管理人はつらいよ   
マンション管理最前線 管理棟編

 プライバシー管理 管理人個人のものについて 


 個人情報元年の2005年。マンション住民の個人情報の扱いについてはシビアですが、我々管理人個人のプライバシーに関しては、野放図なんではないか? と疑問に思っています。

 周辺のマンションの管理人さんから聞いた話。

「私が熟年離婚をして、今、一人暮らしをしていることを理事長が知っている。”フロントから聞いたよ”とのこと。それってひどくないですか?」
 
 はい、ひどいと思います。顧客情報を大切するのはもちろんのこと、従業員の情報の管理も厳しくすべきではないでしょうか? 

 管理組合の中には、新任の管理人が赴任する際、その管理人の個人情報を聞きたがるところがあるようです。「電気関係の資格とか持っているの?」→「はい、電験3種を持っています」 こういう"業務に関連する”事柄ならいいかもしれませんが、「家族構成」「自宅の住所・電話番号」「前職」「前職をなぜ辞めたか」「過去の病歴」・・・・ といった個人に関わることはどうでしょうか? いい加減な会社というのは、就職時の面接の時の情報をきちんと管理せずに、他の社員が自由に見られるように放置している非常識なところがあります。この前、健康診断で本社にいった際に、本社の事務所をちょっと観察しましたが、人事課の後方の書庫には、「履歴書のファイル」が、誰でも見えるところに、鍵もかけられずに保管されていました。個人情報保護法施行後でもこれですから、ひどいもんです。おそらくこの履歴書は、本社勤務の人間のものではなく、我々現場職のものだけだと思いますが。

 ですから、担当フロントが「今度の管理人はどういう人間なんだ?」と調べようと思えば可能です。それに小さな会社ですから、人事課の面接担当者に直接質問することもできるでしょう。そしてベラベラとしゃべるのでしょう。

 過去にこのような情報流出の経験(中小企業の悲哀ですネエ)をしている人が管理人に就職する場合、「言ったこと、書いたことは、そこの会社の全社員に伝わってしまう」と覚悟して面接に臨むそうです。ですから、余計なことは「言わない」「書かない」だそうです。(日光の三ザルみたい)

 採用されてからも、「個人の携帯電話番号なんか教えません」とつっぱねる人もいるようです。私なんかは、「まあいいや」と教えてしまっているんですが、携帯を会社に教えると、非常時にすぐ呼び出されますし、ろくなことはありません。

 これから管理人に就職する皆さんへ。マンション管理会社はろくなもんじゃないですから、ご自身の個人情報の管理は厳密に。

 「過去に自分の会社をつぶして、破産して、今管理人として働いている」という管理人さんがいますが、これがマンション住民に伝わってしまっているそうで、不良住民(規約に違反してペットを飼っていて、その管理人さんから「ダメデス」と言われて、逆恨みしている女性)から、「あんたなんか、破産するようなダメ人間のくせに、人に注意なんかする資格ないわよ」とけなされることもあるそうです。悲惨です。



<私物に関して>

 管理事務室というのは、組合さんから借りているものであり、管理会社のものではありません。もちろん、管理人個人のものではありません。(住み込み管理人の中には勘違いしている人もいるようですが)
 ただ、室内にある備品類は、マチマチです。組合で購入したものや管理会社が持ち込んだものが混在しています。しかし、この線引きはケースバイケースで、「管理人が使用する筆記用具も組合が購入する」というところもあります。委託契約には明記されていませんが、「うちはこういう方針です」と会社側が主張するのです。
 当マンションの場合は、組合も会社もほとんど何もしてくれない、買ってくれないため、「自腹で購入したもの」「廃品を再利用したもの」がたくさんあります。自分で買ったもの(電話機とか)にはやはり、「自分のもの。他人は触るな」といった気持ちがあります。

 さて、管理事務室の鍵というのは、いろいろな人が持っています。管理人・フロント・設備点検員・警備会社・エレベーター管理会社などの管理側、そして、管理組合側。マンションによっては、「理事長だけ」「理事長と副理事長だけ」「理事長と設備担当役員だけ」「理事長と防火管理者だけ」「全役員」・・・・バラバラです。もっとも、無関心組合の場合、「いらないよ。管理会社にすべて任せているから」と、組合側の誰一人持っていないケースもあります。

 そんなわけで、いろいろな人が、管理人の勤務時間外に勝手に管理事務室に入ってくることがあります。組合さんから借りているスペースですから、本来の所有者の組合さん側が入室するのは断る理由はありませんが、私物に触ったり、荒らしたりするのはやはり困ります。我々としては、生活の3分の1を過ごす場所なので、私物もけっこうあります。「クスリ」「下着(ゴミ整理とかすると下着まで汚れることがあるので」「昼休みに読む本」・・・・いろいろあります。「急いで車庫証明書類を作らなくてはいけないんだ。用紙は管理人室にあるだろう」と、日曜の夜に、その住民が理事長を連れて入室したことがありましたが、(わかりやすように整理していない自分が悪いんですが) あちこち探したようでずいぶん荒らされていました。

 本当は私物はまとめて一箇所にしまっておきたいのですが、更衣ロッカーもない部屋なんで、適した場所がありません。そこで提案です。理想の管理人室とは。

◎業務で使用するものは、すべて組合か会社が購入する。
◎管理人の私物を保管する、専用の鍵つきロッカーを組合か会社が購入設置する。というか、2列か3列の更衣ロッカーを購入して、そのなかの一列を私物保管庫にする。
◎その鍵は管理人しか持っていない。
◎専用ロッカーだから何を入れてもいい。
◎管理人以外は、このロッカーは開けてはいけない。そのかわり、他のものは自由に触っていい。机の引き出しもOK。つまり、専用ロッカー以外に私物を置いてはいけない、ということ。もちろん整理整頓して、書類などは一目でわかるようにしておく。(ファイリングのための道具も買ってください)
◎「交通災害共済の申し込み受付代行」などの仕事を押し付けられる管理人の場合は、鍵がかけられる引き出しがある机を購入する。一段を「貴重品保管用」にする。この鍵は管理人と理事長しか持たない。


「管理人のくせに、偉そうなことを言うな」などと足蹴にしないで、よく考えてください。お願いします。我々にも人権があります。

「私物を入れるところが全然ないんだよな」と冷蔵庫の中に入れている管理人さんもいます。


2005/10



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