管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線 管理棟

 小使いさん 


  <小使いさん(こづかいさん)>

 
この仕事をしていてずっと気になっていた用語「管理人」。インターネットの世界でも、「ホームページの管理人」ということばが多用されますが、この場合、「そのホームページを所有する人間。自分のものであるから、自分の好き勝手にできる。」という、本当に”管理”する人です。
 しかし、当サイトを見れば明らかなように、マンションの管理人というのは、実際は「用務員」です。所有者は管理組合ですし、管理人には何の権限もありません。管理会社のフロントマンによって、いいようにこき使われているだけのロボットみたいな存在です。人格も認められていません。”管理人”という用語によって、「あんたが管理してるんでしょ。○○しなさいよ」「管理人なんだから、マンション全体の責任を負うんでしょ」「あなたが決めてやりなさい」「あなたが住民を指導しなさい」・・・・・・などと、まるで管理人=総理大臣・都知事みたいに「なんでもできる権力者」と思っている人がいて、業務範疇外のことを押し付けられるケースが多々あり、困っています。

 私としては「小使いさん」という呼称を復活して欲しいと思います。この言葉は、辞書では「用務員の旧称」と説明されていますが、「小さな使い走りをする人」という意味では、まさしくマンション管理人にふさわしい呼称だと考えます。

 管理会社によっては「ライフマネージャー」などというおぞましい呼称を使っているところもあります。なんでも横文字にすればいいってもんじゃありません。和訳したら「人生の監督者」じゃないですか? こんなの考えた人バカじゃないですか? 「フロントクルー」とか「フロントマネージャー」「マンションレセプション」とか、他にもいろいろあるみたいですが、管理も監督もしてないですし、みんな日本人です。

 給与に見合った名前としたら、「小使いさん」が一番マッチしてます。(もっとも、役所とか学校の小使いさんは、正規職員として雇われている場合は「公務員」になるため、意外と高い給料もらってますけどね)


2005/5追記
 「でしゃばる管理人は嫌い」「管理人がなんでも仕切るので困る」「管理人が表に出るな」・・・・と管理人を批判なさる人がいます。私も家に帰れば、マンションの1住民で、過去の管理人の中には、「余計なことしやがって」「自分ひとりで勝手に動いて・・」と気に障ることがあったのも事実です。ただ、実際に管理人職をやると、「誰もやらないから、自分がやるしかない」「”管理人さんがやっておいてよ”となんでも頼まれる」「フロントや会社がほったらかし。協力はいっさいなし。監督もない」 だから、管理人が前面に出るしかない、というのも事実です。そういう立場に追い込まれた状況下、もともとでしゃばりな性格の人や、「自分には権力がある」と誤解している人は、目障りな管理人になってしまいます。管理人というのは、クセのある人が多いですから、手綱捌きが肝心なんですが、騎手のいない馬が、コースをまっすぐに走れるわけがありません。組合さんや、会社にも責任があります。

 なんでもかんでも管理人任せのマンションというのは例えてみれば、「一用務員に、用務員の通常業務をさせたうえでさらに、教壇に立たせて子供たちに勉強を教え、、朝会の挨拶もさせ、校長室で来客の接待もさせる。おまけに緑のおばさんもやらせる、経理もやらせる」、そんな学校と同じです。それだけ仕事をさせといて、用務員としての給料しか出さない。そう考えると、異常さが理解できるのではないでしょうか?

 


初稿 2004/9