まあまあの知識はあるが、突然キレたり、犯罪に手を染める
3「国会議員」・・・要望を聞く振りして、何もしない。平気でウソをつく。でも人気取りはうまい。
4「ただの清掃員」

なんてのがいいんじゃない?
 
<試験問題>
同検定の「メルマガ」が来ました。
この中に「出題想定問題」という例題がありました。これを見て、がっかりしました。

1問目 「標準管理規約」における「「管理に関する支出について」という問題。

標準管理規約をもとに問題を出すのって、すごく簡単です。出題者からすると「楽」だと思います。でも、安易です。
そういう試験は「マンション管理士」や「管理業務主任者」に任せておけばいいんです。

実は、現場では「標準管理規約」なんて役に立ちません。なぜかというと、「法律ではなく、強制力がないため」です。
「標準管理規約ではこうなっていますよ!」と主張しても、「それはあくまでも標準の見本であり、強制力はないだろ!」と反論されたら、それで終わりなんです。
マンション管理士が、組合さんから「規約を変更したいので相談にのってくれ」と言われれば、標準管理規約の知識は役立ちますが、現場の管理人が「規約変 更」に関わることなどありません。管理人は、今、そこにある、そのマンションの「管理規約」を憲法として覚えることが大事なのです。標準管理規約なんか覚 えても無意味なんです。「理事会の役員は1年任期で交代」と、その規約に書いてあれば、「本当は2年任期で、半数を毎年交代させるのがいいんです」とかの 知識があったって、管理人にとっては関係ないんです。悪法であったとしても、そのマンションの管理規約に従うしかないんです。
この検定協会は、そういう現場の実務のことをわかっていません。


2問目  消防法において求められる義務に関する以下の記述のうち、誤っているものを1つ選びなさい。

これも、現場の管理人が覚えるべきことではありません。知識としてもっていてもいいかもしれませんが。

「居住者の数が50人以上であるものは、「多数の者が居住する防火対象物」として、「一定の資格を有する防火管理者」により防火上の管理を行わなければならない」
こんなこと、その管理人が赴任する前からわかっていることで、防火管理者が必要なことは決まっています。そんなのを管理人が知っていてもなんの役にも立た ないんです。「消防計画を提出しなければいけない」というのも、管理人が覚える知識ではありません。フロントがやることです。
管理人に必要なのは、「管理者をやりたくない、という人に、どうやって頼んで受諾してもらうか?」とか「消防計画を提出する消防署はどこにあるか?」くらいなものです。

上記2問を見る限り、「管理業務初任者試験」や「マンション管理士試験」の焼き直しで安直に問題を作って、高額な試験料を徴収して、自分たちだけもうけようとしているのかな? と思ってしまいます。主催者のマンション管理士さん、あんた、現場の実務、どれだけ知ってるの?

 マンション管理士や管理業務主任者の試験問題を、マンション管理の最前線の目から見ると、「現実にはまったく役に立たないであろう、法律に関する問題」と いうのがものすごく多い。まったくもって無意味である。だいたい、マンション管理の仕事の半分以上を占める「管理員業務」についての出題は、「ほぼゼロ」 というのだから、あきれて物が言えない。

いわば、イラク戦争に従軍する兵士に対して、イラクの道路交通法を教えているようなもので、現場の兵士は、「ここはイラクだぞ、最前線だぞ、道路交通法も知っていて損はないかもしれないが、そんなものよりも、銃の撃ち方を教えろよ」と怒っているのと同じだと思う。

法律問題というのは、「問題を作りやすい」「正解・不正解がはっきりしているから文句が出にくい」「参考書が売りやすい」「試験予備校の授業がやりやす い」「ひっかけ問題も作りやすく、問題を難解にすることもできる」「そんなにしょっちゅう変わるものではない」・・・・という、「出題者側にとってとても 都合のいい分野」であり、そういう法律問題をたくさん出すというのは、現場のマンション管理の向上(これが本来の資格制度導入の理由のはずだが)とは関係 なく、「資格制度運営」にとって都合がいいことである。要するに、運営者側は自分の都合しか考えていない、といえる。

さて、今年から始まる「マンション管理員検定」の出題に関しては、そういう「無駄な法律問題」は出さないで欲しいとお願いする。「現場で役に立つ知識」を植えつけるための資格制度にして欲しい。

