管理人は超つらいよ   
マンション管理最前線

リストラ断行


 ご存知のとおり、現在、管理会社を変更するマンションがかなり増えました。変更の際には必ず管理委託費の大幅カットが行なわれます。

 もともと「ボッタクリ」だった管理会社に関しては「適正な価格に下げろ」というのはいいことです。しかし、頻繁にマスコミに登場する某社は、原価を無視したダンピングをしています。「こんな料金でできるわけはない」という見積もりを提示します。実際、仕事の質にも問題があります。いわゆる「安かろう悪かろう」というものです。そんなわけで、競争が激化し、この業界を取り巻く環境(特に従業員サイド)も急速に悪化しています。また、いわゆる「ビルメン業」と言われる業種は、公共施設の入札制度の変更により、「仕事を失う」「大幅な減額を提示しないと契約更新できない」という最悪な状況下にあり、経営状態は崖っぷちです。

 というわけで、この4月から当社「株ム下弦」もひどいことになります。

 一気に全スタッフの「基本給15%カット」を断行です。

 「どこそこの現場を失った」「Aビルは3割減を飲まされた」などの悲惨なニュースは以前から入っていたので、多少のカットは予想していましたが、これはあまりにもひどい。清掃のパートさんなど臨時職員に関しては、15%もカットすると最低賃金より下回るケースも出てくるため、「その地域の最低賃金に合わせる」という通達です。もっとひどいのは、「手当類の一斉カット」です。家族手当、精勤手当、地域手当、危険手当などの手当類がカットされます。資格手当にまで手をつけるようです。ビルメンの現場職など、基本給は少なくても「電気」「ボイラー」「冷凍機」等々の各種手当でなんとか食っていた社員が多く、この人たちにとっては、手取り額30%カットになる場合もあるようです。私個人に関しても、今まではコネ採用のために、「特別手当」というものをつけてもらって多少の優遇をしてもらっていたのですが、これがなくなります。つまり、私も最低賃金の時給分しかもらえません。さらにひどいのは通勤手当の減額で、「通勤手当の上限は1万円とする」「2km以内の距離の場合、バス代は支給しない(つまり「歩け」ということ)」という規定が新たに設けられました。今までの上限は3万円でしたから、3分の1です。その他、「優良従業員表彰制度の廃止」「永年勤続表彰の廃止」「退職金カット」「慶弔休暇の日数減」なども実行されます。もちろん、ボーナス(もともと少ないがわずかに支給されていた)も半額カットです。

 昨年、市役所の清掃業務を他社に取られたときに、20名の解雇という悲惨な状況になりました。その他の現場でも解約が相次ぎました。「こうなったら、なんでもやってやる」と社長が思ったのかもしれません。それにしても、突然のリストラ強行です。退職する人もかなり出てくるでしょう。(特に若い人) しかし、中高年はそうもいきません。生きていけないような待遇ですが、それでも生きていかなければなりません。

 ビル管理業やマンション管理の現場職というのは社会の最下層の職種で、まさに最低の待遇の中生きています。この前、駅前で公務員のデモ行進を見ましたが、公務員さんはもともと高給取りなのに、「1%の給与カット」で大騒ぎしています。贅沢な人たちです。(下請けは大変だぞ)

 私も、管理人業務のあとにほぼ毎晩コンビニで働いていますが、今後は宅配便の深夜仕分けでもやろうかと考えています。そうでないと住宅ローンが払えません。正直、体を壊しそうです。今でもしんどいのに。
 今後は、時々居眠りしてしまうかもしれません。マンション住民には悪いですが、こんな待遇できちんとした仕事はできません。無理です。

 それにしても忙しければ忙しいほど、転職活動ができません。今でも毎日クタクタで、新聞の求人広告を読む元気すらありません。まともな仕事もないけど。

 今はどこのマンションでも管理委託費削減にやっきですが、会社側は自分の儲けを確保しようとしますから、カットするのは結局従業員の給料です。マンション住民も、「管理人さんや清掃員さんの給料は上げて、いい仕事をしてもらって下さい。その他の項目で値下げしてください」と管理委託費削減を訴えて欲しいです。

 まじ、「管理人はつらいよ」。




カットの嵐

もともと高給ならカットに耐えられるけど、”最低”からどうやってカットするの?
骸骨から「贅肉をそぎ落とす」ようなもんだよ。



2004/3