管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

早出&早上がりする管理人




 住民から「この管理人はいい管理人だ」と思わせるようにする

 方法があります。ポイントは朝です。朝は、たくさんの住民と顔を合わせる時間帯です。

 ここで、

「早めに出社して、始業時間よりも早く、仕事を始める」

 この姿を住民に見せると、「あの管理人って、えらいわね。15分前から仕事をしてるわよ」となり、高評価になります。

そして、

「朝、一生懸命に、玄関ホールの掃除をする」

 玄関ホールは大勢の住民と会う場所です。また、そのマンションの顔でもあり、そこを一生懸命に掃除をしている姿を見せると、たくさんの住民から高評価を得ることができます。玄関ホールで井戸端会議をしている「小学校の子供を持つ母親連中」などは、ずっと、管理人の姿を見ていますから、ポイント高いです。

「元気に挨拶する」

仕事はいい加減でも、挨拶だけ元気で丁寧だと、「いい管理人だ」と誤解する人がいます。


 しかし、管理人なんて激貧の給料しかもらえず、そんなに積極的に一生懸命働こうなどとは思わないものです。「適当に手を抜きながら、しかし、評価は高い」という管理人がいて、そういう人は上記の手法を使っています。

 こういう「早出」をする人は、「サービス残業しているのか?」と思われるかもしれませんが、実は、「早く出てるんだから、早く帰ってもいいだろう」と思って、「早く帰ってしまう」管理人がけっこういるんです。
 終業時は、朝のように、たくさんの住民が玄関ホールにいるわけでもないため、10分程度早く帰っても、誰も気がつかないんです。一人勤務なので、こういう不正も可能なんです。


 私の知っている、Bマンションの管理人鈴木さん(仮名)も、根は不真面目ですが、この手法で、「いい管理人」ということになっていました。でも、やっぱり、見ている人は見ているわけで、「玄関ホールだけはきれいだが、階段は汚い」とか「挨拶は丁寧で元気だが、電灯が切れても放置している」とか「朝は働いているが、昼以降は管理人室の中にずっといて、寝ているのではないか?」「毎日、規定よりも15分早く帰っている」・・・・・といったことがばれて、クビになりました。
 そして、この一件以降、ここを管理している管理会社では、「終業時刻の5分前に、会社から、各マンションの管理室に電話をかけて、いることを確認する」というシステムを導入したそうです。
 このため、この鈴木さんの後任の管理人山田さん(仮名)は、「毎日、4時55分には絶対に管理人室にいないとまずいんです。この時間だけは、住民から急用で呼ばれても拒否します」と言ってました。せちがない世の中です。

 タイムカードにすればいいんでしょうが。
 


2010/3