管理人はつらいよ   
マンション管理最前線

管理会社が出す文書や掲示物の文章の口調は極力丁寧に

管理人は教師ではない。あくまでも基本姿勢は「お願いする」という立場で



管理人が管理会社代表として、または、管理組合の代理として、掲示板に注意書きを掲示することってよくあります。(やる、というより、やらされるんです)

例えば、「充電式電池を、乾電池の回収箱に入れないで下さい。市では回収しないので電気店に持ち込んでください」とか「廊下に私物を置かないで下さい」というもの。どこでも、見かけると思います。

ただ、それを書く管理人によって、「ちょっと口調が厳しいなあ」という印象のものもあります。「何回注意してもわからないようですが、充電式電池と乾電池は別のものです。いい加減理解して下さい」なんてのを見かけることもあります。

また、掲示物というのは、「少ない文字数で」「フォントを大きくして」「簡潔にわかりやすく書く」ものなので、「ソファは粗大ゴミです」なんて、短い文のものも作ったりするんですが、管理人側が「怒っている」「上から目線」「教師みたいな雰囲気」というのは、住民から反感を買います。
私も昔、ある住民から指摘されたんですが、「住民に雇われている立場のくせに、えばるな。管理会社が作る文章は、最後に必ず、”お願いします”と言う言葉をつけろ」と怒る人がいました。まあ、自分が何か「違反」をしている人というのは、こういうふうに「キレル」ことが多いです。

ただ、たしかに、ゴミのことなんかは、教師みたいな気持ちになっているのかもしれません。「これだけ、こっちが一生懸命教えているのに、なんで、理解できないんだ?」っていうイライラした気持ちが、どこかしら、文章の中に現れてしまうものです。管理人が作る文章というのは、「上司が校正してから張り出す」といった、普通の会社のような「チェック機能」がないので、落ち着いて客観的に読むと、「上から目線だなあ。これはよくないなあ」という文章でも貼ってしまうことがあるのです。

このような指摘を受けて、私も自制するようになりました。
まず、「”管理規約はみんな読んでいるもの”なわけないだろ」ということを前提にします。だから、「廊下に私物を置いてはいけないなんて、そんなの常識だろ? いちいち説明しなくてもわかるだろ」みたいには思わないことにしました。法律とか規約の文章を具体的に書いて、正しい論拠を示します。(ただ、法律文が大嫌いな住民もいるので、そのへんはソフトに表現します)
「ゴミ分別」に関しては、わかりにくい分別方法を制定した、役所の人間側にも責任はありますし、とにかく、細かくて、「そんなこと高齢者に理解できるわけがない」(一般人でも無理)ということもわかっていますので、最初に、「役所側の説明がややこしいので、非常にわかりにくいこととは思いますが」と、「住民の責任ではなく、行政の責任だと思います」ということを前置きしてから、「ちゃんと分けてください」と書きます。

とにかく、全編低姿勢で丁寧な文を書き、「**していただけると助かります」とか「ご協力をなにとぞお願いします」「よろしくお願いします」と「お願い姿勢」を前面に出します。

「ここに自転車を置かないで下さい」も「移動していただけませんでしょうか?」と書いたりします。あくまでも、「ご理解をお願いします」という姿勢なんです。

まあ、さすがに、どこかのトイレみたいに「きれいに使っていただいて、いつもありがとうございます」ってのは書きませんけどね。きれいじゃないところで、その文は、嫌味になりますから。

近所のいろいろなマンションを見ても、管理組合が発行する書面には、必ず最初に、「日頃から管理組合活動にご理解とご協力をいただき、まことにありがとうございます」という文をつけてから、「さて、来月の消防点検ですが・・・」と本題が始まるところもあります。これも、いろいろと気を使ってるんでしょう。


2013/2 






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