しかし、労働基準法や労働安全衛生法の最低知識だけは出題して欲しい。

というのは、管理員の中には「週40時間労働のことを知らない。(知っていても、管理会社側にだまされて、うちは違う、といい含められる)」「有給休暇の ことを知らない」「時間外手当のことを知らない」「労働災害のことを知らない」「社会保険のことを知らない」といった、「社会人としての最低限度の知識が ない」人がけっこういるからである。

労働時間のことで言えば、大企業は古くから「週40時間制」を導入したが、マンション管理とか、警備とか、ビル管理とかのいわゆるサービス業に関しては、 法律で40時間と制定されても、業界団体が自民党に圧力をかけ、「特例措置として46時間にしてくれ」、暫定措置が切れると、「せめて、特例で44時間に してくれ」などと、なかなか40時間導入にならなかった経緯がある。

それでも、21世紀になってようやく全職種40時間になったわけなんだけれども、そのことを現場の管理人に伝えず、46時間のまま働かせている管理会社もあった。

実際、私がご近所の管理人さんから相談を受けたことがある。(2003年頃かな)

「月曜から土曜まで、毎日、朝8時から夕方5時まで働かされている(昼休み1時間あり)のだけれど、これって違法じゃないんだろうか? 休みが日曜だけじゃ、体がしんどい」
「完全に違法ですよ。会社に言ったんですか?」
「会社は、”マンション管理人は特例職種だから、週48時間労働でいいんだ”って言うんだよ」
「それ、おかしいですよ。私が代わりに会社に言ってあげますよ」

ということで会社に質問をしたら

「40時間労働は知っている。8時間分は残業ということで働いてもらっている」という回答。
でも、ご本人は、就業規則として48時間働かされていると思っており、残業などという観念はない。給与明細を見せてもらったが、時間外手当の項目には金額は入ってなかった。
どうやら、残業手当も、時間外の割増賃金も払っていなかったようである。
それに、社会保険にも入っていないようで、「仕事でケガをしても、会社は何もしないからな」と「労災に入っていない」ことを匂わせていたらしい。健康保険もなく、自分で国民健康保険に入っていた。

ただ単に、最低賃金の時給を労働時間分働かせる、アルバイトみたいなものだったようだ。普通の人のフルタイム以上に働きながら、有給休暇もなかった。

マンション管理人の場合、年金生活者が多く、「アルバイトの身分のほうがいい」という人もいるが、この人はまだ50代で年金はもらっておらず、一般の労働者である。社会保険にだって入りたいのである。

この業界の場合、こういうケースはけして珍しいことではなく、常套的に行なわれている。いわば、労働者側の無知につけこんでこきつかっている。

私が不思議でならないのは、そこのマンションの住民、特に管理組合の役員についてである。世の中で、「週40時間労働は法的に決まっている」ことは知って いるのに、自分のマンションの管理人が、48時間労働していることに何の疑問を持たなかったのだろうか? 本来なら、管理会社と管理組合が締結する管理委 託契約で、「管理員の労働時間48時間」(1名の管理人だけでやらせる場合)としている時点で、違法契約であり、無効だと思う。それを平気で締結する管理 組合も、黙認ということで、違法行為に加担していると思うのである。


というわけで、労働者としての最低限度の権利に関して、全管理員が知識を持てるように、ぜひ労働法に関する出題をしていただきたいと希望する。
逆に言うと、今回の初試験に、そういう出題があったら、「この検定試験の運営者(マンション管理士である)は、現実のマンション管理のことをよくわかっている」と評価したい。

余談になるけど、「管理組合理事長検定」というのもやるべきだな。けっこう大事だと思います。

マンション管理員検定協会さんは、「実務に即した問題を出す」と言ってますが、どんなのがでるんでしょうか?

問1
「親戚が死亡したため、有給休暇を申請した」 これは○か×か?
検定試験的正解は、○。労働者の権利だから。
でも、実務的には、×。有給なんかとったら「代務員なんかいねえんだ」と怒られる。

問2
「地域の自治会の会長から、自治会の広報の配布を頼まれた。どうすべきか?」
検定試験的正解は「自治会活動は管理組合とは関係ないから断るべき」
でも、実務的には「管理員が配布する」が正解。こういうことを断ると、「あの管理人は働かない」と陰口をたたかれ、立場が悪くなる。

問3
「委託契約の管理員業務には、ゴミ置き場の整理、という項目がある。では、自治体ルールに違反するゴミが、回収拒否にあって、山になっている場合、どうするか?」
検定試験的正解は「整理だけすればいいのだから、違反ゴミを隅っこに分けておけばいい。」
でも、実務的には、「しょうがないので、管理員がゴミの袋をあけて、中身を取り出し、再度分別して、それぞれの日に分けて出す」が正解。

問4
「一人暮らしの足の不自由な老婦人から、部屋の蛍光灯を取り替えてくれないか? と頼まれた。さて、どうする?」
検定試験的正解は、「専有部分内に入ってはいけない。できませんと断る」。
でも、実務的には、「蛍光灯の1本くらい、簡単。取り替えてあげる」

問5
「暇な住民から世間話をしかけられた。さてどうする?」
検定試験的正解は、「管理員業務に関係のない会話はしない」
でも、実務的には、「世間話を無視すると、あの管理人は住民の言うことを無視するひどい奴だと、会社に苦情の電話が来るから、話にあわせる」が正解。

問6
「昼休みに、住民から用事を頼まれた。さて、どうする?」
検定試験的正解は、「昼休みは労働者に当然与えられた休憩であるから、仕事は断る」
でも、実務的には、「昼休みだけどいいですよ、と言って仕事をする」が正解。

問7
「新しくやってきた住民から、”これどうぞ”と菓子折りを渡された。さて、どうする?」
検定試験的正解は、「住民から金品をもらってはいけないから、受け取らない」
でも、実務的には、「受け取らないと、”あたしの気持ちをふみにじった”と怒られ、あとで嫌がらせをされるから、受け取る」が正解のように思えるけど、も らったらもらったで、その様子を見ていた他の住民が、「あの管理人は賄賂を受け取っている。厚生省の役人と同じで腐敗している」と密告されることもある。 また、日ごろから管理人に反感を持っている住民(ペット飼育のことで注意を受けた、など)が、管理人をわなにはめようと、「田舎からリンゴを送ってきたか ら、これあげる」と渡し、受け取ったら、「住民から金品を受け取ったわよ、あの管理人。これって、就業規則違反じゃないの!」と退職に追い込むこともあ る。(警察がよくやる「おとり捜査」と同じ) 要するに、「正解はない」というのが正解。

さて、この協会さんがどのような実務的な問題を出すのか? 
きっと、私が受験したら、零点になると思います。だって、表面的な解釈でなく、実務的に回答するから。

だいたい、この団体、設立メンバーに「管理員OB」とかいるのかな?
マンション管理士なんて、管理員の実情をわかっている人なんかいないでしょ?

私は、マンション管理士の人たちの「現場のことをわかってないなあ」という点には、以前から憤慨しております。
また、自民党の河野太郎氏も、マンション管理士資格の存在意義に疑問を感じているようですが、私も同感です。「名称独占資格」では、商売にはならないです。 ユーキャンなどの資格講座では「将来有望」「稼げる」と宣伝してますが、ちゃんと自活できている人なんか、ほんのわずかです。資格産業のための資格だと 思っています。(そして天下り役人の懐を肥やす)

マンション管理士資格だって、仕分けされそうなときに、管理人の資格試験だなんて、ちゃんちゃらおかしいです。

この団体の理事である「マンション管理士 木村孝氏」のブログを読みましたが、

====
マンション管理会社、マンション管理士、管理業務主任者、が適正化法によって整備されました。今度はマンション管理員の検定制度新設を目的に「一般社団法人マンション管理員検定協会」が発足しました。
====
と書いてあります。目的は「試験」だけなんでしょうか?
「マンション管理員の質及び職業的地位向上を目的」は関係ないのかな?

6/20に配信されたメルマガの中の「例題」

【問1】(清掃業務) 
次のア〜カの汚れ除去の手段に関する記述のうち、適切なものはいくつ
あるかを選びなさい。


ア 掃く      イ 拭く       ウ 吹く
エ 洗う      オ 吸う       カ 払う


1 三つ
2 四つ
3 五つ
4 六つ


正解は「6個全部」というものなんですが、この問題、なんなんですか? 漢字検定? 国語検定? 何考えてるのか? 驚いたを通り越して、吉本新喜劇なみに、腰が抜けました。ばかばかしいにもほどがある。


【問2】(コミュニティ形成)
コミュニティ形成に関する次の記述のうち、最も不適切なものを選びなさい。


1 コミュニティについてのポイントは、共同性・地域性・つながり性
 である。
2 管理会社の社名には「コミュニティー」や「コミュニティ」を掲げ
 なければならない。
3 管理組合主催で行う夏祭りや餅つき大会等への運営補助は、管理員が
 行うコミュニティ支援の取り組みと考えられる。
4 通常総会や説明会終了後の懇親会開催の手配等は管理員が行うコミュ
 ニティ支援の取り組みと考えられる。


【問2】   正解 2 


1 適切。コミュニティとは、地域社会・共同体・人々が共同意識をもって、
 共同の生活を営む一定の地域、およびその人々の集団をいい、(1)共同性
 (2)地域性(3)つながり性がポイントです(公式テキストP.187参照)。

2 不適切。管理会社の社名には「コミュニティー」や「コミュニティ」を
 掲げる会社が多く存在しますが、社名に掲げなければなならいというわけ
 ではありません(公式テキストP.189参照)。

3 適切。管理組合主催で行う夏祭りや餅つき大会等への運営補助は、
 管理員が行うコミュニティ支援の取り組み事例と考えられます(公式テキ
 ストP.190参照)。

4 適切。通常総会や説明会、終了後の懇親会開催の手配等は、管理員が行う
 コミュニティ支援の取り組み事例と考えられます(公式テキストP.19
 0参照)。



第二問。これもばかばかしい。管理人をバカにしてるのか? 「コミュニティを社名に掲げなくてもいい」って。怒るでしかし。

 それに、「夏祭り」や「餅つき大会」って、普通は日曜に行なわれるから、これに、運営補助で働けって、「休日出勤しろ」って言ってるようなものです。おそらく、どこの管理会社も残業代は払わないから、「サービス残業」になります。同様に、「総会のあとの懇親会の手配」も、休日だったり、夜になったりするでしょうし、こんなことは、管理人の仕事じゃないですよ。だいたい、総会のあとに懇親会をしなければならないなんて法律はない。こういう視点は、いかにも管理会社らしい視点である。

「管理人の地位向上のために」というのが、この団体の設立趣旨だったのに、これじゃ、「管理会社や管理組合が押し付けてくる無理難題に素直に従え!」「でも、その分の報酬なんかやらんぞ」と言ってるようなもの。これじゃ、「コミュニティ支援」の名の下に、管理人への虐待を勧めているのと変りません。この検定協会、いったいなんなんだ!! 頭来た。

7/14追加
検定協会のHPを見久方ぶりに見たら、微妙にいろいろと変更が加えられてました。FLASHを多用して写真も増やし、「イメージ戦略」に出たような感じです。

「快適なマンション住まい 管理員の笑顔から始まります」・・・・分譲マンションのインチキ広告の文みたいになってきました。浅いなあ。

「管理人から管理員へ」・・・・意味わかって言ってるの? 浅いなあ。

「第一回マンション管理員検定試験 受験申込中!」・・・・おいおい、申し込むのは受験者側だろ。協会側は「申し込み受付中」でしょ? 何が主語かもわからないで、検定試験なんかできるのか?

「活躍しているマンション管理員」というコンテンツがあるけど、クリックしても画面が出てこない。つまり「工事中」みたい。もう、準備期間は終わって、試験の受付中だというのに、HPのコンテンツが未完成ってなんだよ? 活躍している管理人なんかいないってことか? だいたい、検定協会の人たちって、この試験を実施するに当たって、現役管理人から意見を聞くとか、してるの? なんで、構成員に管理人がいないの?

「一般的なマンション管理員の1日」というコンテンツで、勤務時間が「朝8時から午後4時まで」となっているが、一般的にというのであれば「午後5時まで」が普通。実態を知らないだろ。

「消防の器機」と書いているが、普通は「機器」だろう?

「日常業務」の項目に、実務的に一番大変で労力を消費する「住民からの苦情の受付」「マナー違反住民への対応」という項目がない。これを書いている人間はど素人であり、現役管理員に調査もしていないことがよくわかる。

理事長の日下部氏についても少し調べさせてもらったが、「人生経験が豊富じゃないとやっていけないマンション管理員業務」なのに、たいした年数の社会人経験もない若い人が、管理人の実務経験もなく、ただ、管理会社にいただけなのに、「管理人研修の講師をしている」とか、ちゃんちゃらおかしい。高校球児が、中日の落合監督に野球論を教えているようなものだ。



2011/6初稿 






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